「緊急事態宣言」発出の根本にある“東京都の問題”

By -  公開:  更新:

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。延長に向けての調整が進んでいる緊急事態宣言について解説した。

【東京都らが緊急事態宣言を要請】面談後、報道陣の取材に応じる小池百合子都知事(右)、西村康稔経済再生担当相=2021年1月2日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

緊急事態宣言、延長に向けて調整本格化

2月7日に期限を迎える新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言をめぐって、菅総理大臣は2月1日から延長に向けて本格的に調整する。政府は首都圏の1都3県や関西3府県になどについては宣言を延長する方向で調整を進めている。一方、感染者数が減少傾向を見せている栃木県については、宣言の解除も検討されている。

飯田)諮問委員会を開いて、専門家から意見を聞いた上で判断をするということだそうです。

2021年1月28日、会見する菅総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202101/28bura.html)

何を基準に解除するのか

須田)今回、緊急事態宣言に踏み切ったことについて言えば、大前提として、菅政権は緊急事態宣言を発出する考えはなかった。世論や野党の動きに押されてしまって、発出せざるを得なくなった。ですから、最初に発出するにあたっての基準が不明確だった。そのため、解除するときも「何を基準に解除したらいいのか」ということがきちんと決まっていないというのが実態ではないかと思います。

「急速拡大の始まり」強調  新型コロナウイルスの感染対策の徹底を呼び掛ける東京都の小池百合子知事=2020年11月12日午後、東京都庁 写真提供:共同通信社

医療体制が逼迫していた東京都だけの問題だった~解除するにはその改善が必要

須田)そもそも医療提供体制が逼迫(ひっぱく)して来ていた。なかでも東京都の重症者向けのベッド数がかなり逼迫し、医療従事者の数も足りないという状況があった。そんななかで、近隣自治体3県がなぜ小池知事に同調して官邸に行って直談判をしたのか。千葉県は十分足りているし、黒岩知事は神奈川県の状況をまったく把握していないなかで、政治的思惑で小池知事に同調したのです。

飯田)そうでした。

須田)ですから大混乱のなかで緊急事態宣言が発出されたという動きがありました。その後に大阪などの他府県も似たような状況が続いたので、それが見えなくなってしまいましたけれども、もともとこれは東京都の問題だったのです。東京の医療体制が、発出前と発出後で、何か変わったのかと言うと、ほとんど変わっていないのです。その辺りの改善、受け皿を広げて行かないと、解除してもまたもとのもくあみという状況になりますから、解除に当たっては、そこがどの程度充実したのか、厚みを持ったのかということが目に見える形にしないと解除できないと思います。

「大阪コロナ重症センター」で研修する看護師ら=2020年12月11日午前11時9分、大阪市住吉区の大阪急性期・総合医療センター 写真提供:産経新聞社

都立病院や公社の病院をコロナ専門に~なぜ2020年春の段階でやらなかったのか

飯田)東京都もようやく、都立病院や公社の病院をほぼコロナ専門にするという形につくり変えるという話を出して来ましたけれど、これは前々から言われていたことです。

須田)なぜ、2020年春の段階でやらなかったのかという問題があります。加えて、その辺りの目詰まりをなくすために、いま国会で議論されている感染症法について。もともとは病院に対する勧告・要請は特措法のなかで決められていた。ただその権限を持っているのが都道府県であって、国は入っていなかったのです。

飯田)それに関しては都道府県知事の権限だと。

須田)これは感染症法の方で取り扱うことにして、国が権限を持つようになった。これはいま議論をしている最中です。しかも、これは事実上の強制力を伴う、踏み込んで言うと、病院の私権を制限するというものです。私はどうかと思いますけれど、「勧告に従わなければ、病院名を公表する」と。世の中のバッシングで押さえつけるのかという。

飯田)そういうところはありますよね。

須田)違和感を覚えます。それが十分かどうかは別としても、ようやくこういう体制が出て来たということで、いま議論をしている最中です。すべて後手後手に回ったかなという感じがします。

東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県を対象に緊急事態宣言が発令された。通勤時間帯で混雑する品川駅=2021年1月8日午前、東京都港区 写真提供:産経新聞社

病院の私権の制限~有事には一定程度の私権の制限は必要

飯田)その辺をきちんと、有事と平時を切り分けて「権限と責任」というところで整理がつけられなかったのでしょうか。結局、「ヌルっ」と行ってしまいました。

須田)野党はいまになって、「説明責任を果たすべきだ」ということを言っていますけれど、私権の制限をタブー視して、そこの議論に乗って来なかったではないかと。私権の制限というと、短絡的に改憲になるのではないかと。いまでもその傾向が強いから、ここについては非常に後ろ向きですよね。飯田さんが言われたように、私権の制限は何もいたずらに全部やれと言っているわけではなくて、平時と有事を切り分けて、「有事になったときには、一定程度の私権の制限は必要だ」という議論なのです。なぜ、それに対して、そこまで後ろ向きなのか。これは、野党も責任を感じるべきだと思います。

飯田)法律案を見ると、有事と平時の真ん中にグレーゾーンのように、蔓延防止等重点措置という微妙なラインがありますよね。

須田)そこが不透明になってしまって、私権の制限の重みというものを理解しているのかという。確かにグレーゾーンをつくることによっての……。

飯田)段階的に準備することができるということですか?

須田)それは必要なのかも知れないけれども、そこの建て付けをきちんとしておかないと納得がいかない。それともう1つは、私権の制限をする以上、補償とワンセットなのですよ。

飯田)病院に聞くと、コロナの患者さんを受け入れるとなると、病床をつくるにも人が必要だし、コストがかかるということです。公立の病院は税金で補填があるけれど、我々はそういうものは一切ないと。その辺の補償も必要になって来るかも知れませんね。

須田)旭川医大の問題が大きく取り沙汰されたではないですか。あのようなケースが出て来てしまうのです。

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組HP

忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。


Page top