結果的には日米首脳会談の共同声明と同じ内容~G7外相会合閉幕
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月7日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。日本時間6日未明に閉幕した先進7ヵ国(G7)外相会合について解説した。
G7外相会合が閉幕
ロンドンで開催された先進7ヵ国(G7)外相会合は、覇権追求を強める中国に対し、人権侵害や海洋進出、貿易慣行など幅広い分野で、強い懸念と牽制(けんせい)を表明し、5日(日本時間6日未明)に閉幕した。
飯田)ロンドンで開かれて終わったばかりのG7外相会合。5月6日には共同声明も出されました。どうご覧になりますか?
4年ぶりの共同声明~過去3年間出ていない理由
宮家)共同声明は「コミュニケ」と言いますが、面白いことがわかりました。G7外相会合のコミュニケというのは、過去3年出ていないのです。
飯田)過去3年出ていないのですか。
宮家)それはトランプ政権だったからだと思うのですけれどね。直近の声明は2017年のときのものです。しかも、今回の共同声明はとても長いのですよ。1万2000語以上あって、パラグラフだけで87個あって、項目は40個もあるわけです。イギリスが議長ですから、まずヨーロッパから始まります。ロシア、ベラルーシ、ウクライナ、バルカン、それからやっとインド・パシフィックになって、中国、北朝鮮、ミャンマー。これが終わると次に中東があって、イラン、イラク、シリア。そしてアフリカが6ヵ国くらいある。それから不拡散や気候変動まであるので、全体としてはとても長いのです。みんな本当に全部読んでいるのかと府不思議に思います。読むだけで2時間くらいかかるのですよ。
飯田)ただ読むだけでもね。
宮家)1万2000語あるから。一応、w他紙も目は通しましたけれど。昔を思い出しました。これはG7各国の事務方がみんなで一生懸命つくるわけです。
飯田)官僚の人たちが集まって。
共同声明のなかで量は少ないが、いちばん比重の大きい中国に関する議論
宮家)その長い共同声明のなかで、中国については、87パラグラフのうち、6つしかないのです。しかし議論された比重がいちばん大きかったのはやはり中国です。それはお決まりの新疆ウイグル、香港の人権問題から始まって、一連のものがあるのだけれど、この間も日米首脳会談の共同声明で「台湾を入れるか入れないか」という議論がありましたよね。これにもスポンと入っているのですよ。
飯田)台湾の問題。
宮家)これはいままで例がないので、表現振りについてはかなり苦労しただろうと思います。イギリスで面白いと思ったのは、昔、米英というのは特別な関係という時代があって、例えばレーガンさんとサッチャーさんの時代がありました。今のジョンソンさんは面白い人で、トランプさんにもすり寄って行ったのだけれど、いまは完全にバイデンさんにすり寄っていますよね。
結果的には日米首脳会談の共同声明の内容と同じ
宮家)アメリカは今回のG7で、中国を念頭に先進国の外相を何とか一致団結させたい。そうは言っても、日本もそうですが、イタリアやドイツとは微妙な温度差があるわけです。イギリスの新聞を読んでいたら、「一致団結して厳しい姿勢や具体的措置を取るには至らなかった」と書いてありました。イギリスがいくらアメリカと組んで頑張ってみても、やれることとやれないことがあるので、よく考えてみたら結果的には、日米首脳会談とそのときの共同声明の内容と同じようなものになっています。
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