経済的に余裕がなくても弁護士の支援を受けられる「法テラス」
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に東京都江戸川区の児童相談所常勤弁護士・船崎まみが出演。現在の仕事をすることになったきっかけについて語った。
黒木)今週のゲストは東京都江戸川区の児童相談所で常勤弁護士をされている、船崎まみさんです。よろしくお願いいたします。弁護士になろうと思われた時期はいつなのですか?
船崎)具体的に意識するようになったのは中学生のころですね。
黒木)それは、「弁護士になるんだ」という夢というか、意思があったのですね。
船崎)中学のときの夏休みの自由研究で、日本の裁判制度や弁護士について調べたことがありました。家族で裁判の傍聴に行ったり、いろいろな本を読んで調べました。人間社会のいろいろなトラブルを解決して、ダイナミックで面白い仕事だなと感じたところがスタートです。
黒木)それで、大学を出られて、弁護士になられたということでしょうか?
船崎)はい。
黒木)いまは児童相談所と法曹界の弁護士という、司法と福祉をつなぐお仕事ですが、いまやっていらっしゃる現状は、何がきっかけでそうなったのですか?
船崎)私の母が障害児の療育の現場で働いていまして。
黒木)療育というと。
船崎)保育士なのですが、障害児を抱えたお母さんと子どもの母子通園の担当をしていました。子どものころから障害児を抱えたお母さんが相談に来ることがよくありました。自分が抱えているクラスの子で、重度の心身障害児であり、自分では発語とか、意思を述べるということができず、お母さんがアルコール依存でネグレクトのような状態で、お父さんは刑務所に行っているというケースの子がいたのです。その話を聞いたとき、自分でSOSも出せず、親もそういう状況の子を誰が救えるのかということをすごく考えました。そのときに、たまたま新聞で児童相談所に非常勤で相談役の弁護士が配置されることになったという記事を読んだのです。そして「福祉と司法をつなぐ人がいれば、助けることができるかな」と思いまして、弁護士になって、そういう仕事をしたいと思いました。
黒木)弁護士になりたいと思われたときに、そういうことまで考えていたということですか?
船崎)そうです。母の仕事を通じて、そういうことも考えたりして、「司法と福祉の連携に取り組む」というイメージを持ちました。
黒木)お母さんの背中を見て、世間を知って、ということでしょうか?
船崎)その影響も大きかったと思います。
黒木)社会には、問題を抱えていても、誰に相談すればいいかわからないという人や、「弁護士の方に頼むにもお金がかかるし」と考えている人も少なくないと思いますが、相談できる場所はあるのですか?
船崎)私が以前勤めていた「法テラス」という、法的なトラブルを解決するための総合案内所があります。国がつくっている法律事務所なのですけれども、経済的に余裕がなくて弁護士費用を払えない人も、国が一定の弁護士費用の援助をして、弁護士の支援を受けられるという制度もあります。
黒木)優しい社会になっているのですね。ただ、そういうことを知らないと大変ですよね。もっと広く知って欲しいですね。
船崎)そうですね。児童相談所でも、弁護士に相談するということに抵抗がある方は多くて、法テラスや弁護士会の公設事務所などで、お金の負担なくそういう支援を受けられるということが、まだまだ知られていません。社会の必要な人に浸透して行って欲しいですね。
船崎まみ(ふなさき・まみ)/江戸川区児童相談所常駐弁護士
■1980年生まれ。東京都足立区出身。
■中央大学法学部卒業。早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了。
■2007年弁護士登録。東京弁護士会の都市型公設事務所、愛知県岡崎市の法テラス三河法律事務所と公設系事務所に約4年半勤務。
■2012年1月より北千住法律事務所勤務。
■2014年4月から東京・多摩市役所に任期付き職員として勤務。
■現在は東京・江戸川区総務部副参事。
2020年4月に開所した江戸川区児童相談所の常駐弁護士として勤務。
児童相談所常勤弁護士は東京都では初めて。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳