Go To キャンペーンよりも消費者に直接補助金を出すべき
公開: 更新:
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月23日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。新たに実施される「Go To イベント」「Go To 商店街」について解説した。
「Go To イベント」と「Go To 商店街」10月中旬に開始へ
西村経済再生担当大臣は9月22日、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだイベント需要を喚起する「Go To イベント」と、商店街を支援する「Go To 商店街」の実施を、9月中に判断する方針を示した。西村大臣は10月中旬ごろから実施したいとしている。
飯田)Go To キャンペーンは、いろいろなバリエーションがあったのですね。
高橋)「Go To」と何にでもつければいいのでしょう。いろいろな業界担当の人がいますから、そういうことになるのだと思います。
飯田)所管が分かれていますからね。Go To トラベルは国土交通省、イートは農水省、イベントは経産省です。
高橋)その他はだいたい経産省です。
飯田)特定の所管がないところは、経産省ということですね。縦割りを打破すると菅さんは言っていましたが。
高橋)担当は担当だから、必ずどこかがやるのは決まっています。予算要求もバラバラでやっていますから。官房長官のところでやると、1つの役所だから縦割りはないのです。Go To だけで時限的な組織をつくろうと思えばできますよね。「コロナ対応 Go To 庁」とか。時限的にやるのは簡単です。
「Go To~」より、直接個人にお金を渡して喚起するべき
飯田)Go To を全部まとめてやろうとしたけれども、持続化給付金のところで間に入った電通などが批判されたため、全部バラバラにしたという経緯もありますね。
高橋)まとめてやってもいいのですが、委託先はすべて同じかも知れませんね。
飯田)結局、ノウハウを持っているところがそう多くはない。
高橋)役人では実務ができないので、誰かに頼むしかありません。そうすると電通か、事業者団体しかない。事業者団体では天下りだと言われるし、電通に頼んでも文句を言われます。本当ならデジタル化をして、直接個人に配れる仕組みがあれば、そちらの方がいいです。直接個人に行かないから、他に頼むのです。私はGo To で電通や事業者団体を使わずに、直接個人に補助金を渡して、こういうことを喚起する方がいいと思います。
飯田)使途を明確にして、どこで使えるかはっきりさせておくと、特定のものを選べる。
高橋)何を選ぶかは個人の自由ということもあります。「イート」に行くか、「トラベル」に行くか、個人に委ねるという手もあります。その方がフェアかも知れません。
何に使うかは個人に委ねる~究極の縦割り打破
飯田)特別定額給付金を、10万円一律で配りました。あの後、日銀の循環統計を見ると、「家の貯蓄が増えているではないか」と言う人がいます。
高橋)いつかは使うのだから、いいではないですか。
飯田)いますぐ使うかどうかということですね。
高橋)いま使う人は使えばいいし、後で使う人は貯蓄すればいいでしょう。割り切った方が個人の自由度は高まりますよね。役所の人が「ここに使え」と言うのではなく、個人が判断して、あとはイートやトラベルの業界が頑張ればいいのです。これが究極の縦割り打破です。
飯田)全部、何に使うかを個人に任せる。
高橋)お金があるのは間違いないので、どの業界がどのように奪うかの競争です。これは縦割りにはなりません。
飯田)業界内競争ではなく、ある意味で個人の時間をどう奪うか。
消費者が持っているお金を業界で奪い合う方が経済は活性化する
高橋)いま使えば消費だし、将来なら貯蓄になるだけです。いま奪いたければ、「貯蓄させないために業界が頑張れ」という言い方もありますよね。
飯田)そうすると経済全体が活性化するのですね。
高橋)お金はあれば回って行きます。業界がそこを目指して行くのです。いまのパターンだと、業界ごとに役所から補助金が来るというものでしょう。それよりは、消費者が持っているお金を奪い合う方が、経済は活性化します。
定額給付金~お金があれば経済は動く
飯田)菅政権全体の経済政策を見ると、いまスポットライトが当たっているのは、「規制改革、縦割りの打破」というところです。ともすれば供給の方が高まるという政策で、需要が減っているなか、そちらがおろそかになるのではないかと指摘している人がいます。
高橋)お金が出れば両方に行くのです。需要がはっきりしているのは定額給付金です。お金があれば、業界に行こうが、個人に行こうが同じです。要するに真水がどのくらい出るかがポイントです。
飯田)いまは第2次補正の分で、積んでいるお金がかなりありますが、どうなのですか?
高橋)多々益々で、いくらあってもいいのではないかと思います。お金を積んでいるのがわかれば、民間の人も商売熱心になるでしょう。それをどう引き出すかということを考える。ですので、予備費を早く使うか、もしくは見せ金のように予備費に積み増してもいいと思います。
飯田)いきなり使い道まで細かく決めるのではなく。
高橋)予備費に積んでおいて、後から決めればいいのです。業界にとってはそれが重要です。お金があれば、事業計画も立てやすくなります。
一方、緊縮派は増税を提案
飯田)そうすると、また定額給付金をやるか、減税をするか。
高橋)私はそういうタイプですが、私が総理に話しに行った次の日には、緊縮派の人も行っていますから。
飯田)そうですね。翌日には、増税に熱心な緊縮派が。
高橋)財務省が派遣したような人が行きました。いろいろな意見を菅さんは聞くわけです。
飯田)そこも、翌日の総理動静を見ておかなければいけないのですね。
高橋)菅さんとしては、どちらの意見も聞いています。両方の意見を聞いた方が、政治家としてパワーが強まります。「どちらに出るかわからない」と言う方がいいのです。
飯田)ギリギリまでどちらにするか言わない方がいいのですね。
高橋)最後に決断すればいい。最初から答えが見えてしまったら、政治家として失格です。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。