ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月1日放送)にジャーナリストの有本香が出演。渋谷駅の地下にある巨大貯留施設について、取材を交えて解説した。
渋谷駅地下の巨大貯留施設
東京の渋谷駅の地下に、およそ4000トンの雨水を貯めることが可能な施設が完成し、8月31日から東京都下水道局の管理で使用可能となった。
飯田)9月1日は防災の日です。都市の水害対策として、渋谷駅の地下に完成した巨大貯水施設、雨水貯留施設について、取材の模様を交えてお伝えします。2年前の2018年4月、この番組では、「渋谷から水害がなくなる」というテーマで取材に行き、そのときも地下に潜りました。当時は、工事中の鉄筋がまだ見えているような状況でした。この場所は、渋谷駅の東口バスターミナルの真下です。渋谷には道玄坂と宮益坂が東西にあり、ちょうど谷底のところに渋谷駅があります。
有本)だから、渋谷と言うのですよね。
東急と都市再生機構が事業の一環として、2011年から工事を開始~100年に1度の再開発
飯田)谷という名前が付くくらいなので、多くの水が入り込み、雨が多く降ると溜まりやすい構造になっています。1999年の夏には大雨があり、渋谷の地下街に腰の辺りまで水が入ってしまった。そうしたこともあり、渋谷駅の周辺で土地の区画整理事業に取り組む東急と都市再生機構が、事業の一環として2011年から工事を始めました。東急の人に取材をすると、「100年に1度の再開発だ」と。反対に言えば、「ここを逃したら2度とつくれなくなるのです」とおっしゃっていました。都心は建物がびっしりと建ち並んでいて、地下に大規模な構造物をつくることは本当に難しい。地下鉄のようなものであれば、どこかから重機を入れて、先にトンネルを掘り進めるような機械がいまはあるので、トンネルを掘り、そこをすぐにコンクリートで固めるシールド工法でつくることは可能です。しかし、こうした雨水の貯留地のようなものは、上から掘らなければできません。渋谷駅は毎日300万人が乗り降りする駅で、深夜まで人も車も動いています。ですので、この工事は作戦を練るのがいちばん大変だったそうです。終バスが終わってから始発のバスが来るまでの時間で、蓋を開けて重機を入れ、蓋を戻してもう1回、ということを毎日繰り返す。すり合わせが大変だったそうです。
渋谷駅の下に流れていた渋谷川をロータリー側に付け替えるところから
飯田)さらに、地下の深いところに雨水の貯留施設をつくる。その上には地下街をつくる。そして、昔は東急東横線の渋谷駅の真下に渋谷川が流れていたのですが、それをロータリー側に付け替える工事をして、空いたスペースに「渋谷スクランブルスクエア」という大きなビルを建てる。あれだけの高いビルをつくろうとすると、立派な基礎をつくらなければならないのですが、地下に川があると基礎がつくれないので、川を付け替えるところから工事をしたそうです。
4000トンの雨水を貯めることが可能
飯田)そうしてできたこの施設は、地下およそ25メートルのところにあります。長さは45メートル、幅22メートル、深さ7メートルで、およそ4000トン、4000立方メートルの雨水を貯めることができるそうです。渋谷の辺りは、一方では下水の幹線が通っているそうです。1時間あたり50ミリまでの雨ならば、その下水管で排水が可能だそうです。都市は、いま雨水が直接川に流れ込むというわけではなく、下水管に流れて行くように設計されています。その下水管の容量を超えてしまうと、水が噴き出して来るのです。
有本)大雨のときに噴き出している光景がよくありますよね。
飯田)50ミリを超える強い雨が降ると、そうした形になってしまう。しかし、現状はゲリラ豪雨だとそのくらいの雨が降ります。ですので、50ミリを超えて75ミリまでの雨に関しては、貯留施設に水を案内して、1度貯めることで対応が可能だということです。東急株式会社の広報企画担当である江戸卓哉さんに、巨大貯水施設の建設の意義を伺いました。
江戸)しっかりと支えている安全対策に関しても、きちんと行っているということを、我々としても伝えて行かなければならないと思います。日ごろ目にしない部分ですが、何かあったときに役に立ちます。あまり役に立つようなことがあって欲しくはないですが。運用開始直前のこのタイミングで、皆さんにそういうことを伝えて行きたいと思います。
ハザードマップで自分の家の状態を調べておく
飯田)東京都下水道局によると、こうした施設は23区内に58ヵ所あるそうです。およそ60万トン、学校プール2000杯分の雨水を貯めることができる。
有本)私たちは、そのことを知らないですね。
飯田)全然知らないですよね。ただ、下水道局の人も言っていたのは、あくまでも一時的に貯めるものだと。時間稼ぎなので、長いこと大雨が降り続けば、いつかはここでも抑えきれなくなってしまう。ですので、早めに避難をすること。あるいは、ハザードマップなどで、どこが溢れやすいのか、浸水の被害があるのか、自分の家がどうなっているのかを、いまのうちに確認しておくことが重要だと思います。
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