東京都医師会理事で順天堂大学総合診療科教授の小林弘幸氏が1月7日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスの感染によって自宅療養となった場合の過ごし方について解説した。
飯田浩司アナウンサー)コロナに感染して自宅療養となった場合、まず症状の点では、どういったところに注意すべきでしょうか?
小林)コロナの場合は、発熱、倦怠感、咳といった、一般的なウイルス性の風邪と同じ症状はもちろんあるのですが、合併症が起こることも少なくありません。呼吸器系の病気や不整脈、そして特に怖いのが肺塞栓症です。この肺塞栓症というのは、血液の流れが悪くなったり、もしくは塞栓子が肺に飛んだりしたりして、発症することが多いです。自粛生活ということで、あまり動かずに長時間過ごしていると、よく飛行機の中で発症するエコノミー症候群になり、足にできた血栓が肺に飛んでしまうといったことが起こるのです。
もちろん自宅療養は重要なのですが、軽い運動で構いませんので、やはり運動は欠かさないでいただきたいです。コロナに感染していない方の場合であれば、外の誰もないところで感染するというのはありませんので、散歩をするなど、そういった運動をしていただくといいと思います。
水分の補給も大事です。脱水になると血液の流れが悪くなり、血栓ができやすくなりますので、水分を補給することで、そういった状態を防いでいただきたいです。コロナは血管系の病気であるとも言われていますので、その辺りは十分に気をつけていただきたいです。
飯田)コロナにかかっている方にとっても、水分補給は必須ということでしょうか?
小林)冬はただでさえ水分量が減ってしまいますので、水分補給は必須です。水分というのは意識しなければ取れませんので、私はよく患者さんに、例えば500ccのペットボトルを、1日3本、目の前に置いておいて、飲み終わってから寝るようにしてはどうでしょうかと勧めています。
飯田)ノルマのようにするということですね。
小林)そういった形で意識して行えば水分補給ができるのですが、お水を冷蔵庫に入れてしまっていると、なかなか飲み終えることができません。
新行市佳アナウンサー)枕元など、身近に置いておいたほうがいいということですね。
新行)また、自宅で療養しているときに急に体調が悪くなった場合は、どうしたらいいでしょうか?
小林)救急車を呼ぶかどうかで迷うことがあると思うのですが、日中であれば、かかりつけの病院へ連絡するというのは、やはり重要だと思います。それができない場合は、#7119に連絡すれば救急相談センターに繋がりますし、本当に呼吸が苦しくてそういったところに相談している余裕がないのであれば、早めに救急車を手配することが重要ですね。
その際、よくご家族の方が患者さんを勝手に動かしてしまうことがあるのですが、そうすることによって血栓が飛ぶといったことも起きますから、救急車が来るまでは動かさず、寝かせたままにしておくことも大事です。
飯田)救急車を呼ぶときには、コロナ陽性であることは当然言わなければなりませんよね?
小林)言わなければなりません。
飯田)患者さんの症状が急変した場合、どう対応していいかわからず気が動転しがちですが、その辺りの対処法も、頭に入れておいたほうがいいということですね。
小林)そうですね。やはり軽症と診断されていると、どうしても油断が出てしまうと思います。ただ、コロナに関してはわかりきれていない部分もありますので、急変する可能性もあるということを頭に入れて、生活をしたほうがいいと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます