『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

By -  公開:  更新:

【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第899回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、Amazon Prime Videoにて独占配信中の『緊急事態宣言』をご紹介します。

『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

『緊急事態宣言』

クリエイティブの力で、世界中を笑顔に! いつの時代も映画の灯は消えない

世界中で猛威を振るっている、新型コロナウイルス。2020年4月、日本でも“緊急事態宣言”が発出され、国民は“外出自粛”という、これまでにない経験をすることに。

そして現在もなお、「ウィズコロナ」「3密回避」「テレワーク導入」など“新しい生活様式”をキーワードに、さまざまな制約のなかで生活しています。

そんな折、まさに“いま”を映し出す映画が誕生しました。その名もズバリ、『緊急事態宣言』。

コロナ禍によってもたらされた社会の変化や意味を、5組のクリエイターがそれぞれ“映画”というかたちに刻んだオムニバス映画です。

『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

『緊急事態宣言』

この“実験的な試み”に集ったのは、気鋭の映画監督たち。

『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太、『愛のむきだし』の園子温、ユニット“非同期テック部”を結成したムロツヨシ&上田誠&真鍋大度、『時効警察』シリーズの三木聡、そして『宮本から君へ』の真利子哲也と、持ち味の違う実力派監督たちが集結。

さらにオープニングアニメーションでは冠木佐和子、水江未来が監督を務め、共通オープニングテーマを石野卓球が担当しています。

『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

※写真は上から『デリバリー2020』、『孤独な19時』、『DEEPMURO』

自粛生活のなか、オンラインで誕生日パーティーを開く家族の様子を描いた『デリバリー2020』(中野量太監督)。

斎藤工を主演に迎え、COVID-19収束後に現れたさらなる狂暴なウイルスにより、100年も自粛生活が続く日本を描いた『孤独な19時』(園子温監督)。

俳優ムロツヨシが念願だった柴咲コウとの恋愛ドラマの撮影に挑む『DEEPMURO』(非同期テック部)。

新作映画の主演オーディションに見事合格した女優と映画監督による、不可思議なリモート演技指導を描く『ボトルメール』(三木聡監督)。

そして、日本時間の19時、あらゆる国や地域に暮らす人々の自粛生活を紡いだ『MAYDAY』(真利子哲也監督)。

制作にあたってのルールは、ただひとつ。「感染拡大の防止を徹底的に守ること」だけで、本編尺、ジャンル、言語などは一切不問。すべては、監督の自由な創造性に委ねられました。その結果、それぞれの作家性がくっきりと浮かび上がる、オリジナリティあふれる作品が揃いました。

『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

※写真は上から『ボトルメール』、『MAYDAY』

人類の逆境とも呼べる暗いムードが漂うこのご時世だからこそ、映画の力で笑顔や活力を生み出す。

新型コロナ禍によって映画業界もさまざまな制約を受けることになりましたが、これまでの常識が通用しない環境下に置かれたからこそ、クリエイターたちにとっては新たなアイデアを生み出し、チャレンジする機会を得たと言えるのかも知れません。

その底力をしっかりと見せつけられる本作は、これまでの邦画とは一線を画すものとなっています。自粛が日常となってしまったいまだからこそ、多くの人に観て欲しい非凡な作品です。

『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

『緊急事態宣言』

『緊急事態宣言 State of Emergency』

Amazon Prime Videoにて独占配信中
公式サイト http://www.transformer.co.jp/m/kinkyujitai

『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

『緊急事態宣言』

■ #1:『デリバリー2020』

監督・脚本:中野量太
プロデューサー:若林雄介
撮影:山崎裕典
照明:谷本幸治
録音:九連石由文
編集:上野聡一
出演:渡辺真起子、岸井ゆきの、青木柚

『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

『緊急事態宣言』

■ #2:『孤独な19時』

脚本・編集・音楽・監督: 園子温
原作:エマニュエル・ズィオン
プロデューサー:髙橋正弥
撮影:鈴木雅也
照明:市川高穂
美術:畦原唱平
装飾:岩間洋
録音:デルリウ・ジェロ
ヘアメイク:渡辺順子
助監督:安川徳寛
出演:斎藤工、田口主将、中條サエ子、関幸治、輝有子

『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

『緊急事態宣言』

■ #3:『DEEPMURO』

監督:非同期テック部(ムロツヨシ、真鍋大度、上田誠)
脚本:上田誠
クリエイティブ・テクニカルディレクター:真鍋大度
プロデューサー:竹村佳保里
撮影:髙野和樹、伊藤悠樹、比嘉拓矢
照明:浦田寛幸
録音:上條慎太郎
美術:中島明日香
編集:本間無量
音楽:真鍋大度
出演:ムロツヨシ、柴咲コウ、きたろう、阿佐ヶ谷姉妹、酒井善史、諏訪雅

『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

『緊急事態宣言』

■ #4:『ボトルメール』

監督・脚本:三木聡
ラインプロデューサー:田口聖
撮影:高田陽幸
照明:加瀬拓郎
録音:高野泰雄
美術:蓮池あゆ
編集:富永孝
音楽:上野耕路
出演:夏帆、ふせえり、松浦祐也、長野克弘、麻生久美子

『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

『緊急事態宣言』

■ #5:『MAYDAY』

監督:真利子哲也
プロデューサー:朱永菁
編集:平田竜馬
音楽:半野喜弘
出演:各国の人々(日本パート:岩瀬亮、内田慈)

『緊急事態宣言』コロナ禍が生み出した、超作家主義映画

『緊急事態宣言』

■オープニングアニメーション

監督:冠木佐和子、水江未来
音楽:“Emergency Frequency” 石野卓球
(C)2020 Transformer, Inc.

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

Page top