曖昧でよくわからない日本維新の会の「ベーシックインカム」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月19日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。日本維新の会が次期衆議院選に公約として掲げるとする「ベーシックインカム」について解説した。
日本維新の会が掲げる「ベーシックインカム」
日本維新の会は4月17日、大阪市内で党大会を開き、次期衆院選に向けた活動方針を決定した。活動方針では、最重要政策として経済成長と格差解消に向けた「日本大改革プラン」を策定。国民に最低限の所得を保障する「ベーシックインカム」の導入などを公約に掲げる考えを示した。
飯田)ベーシックインカム、最低所得保障という言い方もしますが、いろいろなところで議論されて来ています。
曖昧なベーシックインカムの中身
須田)最近、ベーシックインカムの導入を主張する人たちが増えているのですが、日本維新の会のベーシックインカムに関する制度設計が具体的にどういう内容なのか、よく見えないのです。通常言われるのが、「月額7万円の給付」という形で日銀の政策委員の原田泰さんが主張しているのをとって、月額7万円ということなのですが、私はそういう主張をする人たちに、「そうするとベーシックインカムによって何がなくなるのか」という話をすると、例えば「生活保護や国民年金」というような言い方をするのです。しかし、生活保護をなくす代わりに7万円をもらえば、それで生活が成り立つのかと言うと、市区町村によって生活保護の額は変わるのですが、日本維新の会の膝下の大阪市の場合だと、住宅扶助だけで4万円を出しているのです。それを含むのか含まないのか、その辺りも曖昧です。
飯田)確かにそうですね。しかし、基本的にベーシックインカムというのは、そういうものをすべてまとめて出すという立て付けですよね。いろいろな形があるのかも知れませんが。
須田)そうすると、7万円から4万円を引いて3万円では生活ができないですよね。
飯田)月額3万では少し厳しいです。
「給付付き税額控除」を示すベーシックインカム
須田)「そうではなくて、これは平均値を取ると月額7万円になるのだ」と。なかなかこれもよく見えて来ないのですが、どうやら税額控除のことを言っているのかと。
飯田)給付付き税額控除。
須田)つまり7万円については税額控除しますよと。「それだけ控除できない人については、差額分を給付して行きますよ」というイメージです。しかしそれは、世の中の一般的に言われている、またはグローバルで言われている「ベーシックインカム」とは、少し違うのではないかと。
飯田)そうですね。「給付付き税額控除」となると、給付の仕方の1選択肢のようなところがありますね。
制度設計が出て、メリット、デメリットがわからないと議論ができない
須田)その辺りを具体的に「どういうベーシックインカムを想定しているのか」というところを言わなくてはなりません。平均7万円を給付するとなると、結果的には、それで社会保障費がすべて吹っ飛んでしまうのです。言ってみれば7万円がベーシックインカムの限界値なのだろうと思います。これ以上出そうとすると、赤字国債などに頼らなくてはならず、意味のない話になってしまいますから。そうすると、どういう形で制度設計をして、我々はどういうメリットを受けることができるのか。一方でデメリットは何なのかという議論の叩き台のところを出してくれないと、賛成反対は言いにくいのではないかと思います。
飯田)確かに「お金をもらえます」というと、「おっ」となりますが、その分カットされるものや一緒になるもの、年金や医療福祉も含めて7万円のなかに入っているということになると、少し考え方が変わります。これは制度設計によって、一口に「ベーシックインカム」と言っても、いろいろなものが存在する可能性があるわけですね。
須田)ですから、普通のごく平均的な生活を送っている人にとって、7万円を現金で毎月もらえるのなら、もう少し頑張って働き、そのなかから年金も納めて行こうとか、健康保険も民間の制度を利用しようとなるかも知れませんが、どうもそういうことではなさそうなのです。
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