7月28日、東京都内で新たに266人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、2日ぶりの200人超えとなった。
そうしたなか、キャスターの辛坊治郎はこの日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、日本で拡大するPCR検査体制の問題点について持論を述べた。
感染予防が目的なら全員毎日調べないと意味がない
埼玉県は昨日27日、新型コロナウイルスの感染者が出た場合に、周りの無症状者へ行うPCR検査などの行政検査の対象を拡大する方針を発表した。
辛坊)PCR検査を行う会社からお金をもらっているんじゃないの?というくらいに、日本中でPCR検査が流行っていますよね。そのうち「国民全員毎日検査しましょう」ということになりますよ。
PCR検査の問題点は元々の精度が7割くらいしかないってこともありますけれども、PCR検査をしたら安全だと思い込んでしまうことが怖いんですよ。今回、サッカーJ1の名古屋の選手が3人感染していることがPCR検査で分かりましたが、J1の名古屋だけに限らず、J1は選手スタッフ3000人全員2週間ごとに調べるわけですよ。ところが今回明らかになったJ1の名古屋の選手ら3人というのは、2週間に1回の定期検査では引っかかっていないんですね。つまり、2週間に1回の定期検査だと、その間に感染して治ってしまって、他にも感染している可能性がある人はすくい上げられないわけで、感染予防のために2週間に1回の検査では意味がない……とまでは言わないけれども、有効ではないわけですよ。そうすると、「PCR検査しましょう」と言ったときに、感染予防のために行うなら、全員毎日調べるくらいのことをしないと、ほとんど意味がないんです。ただ、今のウイルスはそこまですべきかと言うと……。
無症状の元気な人たちで病院がパンクしてしまうのがPCR検査
もともと新型コロナウイルスというのは、一番最初に1月に流行り始めたときにWTOが「10人感染したら8割は無症状かもしれませんが2割ぐらいは入院しなければいけなくなって、5%くらいが重症化して、3%くらいは亡くなりますよ」というのがもともとの出発点だったんです。それで報道が始まったんですけど、かなり客観的なデータを見るともうそこまでの重症化率や死亡率もなくて、もっと無症状の人多いのではないかと、いろいろな見方が少なくとも日本においては出てるわけです。しかし、そういったものを無視して、同じような考え方で、「一定割合で重症化して、一定割合で死亡する」と。それも「かなりの割合だ」ということを前提にPCR検査という話になるのです。
PCR検査をする意味の1つは、早めに感染者を洗い出すことが出来れば、そのうちの将来どれくらいが重症化しそうか、どのくらいの方が亡くなりそうか予想がついて対策が立てられるので、PCR検査しましょうということなんです。けれども、そのいちばん初めに想定したほど重症化しない、そんな割合では死亡しない、ということになったら、この病気だけそんなに躍起になって、無症状の感染者をあぶり出してどうするのかと。これは指定感染症だから、この病気で陽性ということになると、原則隔離しなければならないのに、そんなことして無症状の感染者を洗い出したら、元気な人たちで病院がもうパンクしてしまうだろうと。
クラスターを探し出すことによって感染拡大を止めるというのがPCR検査の1つの目標とされていました。しかし、それは感染経路を追える人たちばかりだったら良いけれども、今はもう感染経路を追えない人が何十人とか、自治体によってはもう一桁上じゃないか、全国的に見るとその一桁上くらいまで出ているわけですよ。それでも感染経路が不明であっても、1人陽性者が見つかったら、その人の周りにいる濃厚接触者全員---今これ埼玉県が、濃厚接触者じゃなくても洗い出すというのだけど---それは物凄い数の今無症状の陽性者が出て、1人出るとその周辺全部洗い出して、引っ張ってきてPCR検査して陽性が出たらまた、そこから芋づる式にまた探して……ともうキリがなくなって。それでもう保健所も病院も疲弊しきってきているのに、さらにそれを拡大するのは何のためかと。このようなことをしていると、社会的混乱は広がるばかりじゃないかと。
政治的パフォーマンス以外の何物でもないのではないかと。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)