ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月23日放送)に外交評論家・内閣官房参与の宮家邦彦が出演。石破元幹事長が石破派「水月会」の会長を辞任したニュースについて解説した。
自民党の石破元幹事長が派閥の会長を辞任
石破元幹事長)過去4回、総裁選挙に立候補した。しかし、結果は出せなかった。多くの方々のご期待に応えることができなかった。その責任はいつにかかってこの私にありますので、その責任を取るというのが私の取るべき道だというふうに考えた次第であります。
自民党の石破茂元幹事長は10月22日、自身が率いる石破派「水月会」の会長を辞任した。22日の派閥会合で、9月の総裁選敗北の責任を取って辞意を表明した。
飯田)水月会は19人の派閥でしたが、辞意表明ということになりました。
中選挙区制のころは反主流によるあるべき批判、議論があった~小選挙区制では批判的な存在は維持できない
宮家)唐突に、しかし潔くやった。いかにも石破さんらしいという感じがします。でも、自民党のなかで派閥を持つというのは大変なことです。19人とは言え、いい意味で求心力がなくてはいけないし、お金もなくてはいけないし、面倒見もよくなくてはいけません。それは大変だったのだろうと思う反面、あまりに無責任だと思う人もいるかも知れない。責任放棄だと言う人もいるのですが、私はある程度政治状況が変わったからだと思っています。昔の中選挙区のころの自民党は、基本的には一党独裁などと言われましたが、一党独裁どころかミニ保守政権派閥、連合政権だったと私は思います。中選挙区制なので、いろいろな人たちが同時に立候補しても、両方とも勝つわけです。そうなると、「党内党」とは言いませんが、そういう勢力拮抗の力学が働く。ある程度、総裁派閥以外の反主流というのもいて、いい意味で批判をして、議論をして……というのがありました。その時にはその時で、いろいろな弊害もあったかも知れませんが。
飯田)そうですね。
宮家)それが小選挙区制になってしまうと、1つの選挙区には基本的に1人しか出られないわけですから、圧倒的に総裁と幹事長が強くなるのです。そうなれば党内議論や勢力均衡などなくなります。そのなかでは総裁派閥もしくは総裁に対して、チェックアンドバランスというか批判的な存在を維持することが、昔よりはるかに難しくなっているというのは事実だと思います。いまの自民党のなかで、昔と同じようなことをやるのは難しくなっているのだろうと勝手に想像しています。
民主主義には批判勢力との議論が重要
飯田)メールもたくさんいただいています。東京都新宿区の“ひでや”さん、65歳自営業の方から。「総裁選最下位の責任を取ったということですが、得票を見込める地方票に石破さんは強いけれども、今回は通常の総裁選の3分の1しかないルールでの選挙だったので、正直、立候補を見送った方がよかったのではないかと思います。いっそのこと、かつての小沢一郎さんのように、離党して新党というのもありなのではないでしょうか」と。石破さんはその後の去就の話はいまもされていません。
宮家)しかし、石破さんは一度離党されていますからね。
飯田)そうですね。すでに小沢一郎さんと。
宮家)ですので、それはできないのではないでしょうか。でも、党内で活力のある議論が行われなくなったら政党として終わりです。野党などは分裂していますが。そこまで行かないけれども、健全な批判勢力があり、議論が行われることが民主主義には重要です。その意味では、頑張って欲しいと思いますけれども。
飯田)石破さんご自身も政策に明るい人ですが、派閥全体を見ても、齋藤健さんや政策通の平将明さんなどが揃っています。
宮家)専門家ばかりですよ。
飯田)専門家集団だと、そこのところを頼りにしている人は自民党のなかでも多いですよね。
宮家)しかし、最後は数なのですよね。難しいところですね。
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