ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月21日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。6月にシンガポールで行われる予定だった「アジア安全保障会議」が中止になったというニュースについて解説した。
シャングリラ会合が中止~アジア町内会の年次総会
英シンクタンク、国際戦略研究所は5月20日、6月4日~5日の日程でシンガポールで開催予定だった「アジア安全保障会議」を中止すると発表した。このアジア安全保障会議は世界各国の代表が安全保障分野での議論を交わす場で、「シャングリラ会合」とも呼ばれている。この会議には菅総理大臣の出席が検討されていたが、新型コロナウイルス感染拡大のため会議自体が中止となり、菅総理のシンガポール訪問も断念という方向である。
宮家)中止なのですね。オンラインでもやらないということですか?
飯田)どうなのでしょうか。
宮家)オンラインではやってほしいな。いずれにせよこの種の会合、私はいつも「町内会の年次総会だ」と言っています。ミュンヘンではヨーロッパの安全保障に関する会議、そしてシンガポールではアジアのシャングリラがあるし、中東でも似たようなことをやっています。いろいろな形で年に1回、世界各地でそういう会合を開いています。これはなの重要ですが、だからと言って中身がいつも面白いとは私は思いません。
各国、またはアジア全体を把握するための重要な会合
宮家)新しいことが出る場合もあるけれども、より大事なことは年に1回、町内会みんなで集まって、意見は違うけれどもいろいろな話をするということ、その意味で極めて重要なのです。政治家だけでなく、学者も役人も含めて一堂に会する。英語ではみんなで「脈を取り合う」と言うのですけれども、「相手がどういうことを考えているのだろうか、どんな感じだろうか、全体はどうだろうか」ということが、対面でみんなに会うと把握しやすい。
飯田)なるほど。
宮家)もともとは各国の国防大臣が集まる場でした。だから、いろいろな意見交換が場外でできる。実際に二国間会談も開かれます。10年くらい前からは、「中国がどれくらい本気で問題解決に関心を持って出て来るのか」という関心が高まりました。その時期には、中国からの出席者が誰になるかということも注目されました。何百人の参加者みんながホテルを借り切って集まり、それでも足りないから他のホテルに泊まってと、いい意味でも悪い意味でも、こんなに「密な状態」はないわけです。でも、こうしたビジネスのやり方は、この2年くらいで変わってしまった感じがします。これが開かれないとなれば、オンラインでやってもいいのだけれど、やはり息遣いというか、その場の空気を感じるという意味では、年に1回くらい対面で集まれたらよかったのではないかと思うので、残念ではあります。
飯田)年に1度くらいは。
東アジア・インド太平洋地域が注目され~日本の果たすべき役割は大きい
宮家)菅さんが呼ばれてメインスピーカーだったので、この意味でも残念です。その場で日本の政策方針を出すというのは、日本のプレゼンスを高める意味でも、菅さんにとっても、それはよかったと思うので、その意味でも残念です。
飯田)イギリスのシンクタンクが運営しているもので、メインスピーカーとして日本の首相を呼ぶということは、それだけ日本の存在価値があるということですか?
宮家)以前安倍総理も呼ばれていました。最近インド太平洋地域が注目されるようになって、場所もシンガポールだし、日本の出番は非常に大きいと思います。クアッドもできたし、この数年間でいろいろな動きが出て来るので、日本が果たすべき役割はますます大きいと思います。
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