「情報交換」は昼に会議室でやればいいこと~山田広報官「接待」で陳謝

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ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(2月26日放送)に内閣官房参与で外交評論家の宮家邦彦が出演。「東北新社」から高額接待を受けた山田真貴子内閣広報官が衆議院予算委員会に出席し、陳謝したというニュースついて解説した。

総務省幹部接待問題の参考人として衆院予算委員会で答弁する山田真貴子内閣広報官=2021年2月25日午前、国会・衆院第1委員室 写真提供:産経新聞社

山田広報官が陳謝、辞任は否定

山田広報官)この度は、私の総務省在職中の国家公務員倫理法違反にあたる行為によりまして、公務員の信用を損なうことになりましたことを、深く反省しております。本当に申し訳ございませんでした。

 

菅総理大臣の長男が務める放送関連会社「東北新社」から7万円を超える高額接待を受けた山田真貴子内閣広報官は、2月25日の衆議院予算委員会に出席し、「深く反省している」と陳謝した。また辞任は否定し、同時に東北新社側から不適切な働きかけはなかったと強調している。

新行)山田広報官に対して野党からは辞任を求める声もあがったとのことですが、このニュースについてさまざまなメールをいただいています。「山田広報官、接待のときの会話を一般的な懇談であったと釈明しましたが、一般的な懇談とは何ですか?」という質問を、鎌倉市の“ふんどし一丁”さんからいただきました。他にも「外務省でもそのような接待を受けるときがあるのですか?」というような質問も来ています。

総務省統計局 外観=2019年1月17日午後、東京都新宿区 写真提供:産経新聞社

官僚には「権限があるが情報はない」~情報の集まらない官僚はダメ

宮家)この問題はもちろん言語道断なのですが、私は外務省を辞めて16年になりますけれど、法制度化されたかどうかは別として、辞める前からもうこの接待禁止のルールはあったはずです。私が覚えているのは、利害関係者と会食したのならば報告しなければいけないし、1万円を超えたら公表するという決まりだったはずです。では「外務省でもよくあるのですか」と言われたら、外務省には利害関係者が少ないのであまりありませんでした。でも、この話はちょっと少し難しいところもあります。一般論として言うと、役人というのは「権限はあるけれど情報はない」です。なぜならば、彼らマーケットではなくは役所にいるからです。本当のことを知っているのは、民間のビジネスの人たちなのです。ビジネスの人々は「権限はないけれど情報はある」のです。だから、国全体で考えれば正しい情報が権限のある人の方へ流れて行って、そして彼らが正しい判断をすれば当然関係者も潤う。これが官民の本来あるべき姿です。

新行)なるほど。

宮家)逆に言うと、情報が集まって来ない官僚というのはダメなのです。私が業者であれば、頭のいいしっかりした人にいい情報を入れてきちんとやってもらって、ついでにおこぼれももらえたらいいなと、こう思います。それが基本です。

衆院本会議で令和2年度第2次補正予算案が賛成多数で可決し一礼する安倍晋三首相(右)。中央は麻生太郎副総理兼財務相=2020年6月10日午後、国会 写真提供:産経新聞社

情報交換は昼に会議室でやればいいこと

宮家)「一般的な懇談」が何かということはわかりませんが、一般的な意味で、情報交換をするということは当たり前であって、それまでダメだと言われてしまったら困ってしまうのです。問題は、「なぜ情報交換を夜にやらなければいけないのか」ということです。昼に会議室を取ってやればいいのです。我々は昔、会議室で非政府の人々とはどんどん意見交換をしていました。20年近く前からそれがルールとしてあるのに、「いまごろ何をやっているのだ」と言いたい。今回の接待問題について弁護する気はありませんが、少なくとも外務省ではそのように「接待される」ということはありませんでした。

新行)そうなのですか?

宮家)権限がないので、接待など受けようがありません。利権がないところに誰も接待なんてしようと思いませんよ。

記者団の取材に応じる菅義偉首相=2021年2月3日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

お茶を飲みながらでも懇談はできるはず

新行)外務省にとっての利害関係者とは、どのような人なのですか?

宮家)外務省にとっての最も典型的な利害関係者はもしかすると、外国政府ではないですか。外国の大使館ではパーティがありますが、7万円のパーティなどやりません。繰り返しになりますが、情報が集まって来る役人のところに、いい仕事が来るということなので、情報交換は良い、ただ、夜にやらないで昼にやればいいのです。なぜ夜にやりたいのかというと、お酒を入れてやりたいからなのです。お酒を入れるとより親しくなるではないですか。そしてつい本音が出るかも知れません。それを期待して行くわけです。

新行)そういうことはありますね。

宮家)しかしそれは普通に人間関係を築けば、午後の3時でも、お茶でも飲みながら懇談することは十分できるのです。それができないということは問題ですが、ビジネスのやり方も含めて、日本全体を見てもそうではないですか? 外務省には利権がないので、あまり利害関係者はいないのですが、許認可権を持っている役所は国内にたくさんあります。私の感覚としては、あのルールが始まってから20年近く経っているはずなのに、おそらく一部では慣れてしまって一部では復活しているのではないかと。山田さんは「気が緩んだ」と言っていますが、私は気が緩んだのであれば、霞が関中で緩んでいるところがあると思います。

2020年10月26日、所信表明演説を行う菅総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/26shu_san_honkaigi.html)

本来あるべき「官僚とビジネスの世界の意志疎通」をするためのルールをつくり直せばいい

宮家)いいチャンスですから、このようなことはもうやめて、昼に会議室で話をするようになればいいではないですか。朝飯を食べながらでもいいでしょう。外国でも、人間ですから同じようなことをやっているのですが、いまでも覚えているのは90年代だったと思いますけれど、あのときはアメリカのワシントンでは確か20ドル以上の昼飯をごちそうになったら報告しなければいけないというルールが出来て大騒ぎになったことがあります。

新行)日本円だと大体いくらほどなのでしょうか?

宮家)いまの感覚だと3000円ほどですかね。そうすると面白いもので、レストランのメニューに「19ドル90セントの昼食セットメニュー」なるものが出てきて、それだと報告しなくていいことになるのです。各国とも関係者はいろいろと考えているのです。しかし、それだって普通のご飯であって、決して7万円のご飯ではありません。知恵を出して、本来あるべき官僚とビジネスの世界の意思疎通をきちんとするためのルールを、もう一度つくり直せばいいのです。すべての一般的な意見交換が悪いとは言いません。しかし度を過ぎた接待を夜にやらなければいけないことはないでしょう、ということです。

 

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