ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月21日放送)に自由民主党・参議院議員の青山繁晴が出演。菅総理がインドネシアのジョコ大統領と首脳会談を行ったニュースを受け、菅総理の初外遊となるベトナム、インドネシア訪問について解説した。
菅総理大臣がインドネシアのジョコ大統領と首脳会談
菅総理)基本的価値を共有する戦略的パートナーとしてコロナ問題、更にはさまざまな経済を中心とする問題についても会談をして連携をしっかり行っていく、そうした関係構築をしたいと思っております。
菅総理大臣は10月20日、訪問先のインドネシアでジョコ大統領と首脳会談を行った。海洋進出を強める中国を念頭に、安全保障分野の連携を強化することで合意。新型コロナウイルスの流行を受け、500億円の円借款を行うことも表明し、看護師などの往来を再開させる方針も確認した。
飯田)ベトナムに続き、インドネシアでジョコ大統領との会談を行いました。
あえてアメリカには行かず、ベトナム、インドネシアを訪問先に選んだ菅総理
青山)本音を言うと、このよきスタートに舌を巻いています。菅総理はアメリカに行きませんでした。最近、日本の総理は、就任なさると必ずアメリカ詣でをしていました。安倍総理におかれては、トランプ大統領が就任する前にトランプ詣でをしました。アメリカが大統領選挙の最中ということもありますが、菅総理はあえてアメリカには行かずにアジアを選びました。それも深謀遠慮がこなされています。ベトナムは中国に対して、一見揺れているように見えますが、根っこは反中国家です。まず、そこを選び、はっきりと「南シナ海の秩序を勝手に変えることは許されない」と「中国」の名指しは避けながら言いました。中国は公式に大激怒しています。
人口2億7000万のインドネシアを訪問する意味
青山)その後に行ったインドネシアというのは、これこそ舌を巻く話です。もともとジョコ大統領はどちらかというと中国寄りでしたが、最近変わって来たのです。中国の習近平国家主席は南シナ海で、どんどん南に触手を伸ばして、インドネシアの排他的経済水域には中国の漁船が入っています。尖閣諸島でやっているのと同じように、武装した公船を一緒に付き添わせています。そのジョコ大統領に変化が見られるところに、「スポッ」と行ったわけです。それで円借款です。安全保障分野で海洋進出についても話しました。
飯田)そうですね。
青山)新型コロナ感染症により、世界中が中国に警戒感を持っています。しかし、膨大な中国の人口がものを買ってくれるので「どうしたらいいのか」と考えているところに、サプライチェーン、供給網も含めて新たに提案する。中国に頼らずとも、東南アジアにはこれだけ人がいます。インドネシアは2億7000万という、アメリカに迫る人口です。もちろん中国を除くとアジア最大ですし、イスラム教国家としては世界最大です。そこに行くということは、経済、安全保障、外交の駆け引きが全部そろっているやり方です。
新たなタイプの指導者の印象~完璧なスタート
青山)菅総理が落ち着いているのが印象に残ります。私は総理大臣の番記者もやっていましたからわかるのですが、総理大臣も同じ人間なので、初海外出張となると緊張されている人が多いです。菅総理も緊張されているでしょうが、落ち着いた雰囲気なので、安倍総理とはまったく違うタイプの指導者だと印象づけられます。いい意味で振り子が振れて、「もう1つのタイプの総理が出て来た」という印象をうまく表すことができたのではないでしょうか。私は完璧なスタートだと思います。
中国に厳しくすると、東京オリ・パラに習近平国家主席を呼ぶ可能性が強くなる
青山)1つ懸念があります。来年(2021年)7月23日の東京オリンピックの開会式があります。このように中国に厳しくしていると、そこに習近平国家主席を呼ぶ可能性は、むしろ強くなります。私も「護る会」も反対ですが、習近平国家主席が東京に来ていただくということは、国家元首に来ていただくということになります。そうなると外交上、国賓になります。国賓で来ていただくと、陛下にお会いいただかなければいけません。
飯田)宮中晩さん会なども設定されますよね。
青山)今回、世界に日本の対中政策をアピールしたのに、来年の夏には真逆のメッセージを送る準備になってしまうことを懸念しています。自由民主党には親中派も多いので、いまから議論しなければいけません。
ベトナムで防衛装備品の輸出に関する協定に合意
青山)河野大臣がイージス・アショアを中止にして、国防疑念の部分が大揉めなのですが、「イージス・アショアの後も日本独自の新しいイージス艦をつくりましょう」と言ったら、防衛官僚で深く頷いている人がいました。菅総理がアメリカに行かずにアジアに行かれたということは、そういう日本の自立への道と関係がある海外出張だと思います。そこを私は僭越ながら評価したいです。
飯田)確かにベトナムでも防衛装備品の輸出についての協定を結ぶという方向で合意をしました。
青山)いいところを見ていますね。
飯田)インドネシアでも外務・防衛閣僚会議を開くことで合意しました。この辺りは……。
青山)実は安倍政権にはよく見えていない遺産があるのです。それは武器も輸出できるようにしたということです。かつては武器輸出三原則があり、禁輸原則でした。でも国内で装備品をつくっているのですから、海外に出すのだけはいけないということは話がおかしいのです。海外の国はみんな侵略国かということになりますから。それを変えて武器を輸出できるようにした。日本がいままでそうしなかったために、ベトナム以外のアジアでは中国が各国の武器体系を握っているという現状がありました。ベトナムだけはかろうじてそうではなかった。だからベトナムに行って武器輸出の話をしたのです。これはディープな話であるとともに、安全保障の根幹の話です。武器なき安全保障は残念ながらあり得ません。
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