ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月21日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。アイスランドのレイキャビクで行われた米ブリンケン国務長官と露ラブロフ外相の会談について解説した。
アメリカとロシアの外相がバイデン政権発足後、初の対面での会談
アメリカのブリンケン国務長官とロシアのラブロフ外相は5月19日、アイスランドの首都レイキャビクで会談した。バイデン政権発足後、対面で米露外相が会談したのは初めてである。両外相は米露間に相違があることを認めつつ、協調分野を模索。冷戦後、最低水準と言われる米露関係の改善を目指す首脳会談の実現が今後の焦点とみられている。
飯田)協調分野、コロナ対策等を冒頭発言で挙げています。
ロシアと握って中国に集中したいアメリカ
宮家)アメリカの外交政策の重点が欧州や中東からインド太平洋へ移りつつあり、その先には中国が念頭にあるわけです。こうして国際情勢が動いて行くなかで、本来アメリカは戦略的に考えれば、ロシアと何らかの形で握っていたい。少なくとも二正面作戦だけは嫌ですから、中国に対して、エネルギーをより集中したいと、私がもし戦略家であれば考えます。
飯田)中国に集中したい。
宮家)ところが実態としてはそうなっていません。ロシアはロシアでまったく違う発想で、ヨーロッパはソ連が崩壊したらロシアに優しくなるかと思ったら、逆にNATO加盟国が広がってしまった。「自分たちは騙されたのではないか」とロシアは思っている。その上で、我々からすればとんでもない話なのだけれど、クリミアに少し手を出しただけで、あんなに経済制裁されてしまった、ロシアはそう思っています。
アメリカ側からロシアとの関係改善をしなくてはならない~経済制裁を解除させたいロシア
飯田)ロシアにしてみれば。
宮家)「経済制裁をどうやって解除させるか」というのが、今プーチンさんの頭のなかにあることだと思います。ロシアはアメリカに対して「やられた」と思っていますから、アメリカの大統領選挙にも手を出したという説があるくらいで、アメリカに対しいろいろな手を打つわけです。そうなると、現実としては、アメリカが「ロシアとの関係改善をしなくてはいけない」ということはわかっているけれども、なかなかその糸口が見えないという状況になったということです。
飯田)なるほど。
宮家)よきにつけ悪きにつけ、トランプさんの時代には、ロシアとの関係は不透明な部分が多くてよくわからなかったのですが、今回バイデンさんになって、よりまともな外交チームができている。すぐに両国の関係が改善するとは思いませんし、すぐに首脳会談が開かれるわけでもなさそうですけれども、方向としてはそういう方向に行くのではないでしょうか。米露関係はすぐに解決ではないけれども、小康状態を維持することを念頭に置いて話し合っているのではないかという印象を持ちました。
G7での米露首脳会談は難しい
飯田)G7の首脳会議が6月にイギリスで行われますが、その辺りの日程に合わせる形で、プーチンさんとも会うのではないかと言われていますけれども。
宮家)どうですかね。やはりG7では、ヨーロッパとの結束をまず考えなくてはいけない。例えば「ノルドストリーム2」というパイプラインの問題もありますし、ヨーロッパ方面はヨーロッパ方面でアメリカとしても解決すべきことがあるので、すぐにロシアと首脳会談をするわけではないかも知れません。サミットでの首脳会談というのであれば、日米韓の方が大事だと私は思います。
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