「日本の勝ち筋」を見つけるべき~改正産業競争力強化法

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月10日放送)に慶應義塾大学総合政策学部教授・教育経済学者の中室牧子が出演。6月9日の参院本会議で成立した「改正産業競争力強化法」について解説した。

「日本の勝ち筋」を見つけるべき~改正産業競争力強化法

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

改正産業競争力強化法

企業の温暖化対策やデジタル化への取り組みを促進する改正産業競争力強化法が、6月9日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。脱炭素やデジタル化へ向けた企業の設備投資を後押しする他、オンラインでの株主総会のみの開催が可能となる。

飯田)今年(2021年)の夏にも施行し、企業から計画の申請を受け付ける方針です。「グリーン」「デジタル」「レジリエンス」が盛り込まれているということです。

中室)そうですね。ここでも「グリーン」「デジタル」「レジリエンス」がキーワードで、この傾向は今後も続いていくと予想してます。私はこの3つは非常に重要であると考えていますが、冒頭も申し上げた通り、この3つは国際社会と比較すると日本が遅れを取っている分野です。課題のある分野に集中的に投資をすることも重要ですが、それだけではなく、わが国国際的に見て優位性を発揮できるところがどこか見出す議論も必要だと思います。

飯田)勝ち筋の見通しはどこかにあるのですか?

日本の勝ち筋はどこにあるのか~アニメソフトのようなコンテンツ

中室)産業構造の転換を進めるために、例えばデジタル化投資に控除を認めるというようなやり方ですが、これはターゲットとしても方法としても、「キャッチアップ」させることを目的にしているのではないでしょうか。

飯田)追いつく方。

中室)そうです。それはそれで重要ですが、「日本の勝ち筋はどこだろう」ということを考えることも同時にあっていいのだと思います。

飯田)「産業」というと、工場でものをつくるようなことがイメージされます。そして、そういうところには税制面の優遇も入っていたりしますが、そういうソフトをつくる方はあまり手当てがないのではないかと言われています。

クオリティの高い日本のeラーニング

中室)私自身はオンライン教育に関する研究を手掛けており、最近は民間企業が優れたeラーニングのサービスを開発しています。こういった部分にも「勝ち筋」があると思います。私が手掛けている研究の1つに、アジアの発展途上国で日本のeラーニング教材を用いているものがありますが、日本の質の高い教育コンテンツの輸出はポテンシャルが高いと感じます。

飯田)いままでは、オンライン教育をやる、しかも海外へということになると言語の壁がありましたが、自動翻訳が進んで来ているのですか?

中室)自動翻訳は相当進んでいると思います。また、言語にさほど依存しない科目もあります。数学などのコンテンツですと、そこまで強く言語に依存しません。

飯田)式で見せればいいと。

中室)あるいはグラフや図形なども多用し、視覚的に理解できるクオリティの高い教材が出てきています。

進めて行くべき高い教育コンテンツの開発と輸出

飯田)そうすると、いままで紙ベースであった治験などを、ある意味で移植すれば、それでいいということになるのですか?

中室)私の研究室で実施しているのは、COMPASSのAIドリル「Qubena(キュビナ)」や、ワンダーラボの知育教材「シンクシンク」の効果検証です。これらの特徴は、3か月~数か月の利用で、非常に高い学力上昇効果が見られるということです。これらは、経済産業省のEdTech補助金で、コロナ禍の公教育で利用できるようになっているのですが、ワンダーラボの「シンクシンク」はカンボジアの公教育でも用いられています。先ほども述べたように、私は日本の質の高い教育コンテンツの輸出はポテンシャルがあると思います。

事業効果が出ている教育コンテンツ

飯田)日本がやって来た教育については、キメの細かさが評価されているのでしょうか?

中室)日本の教育サービスは既に高いレピュテーションを確立しています。欧米では「KUMON」は、日本と同じように広く知られています。また、重要な点では、最近開発されたeラーニングのコンテンツには、Qubenaやシンクシンクのようにはっきりと学力への効果が見られているものがあるということです。

飯田)客観的に数字で示せると。

中室)産業競争力強化法の枠内で行われているさまざまな投資も、このあと、どのくらいの経済効果があったのかということをきちんと検証していただく。そのなかで、効果が出ているものには追加的に投資する、というやり方が合理的ではないかと思います。

事後の検証がされていない「産業競争力強化法」

飯田)国の財政には決算があって、決算委員会もあるはずなのですが、そこで費用対効果の検証が精緻にやられているかというと、あまり報道はされないですが、どうなのですか?

中室)ほとんど「やりっ放し、言いっ放し」だと思います。強化法も、やることを言うだけではなく、「どんなことがあって、どのような効果があったのか」ということを事後的に見て検証していただくことが大事ではないかと思います。

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飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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