中国政府が「アリババ」に3000億円の罰金処分を科した狙い

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月13日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。中国政府から独占禁止法違反で3000億円の罰金処分を科された「アリババ」について解説した。

習近平国家主席=2020年6月22日 Avalon/時事通信フォト 写真提供:時事通信

中国のネット通販最大手「アリババ」

中国のネット通販最大手、アリババ・グループの張勇(ダニエル・チャン)CEOは独占禁止法違反で、日本円で約3000億円の罰金処分を科されたことについて、4月12日に記者会見を開いた。ダニエル・チャン氏は「中国政府による処分が事業に重大な影響を与えることはない」と述べ、市場や利用者の懸念を払拭した。

ソフトバンクが感情認識パーソナルロボット「ペッパー(Pepper)」の一般販売に関する記者発表を行い、世界販売へ向けての体制方針も打ち出した。アリババグループのジャック・マー会長=2015年6月18日、千葉県浦安市 写真提供:産経新聞社

このタイミングで「アリババ」に対して独禁法違反を科す理由

飯田)「重大な影響はなし」となっていますが、どうご覧になりますか?

クラフト)アリババ系列のアント・グループに対しても組織再編を求めたり、中国政府は去年(2020年)からアリババをターゲットに、いじめとも思える締め付けを行っています。アリババの事業形態というのは以前からあったわけですから、急にここで独禁法違反というのは違和感があります。もう1つは、ジャック・マー封じということですね。

飯田)創業者の方ですよね。

アリババ、香港に上場(香港=新華社記者/朱祥)=2019(令和元)年11月26日 新華社/共同通信イメージズ 写真提供:共同通信社

アメリカや海外に対するアピールも

クラフト)そういう一面がある一方で、アメリカで中国企業が軒並み上場廃止や規制対象になっています。そういうアメリカ、また海外に対して、「中国政府も中国企業を規制していますよ」というアピールをしようとしているのかなとも受け取れます。

飯田)ある程度コントロール、ガバナンスはきちんとしているぞというところを見せたい。

クラフト)3000億円という多額の罰金を受けて、CEOがただ単に政府に反論せず、「事業に影響しない」と言うこと自体が、いかに恐れているか、強制的なものかという印象は受けました。

飯田)普通に経済活動として考えたら、この額の罰金をいきなり科されたら、企業として文句の1つも言わないと、逆に株主から怒られそうですよね。

クラフト)これが中国の形態で、株主も何もかもすべて政府が決めて「異論なし」ということではないかと思います。

1時間で1.5兆円取引「独身の日」のイベントで、取引額の1千億元突破をアピールするアリババグループ=2019年11月11日、中国・杭州市(共同) 写真提供:共同通信社

中国企業に対する国内へのメッセージか

飯田)アリババの創業者のジャック・マー氏に関しては、去年10月の上海でのカンファレンスで、ある意味、当局に喧嘩を売ったというところから、ケチのつけ始めのような感じになっていますよね。

クラフト)実態はどうなのかわかりませんが、そういう印象は受けます。中国は1つの国に対して、例えばオーストラリアを攻撃して他の国に「たてつけばこうなるぞ」というメッセージを出すというやり方をしますが、これも中国企業に対して「政府にたてつけばこのようになるよ」という国内へのメッセージなのかなと推測してしまいます。

飯田)ある意味の見せしめ。

クラフト)そうですね。

中国は2020年10月14日午前、広東省深セン市で深セン経済特区〈SEZ〉設置40周年を祝う盛大な大会を開いた。習近平共産党総書記・国家主席・中央軍事委員会主席がこれに出席し、重要演説を行った。〔新華社=中国通信〕写真提供:時事通信社

中国の新興企業に逆風

飯田)12日の日本経済新聞が1面トップで、

『中国ハイテク新興に逆風 88社新規上場取りやめ』

~『日本経済新聞』2021年4月12日配信記事 より

……という記事を掲載していますが、アリババの締め付け等で88社が上場を取りやめたということです。

クラフト)全体的には、中国もこれまで新興企業を積極的に立ち上げて来ましたが、一方では多額の負債を抱える企業や、過剰な投資をして中国経済に歪みが出ている部分もあるので、そこを抑制したいという中国政府の意図もあるのではないかと思います。しかし、この過激な締め付けには驚きます。

飯田)実際、「経済成長率は6%台を維持している」などという数字が出て来ますが、どのくらいまで信用したらいいのでしょうか?

クラフト)これも、コロナの情報同様、正直あまり信用できません。相手国がある貿易の数字など、中国国内だけでは決められないようなデータに関しては、ある程度の信用性はあるのでしょうけれども、毎年6%の経済成長というのも、話ができ過ぎているのではないかと思います。

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