医師で元厚生労働省医系技官、元WHOコンサルタントの木村盛世氏が5月17日、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』(スペシャルパーソナリティ:立川志らく)に出演し、東京オリンピック・パラリンピックの開催へ向けての、政府のエビデンスに基づいたデータによる説明の不足に苦言を呈した。
政府がエビデンスに基づいたデータを示せばその判断に国民は従う
木村)政府はオリンピックを開くこと・開かないことに関して、メリット・デメリットというのを整理して、国民に教えて欲しいです。例えばもしも違約金が何兆円という話になって、それは国民の負担になってくるのか、そしてIOCがいま違約金等で日本を本当に訴えられるのか、現状このような不可抗力のなかで、それが本当にできるのかというのを私はぜひ国際弁護士に聞いてみたいし、とにもかくにも変異株等の話もありますので、日本国民としてやはり不安になるところはたくさんあるので、政府はそれをきちんと整理して示してほしいと思います。
志らく)ただただ、「安心・安全を目指します」ってそんなのは当たり前なのでね、平時だって安心・安全を目指すのは当然なので、そこをきちんと説明してくれないで「やる!」だけだから、
他のニュース番組でビートたけしさんが「オリンピックやりたいから、『映画館』は止めるけど、『イベント』は開けている。オリンピックは最大の『イベント』だから。本来は『映画館』なんて開けておいてもいいのに、『映画館』を閉めて、『イベント』はみな規制を緩和してやっている。これはオリンピックをやるためのものではないか」と言っていたのですが、そこは下衆の勘繰りでそう思ってしまうのですよね。
木村)それもやはり国民の1つの不安だと思うのですよね。きちんとそのエビデンスに基づいたデータというのは非常に重要なので、こうしたことをするとこうなるということを示せば、日本国民は決して馬鹿ではありませんから、きちんと政府が示したうえで判断してくれるのであれば、それに私は従うと思います。
間違いを認め、速やかに方向転換していくのが危機管理
志らく)「違約金がこれだけ出る可能性があります。皆さんの税金が上がってしまう可能性があります」「来年に延期するという話もないにはないですが、放映料などがかかって全部おかしなことになってしまいます」「来年には世界大会もあるからだからズラせないのです」とか……いろいろなことがあるのにそれを一切言わず、なぜか「安心・安全を目指す。それをみんなに分かってもらう」と言って、分かってもらう努力をあまりしてないですものね。
木村)そうですね。やはりいろいろ、特に官僚組織等は自分たちがやったことに関して間違いだとは言ってはいけないという、これはもう“文化”があります。でも、新しいウイルスですから、誰も分からないわけで、じゃあこの新型コロナウイルスの“専門家”はいますかと言われたときに、まったく新しいウイルス、1年程度前にできたウイルスに対して分かっていないことの方が当然ですから“専門家”というのはいないのかもしれない。となれば、政府だって間違うことはある。そのときはやはり間違いは速やかに直して、特にこれからデータもいろいろ出てくるでしょうから、それを柔軟に対応して、国民に説明して方向転換をしていくというのが危機管理だと思います。
志らく)オリンピック中止というのは本当に国民の感情論でこじれているから、感情論を感情で抑えようとしても収まりがきかないですよね。感情論を抑えるのはきちんとした科学的なデータで抑えるしかないですからね。
木村)そうだと思います。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)