【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第968回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、Netflixで全世界独占配信中の『ミッドナイト・スカイ』をご紹介します。
壮大かつ深遠なSFヒューマンドラマの傑作
作家リリー・ブルックス=ダルトンの小説「世界の終わりの天文台」を実写化したNetflixオリジナル映画『ミッドナイト・スカイ』。
滅亡の危機にある地球と広大な宇宙を舞台に、北極に残り続ける孤独な科学者が地球の危機を救おうと奔走する姿を描いたSFドラマです。
『ミッドナイト・スカイ』のあらすじ
人類滅亡の危機に瀕している地球。そんな状況下でも北極に残る孤独な科学者オーガスティンは、謎の少女と出会い、共同生活を送ることになる。
ある日、宇宙探査ミッションを経て地球に戻ろうとする宇宙船“アイテル”の存在を知ったオーガスティン。乗組員のサリーたちに地球に迫っている危機的状況を伝えようと交信を試みるが、通信状況が悪く会話がままならない。
そこでオーガスティンは少女を連れて、高度な設備が整う測候所へ向かうが……。
果たして彼は、宇宙船の面々を救うことができるのか。そして、オーガスティンが地球に残り続ける“ある理由”とは……。
『ミッドナイト・スカイ』のみどころ
監督・製作・主演を務めるのは、ハリウッドを代表する名優ジョージ・クルーニー。
『シリアナ』でアカデミー賞助演男優賞を受賞するなど高い演技力に定評がある一方で、アカデミー賞監督賞にノミネートされた『グッドナイト&グッドラック』をはじめ数多くの作品で監督を務め、製作者としても評価を得ているクルーニー。
本作では、ある“罪悪感”を抱えて生きる初老の男性を熱演。これまでの作品でみせた溌剌とした伊達男ぶりとは一味違った哀愁を帯びた演技で、観る者にその存在を印象付けます。
共演にはフェリシティ・ジョーンズ、デミアン・ビチル、カイル・チャンドラー、デヴィッド・オイェロウォといった演技派俳優たちが集結。ミステリアスかつ深遠な心揺さぶるドラマが、エモーショナルに紡がれて行きます。
まるで自らも宇宙空間に身を置いているかのように錯覚するほどダイナミックかつ繊細な宇宙描写は、かつて『ゼロ・グラビティ』や『インターステラー』で体感した衝撃にも匹敵するほどのダイナミックさ。
加えて登場人物の内面をじっくりと掘り下げた緻密な人間ドラマとしても見応えがあり、“絶望的な状況下で、人はどう生きるべきか”という、コロナ禍の現代を生きる私たちにも響く普遍的なテーマが込められていることに気づく人も多いことでしょう。
2021年に還暦を迎えるジョージ・クルーニーが、長い映画人生を経て、本当に撮りたかった映画。その真髄に触れてみて。
<作品情報>
■Netflix映画『ミッドナイト・スカイ』
Netflixにて独占配信中
監督:ジョージ・クルーニー
製作:ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロブ、キース・レッドモン、バード・ドロス、クリフ・ロバーツ
脚本:マーク・L・スミス
原作:リリー・ブルックス=ダルトン 「世界の終わりの天文台」
出演:ジョージ・クルーニー、フェリシティ・ジョーンズ、デヴィッド・オイェロウォ、デミアン・ビチル、カイル・チャンドラー、ティファニー・ブーン、カオリン・スプリンガル、ソフィー・ランドル、イーサン・ペック
日本語吹き替え版:小山力也、渋谷はるか、岡田日花里、てらそままさき、ふくまつ進紗、楠大典、種市桃子、川庄美雪
原題:The Midnight Sky
公式サイト https://www.netflix.com/jp/title/80244645
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/