コロナ「第4波」に備え、必要な「病院の役割分担」 現場医師が語る

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東京都医師会理事で「河北総合病院」理事長補佐 心臓血管外科医の新井悟氏が3月5日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。今後構築していくべき医療体制と、健康管理のために気をつけるべきことについて解説した。

コロナ「第4波」に備え、必要な「病院の役割分担」 現場医師が語る

新型コロナウイルス患者専用病院として運用される、旧都立府中療育センターに設けられた個室の病室 撮影:2020年10月2日、東京都府中市 写真提供:共同通信社

飯田浩司アナウンサー)コロナは段々終息に向かっているであろうと思うのですが、ただ完全になくなるわけではありません。そのなかで、コロナ以外の通常の医療の逼迫というものもあるとお聞きしましたが、今後を考えると、どういった医療体制を構築していったらいいと思いますか?

新井)まず、コロナに対応する医療提供体制でいうと、東京都でも専門病院を立ち上げて、3つの都立病院が専門になりました。また、東海大学の病院(東海大医学部付属東京病院)や府中の病院(都立府中療育センター)なども専門病院という形で対応していますので、そういう形は大事だと思います。さらに第4波が来たときにどう対応するかというと、やはりこれらの病院だけでは当然困難ですので、コロナを診る病院と、それ以外の症状を診る病院とで、ある程度の役割分担をきちんとしていきます。さらに、中等症の方を受け入れる病院と、重症の方を受け入れる病院という形で連携して、コロナが治った患者さんへの対応も行います。退院した後、あるいは退院する前に、リハビリをしなければならない患者さんも出てきますよね。そういう方の転院先を整えることも大事です。

飯田)前線から後方まで全て、層に分けてきちんと整備していかないと、どこかで詰まってしまうということですね。

新井)その医療提供体制をやるきちんとやるためには、やはり新規感染者数を抑えなければなりません。爆発的に増えるというようなことでは、対応しきれない場合もありますので、それを抑えていくための方策が必要です。感染を抑えながら医療提供体制を整えていき、ワクチンの流行が広がるまで対応することが大事になると思います。

コロナ「第4波」に備え、必要な「病院の役割分担」 現場医師が語る

新井悟氏、飯田浩司アナウンサー

飯田)これだけコロナが続いてきているなかで、健康に対して物凄く気を遣っていらっしゃる方も多いと思います。先生の専門は心臓血管外科医でいらっしゃいますが、これまで恐れられてきた病に対しても、備えは必要になってくるのでしょうか?

新井)そうですね。やはりコロナが流行していますと、心臓病を持った高齢者の方は、外出を控えて家でじっとしていることが増えてきました。そうしますと、やはり運動不足により、心肺機能や筋力が低下してしまいます。患者さんのなかには、コロナ前と比べて、そういったものの低下がより進んでいく方もいらっしゃいます。若い方でも、あまり運動をせず自宅で食事をしていることで、肥満になってくることがあります。そうすると、糖尿病を持っている方はそれが悪化し、最終的には心機能が低下して心不全が進むという形になります。コロナ前までは、心機能が悪い方でも、お薬や日頃の運動によって日常生活を送ることができていたのですが、最近は心不全で入院してしまう方も増えているような気がします。

飯田)世の中全体の空気として、気持ちが晴れないといったことを感じますが、そういった気持ちの面というのは、病気にも作用するのでしょうか?

新井)鬱的になる患者さんや、閉じこもってしまう患者さんもいらっしゃると思います。その辺りのケアというのは我々にとっても難しいところではあるので、やはりそういったことについては、マスメディアの方が発信していただくといいのではないでしょうか。「今日は天気がいいから歩きましょうね」など、そういった声をかけてもいいかと思います。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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