海外で「麦茶」はどう飲まれているのか
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に麦茶のスペシャリスト、三栄興産株式会社・代表取締役社長の緒方哲哉が出演。海外での麦茶の受け入れられ方について語った。
黒木)今週のゲストは麦茶のスペシャリスト、三栄興産株式会社・代表取締役社長の緒方哲哉さんです。海外にも麦茶を輸出されているそうですね。
緒方)2010年ごろから弊社の得意先様によって、いろいろな国々に輸出させていただいています。
黒木)もともと麦茶は、中国や韓国でしか飲まれていなかったものだそうです。最初は香港とハワイに輸出されたのですか?
緒方)そうですね。香港は、日本の食品がいちばん輸出されている地域です。実際に現地へ行ってみると、スーパーもたくさんありますし、日本食のレストランもたくさんあり、香港の方は飲んでくださっています。
黒木)現在は15の国や地域で取引があるということです。1つずつ行かれて、緒方さんが交渉したのですか?
緒方)日本国内や現地の商談会、展示会に参加しながら、新たな出会いとともに「今度そちらのお店に行ってプロモーションをするので、置かせてください」ということを繰り返しながら、少しずつ増えてまいりました。
黒木)海外と取引されて10年ということです。海外に広めようと思ったきっかけは何ですか?
緒方)最初のきっかけは、お得意先様が「行こう」とおっしゃったからです。はじめて行ったのは香港だったので、「この暑い地域で喉を潤すなら売れるかも知れない」と、少しずつ心のなかで湧いて来ました。
黒木)癖がないし、香ばしくさっぱりしていて、第一印象がおいしいと思いますよね。
緒方)いろいろな国、地域にお茶の文化がありますが、ローストした風味は世界各地で好まれる味ではないかと思っています。
黒木)国によって、いろいろな挑戦をなさって来たのですよね。
緒方)味と温度帯です。日本では冷蔵庫や氷で冷やした麦茶ですが、砂糖が入っていないお茶を冷やして飲むのが御法度の地域もあります。例えば中国は、体を冷やしてはいけないということで、通常はお茶を冷たくして飲みません。
黒木)甘くないお茶は冷やして飲まないということですね。
緒方)そうです。
黒木)だから中国に行くと、お茶が甘いのですね。
緒方)ペットボトルのお茶がとんでもなく甘かったりしますよね。あれは冷やして飲みます。例えば店頭で試飲販売をしていて、冷たい甘くない麦茶を出すと、拒否されます。
黒木)一歩一歩なのですね。海外輸出に挑戦されて10年ですが、いまの手ごたえはいかがですか?
緒方)おかげさまで広がっているのですが、麦茶という言葉が通じません。寿司や天ぷら、お茶なら抹茶は外国の方にもわかりますが、「麦茶」と言っても通じません。現地の言葉でないと伝わらないです。
緒方哲哉(おがた・てつや)/三栄興産株式会社 代表取締役社長
<三栄興産株式会社>
■1965年創業。自社焙煎の麦茶を国内販売する焙煎工場として発足。
■佐賀県は国内有数の大麦の産地。麦茶の原材料となる二条大麦の生産量は日本一。
■以来、佐賀県で麦茶本来の美味しさと香ばしさを追求。
■2010年ごろから麦茶の海外への輸出を開始。当初の輸出先は香港とハワイ。
■現在の輸出先は15の国と地域。中国、香港、台湾、マカオ、ベトナム、マレーシア、タイ、シンガポール、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ポーランド、スペイン、ロシア。海外での売り上げは全体の1割。健康志向を追い風に海外販路を拡大。
■麦茶の他にも、緑茶と相性の良い玄米茶の素、自然の野草を火入れ加工して仕上げる健康茶、厳選して仕上げる中国茶など、紅茶以外の茶色いお茶を取り扱っている。
■緒方哲哉さんは3代目社長。2014年に就任。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳