ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月7日放送)に内閣官房参与で外交評論家の宮家邦彦が出演。5月末までとなった緊急事態宣言の延長について解説した。
緊急事態宣言、5月末まで延長~愛知と福岡も追加
政府は東京や大阪など4都府県に出している新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言について、期限を5月末まで延長し、新たに愛知県と福岡県も加え、宣言の対象を6都府県に拡大することを決定した。
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1年間何もしないのはなぜか~このままで強力な変異株が来ても大丈夫なのか
宮家)理解できないのは、連休に数が減ったわけでしょう。それは検査数が減ったからだということです。では検査の数が増えたら増えるのか。でも、検査はもっと増やすべきでしょう?それは1年も前から言っていることではないのか。どうして1年間何もしないのか。どうして注射を打てる人がいっぱいいるのに打てないのか。素朴な疑問がこみ上げて来ます。私はもう65歳を過ぎますから、そろそろ危険ですよね。リスクが出ると思いますよ。
飯田)一般的にはということですね。
宮家)いままでは従来のシステムを温存して何とか対応して、日本にはそれだけの民度があるからできたのかも知れないけれども、それをこのまま続けるのですかということです。これで強力な変異株が来たときに、いまの体制で対応できるのか。昔からある縦割りの世界がありますが、これを1年間変える気はない。それを変えないで何とか凌いで来た。それはそれで素晴らしいと思いますよ。だけど「これで本当に大丈夫なのか」と思ってしまうのです。
どうして変えるべきことを変えられないのか
飯田)ワクチンが来て、打つ人の状況も前々から想定されていたことだし、イギリスの場合はそのために特措法をつくって、お医者さんや看護師さん以外も打てるように法律を変えました。
宮家)その垣根を取り払うなり、臨時的に特例措置をやるなり、そういうことをやるのが本来の政府の仕事なのではないかと思うけれど、残念ながら「それをやらないという前提でやっている」ようにしか見えないのです。頑張っている人たちには申し訳ないのだけれど、私からすると「どうして変えるべきことを変えられないのか」と思います。そんなに変えないことが大事なことなのか。国民の命よりも大事なのかと思うときがあります。
飯田)現場の頑張りと全体のシステムをどう変えるかというのが、どうしてこんなに離れてしまうのだろうという。
宮家)明治時代からあるシステムなりルールなりで、棲み分けがあるのだろうと思います。それを全部壊せと言っているわけではないのだけれど、緊急事態のときくらいは、それが少し緩くなるようなシステムにしないといけないのではないでしょうか。
1つひとつは正しいけれど、全体としては間違っている
飯田)目的に向かって「邪魔になるのならば変えればいいのではないか」と、欧米の人たちはそう発想するのだろうけれど、我々は「これがあるから変えられないのだ」となる。
宮家)みんな。それなりに説得力があるからできないのです。
飯田)それでギリギリに切羽詰まるところまで。
宮家)私が役人であったら同じことをやっているかも知れませんが、これは「合成の誤謬(ごびゅう)」ですよね。1つひとつは正しいけれど、全体としては間違いだという。そうなってはいけないですよね。
飯田)そこを引いて大局で見られるのは、現場の官僚というよりも、政治家、あるいはメディアも入るかも知れない。
宮家)もしかすると冷めて見ている一般庶民が、いちばん正しいのかも知れない。
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