ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月10日放送)に日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が出演。アメリカの石油パイプラインがサイバー攻撃を受け、すべての操業を停止したというニュースについて解説した。
アメリカ最大の石油パイプラインがサイバー攻撃で操業を停止
アメリカ最大の石油パイプラインを運営するコロニアル・パイプラインは5月7日、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)によるサイバー攻撃を受け、すべてのパイプラインの操業を停止したことを発表した。停止が長引けば、国民生活や経済活動にも影響を及ぼす可能性がある。
飯田)アメリカでは大動脈のようですね。
秋田)そうですね。東海岸の燃料供給の半分近く、約45%が麻痺しているというのですから、人間で言えば動脈が詰まってしまったようなものですよね。
飯田)そういうことですよね。いまのところ備蓄で何とかなるけれども、長引けば大変だということです。
「ハッキングされていることすらわからない」のがサイバー攻撃に対する日本の現状
秋田)これを見たときに、「日本は大丈夫なのか」と思いますよね。サイバー専門家に取材をさせていただくことがあるのですが、大きなコンピューターシステムに入ったウイルスを発見して取り除くというのは、東京ドームに落ちている2本の針を探し当てて取り除くというような作業だそうです。今回はこのように目に見える被害が起きているので別物なのですが、アメリカではよくハッキングされて、何百万人もの個人情報が流出してしまうということが発表されるではないですか。日本的には内心、「日本は安全なのに、なぜアメリカはあんなにやられているのだろう」と思ってしまいますが、それも専門家に言わせると逆で、やられたことがわかっているからアメリカは抜かれているのだとわかっている。しかし、日本も抜かれているのだけれど、それすらもわからない。針2本を見つけるような作業なのですから。
飯田)アメリカには針2本を見つける能力がある。
秋田)さらに、FBIは中国のハッキングなどを起訴しますよね。それは針2本をどこから持って来たのかということも見つけて起訴するわけです。起訴というのは、政治的に「お前だろう」ということとは違って、法的なものですから証拠もある。おそらく日本も政府や企業などの情報が相当ハッキングされているのだと思いますが、気が付いていない可能性がある。そこが今回、この事件を見ると心配になります。
企業やインフラを持っているところがサイバー攻撃から自分たちで守るしかない日本の現状
飯田)サイバー対処をする自衛隊の部隊も、アメリカと比べたら桁が違いますよね。
秋田)いろいろな数え方があるのですが、アメリカには数千はあります。日本では自衛隊が200とか、その程度の部隊です。これだけだと、ほとんど自衛隊のサイバー攻撃を防ぐか対処するだけで、日本全体を守るのは無理です。いまは首相官邸に内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)という組織があって、各省庁の人たちが出向してウォッチしているのですが、これは守っているのではなくて、「やられたら情報をそこに集結させなさい」という連絡窓口です。それを受けて「このようなことがあった」という情報を共有することはできるのですが、それぞれの企業やインフラを持っている人たちが自分で守るしかないという現状です。
飯田)それで本当にいいのか、というところですね。
秋田)少し心配ですね。
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