5分裂するアメリカ国内政治~「反トランプ」へ傾く共和党
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アメリカがシリア東部の民兵組織関連施設を空爆したというニュースについて解説した。
シリア東部の民兵組織関連施設をアメリカが空爆
アメリカのバイデン政権は2月25日、シリア東部でイランが支援する民兵組織に関連する施設を空爆したと発表した。シリアに隣接するイラクのアルビルでは2月15日、アメリカ軍が駐留する基地の近くに複数のロケット弾が着弾し、民間人1人が死亡、アメリカ軍の兵士らが怪我をしており、声明では、空爆はこうした最近のアメリカ軍などへの攻撃に対する措置だとしている。
飯田)また、バイデン政権は26日、サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏殺害事件で、サウジの事実上の最高権力者ムハンマド皇太子が「拘束または殺害を承認していた」とする報告書を公表したということです。中東に対していろいろと手を打って来ていますが、これはどうご覧になりますか?
須田)中東政策に関して言うと、アメリカ国内でも、利害関係が複雑に絡み合っていますから、バイデン政権としても、非常に難しい舵取りということになって来ています。しかし、「やるべきことをやる」という毅然としたスタンスを示すことができたのではないかと思います。
5分裂しているアメリカ国内政治~民主党が2つ、共和党は3つに分裂
須田)アメリカ国内政治を見ますと、民主党は大きく2つ、共和党は大きく3つに分かれているのです。5分裂というような状況になっている。民主党はどうなのかと言いますと、もちろん民主党内の左派も、バイデンさんは穏健派ですから、左派対策、政策をどうするのかというところがあります。日本ではきちんと指摘されていませんが、ジョン・ケリーさんという、元オバマ政権の国務長官がいましたが、そのケリーさんを気候変動問題担当の特使に任命しています。
飯田)閣議にも参加するということです。
ジョン・ケリー氏を気候変動特使に任命~党内左派に配慮
須田)一部の閣僚人事と合わせて、最初にバイデンさんが指名したのはこのケリーさんなのです。国務長官から比べると、格落ちしたポジションをよく受けたということで、驚きだったのですけれども。いずれにしても、これは党内左派に対する、極めて強い配慮をしたということです。
飯田)日本の報道だと、「俺たちの左派から特使を出すのではなく、ケリーが来たことを怒っている」というような報道もありましたけれども。実際にはそうではない。
須田)そうではない。「この部分についてはしっかりやりますよ」と、民主党内をまとめるということです。
飯田)確かに、政権発足前に環境については、バイデンさんや穏健派の人たちはビジネスにも近いから、後々骨抜きにするのだという話がありました。そうしないとビジネスが成り立たなくなるから、というようなことも言われていましたけれども、「そうではない」というメッセージですか?
須田)そうなのです。左派の人たちは、それを受け入れているという状況にあるわけです。片や共和党に目を転じてみますと、トランプさんに対するスタンスという点で3分裂しているのです。1つはトランプさんをこれからも全面的に支援して行こう、MAGA(Make America Great Again)運動について全面的に関わって行こうという人たちと、「どっちに付いた方が得なのか」という日和見派。特に1月6日のことを考えると、このままついて行くと大変なことになるが、選挙のことを考えると、来年(2022年)はもう中間選挙だぞと。自分の立場を考えると、「やはりトランプさんの支援は必要だ」という日和見派。そして反トランプ派と分かれているのです。
飯田)3派に分かれている。
反トランプに傾く共和党~リズ・チェイニー議員への「ポスト除籍投票」で無効多数
須田)これも日本ではあまり報道されていないことなのですが、ある共和党内の投票に注目しました。リズ・チェイニーさんという、ブッシュ・ジュニアのときのディック・チェイニー元副大統領の娘さんがいます。現在、アメリカ議会の会員の共和党ナンバー3とよく報道されていますが、実質的にはナンバー2です。この方がトランプさんに対して反トランプ的な行動をしたので、「ナンバー3のポストから除籍すべきだ」という声が共和党のなかで起こったのです。
飯田)弾劾に賛成したのですよね。
須田)そうです。その結果どうなったかと言いますと、2月3日に共和党のなかで秘密投票が行われたのです。これは無記名なのです。これが反対145賛成61という、圧倒的大差で除名反対と。
飯田)チェイニーさん側に回った人が145人いた。
須田)心情的には、反トランプに傾いているということなのです。この「バランスを取って行かなければならない」という点で、いまアメリカは難しいのです。
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