自公が過半数を獲るかどうかで、今後の都政が決まる~東京都議会議員選挙

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月24日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。6月25日に告示される東京都議会議員選挙について解説した。

ニッポン放送「報道部畑中デスクの独り言」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

東京都議会議員選挙、6月25日告示

6月25日は、任期満了に伴う東京都議選が告示される。定数​127(42選挙区)に対して、23日時点で250人以上が立候補を予定しており、前回2017年の259人と同じ規模になる見通しだ。

飯田)9日間の選挙戦が25日からスタートします。総選挙が10月の任期までに必ずどこかで行われるということもあって、その前哨戦だと言われております。

圧倒的に無党派層が多く、流動人口が多い東京

鈴木)これは東京という地方の選挙なのだけれども、圧倒的に無党派が多い。さらにもう1つ言うと、流動人口がものすごく多いのです。普通に考えれば、転勤族などは、だいたい3年くらいで変わるでしょう。それから、子育て。お子さんが生まれて、環境のいいところで子育てをしたいということで、東京を離れて郊外の自治体に移り住む。大学生はわかりやすいです。入学して4年したらもう卒業して……。

飯田)地元に戻るのか、どこかに就職するのか。

5年後には東京にいない人が多い~地域の政策テーマより「いま国で起きていること」をテーマにする方が投票行動につながる

鈴木)選挙があるでしょう。任期が4年だとすると、4年後に多い地域では人口が半分くらい入れ替わっているのです。そうなると、地方選挙だから「この地域をどうします」とか、「立派な道路をつくります」、「5年後にはこういう街にします」などと言っても、「いや、自分はそのときには住んでいないし」という話になるわけです。

飯田)響かないのですね、これが。

鈴木)東京都議会議員選挙というのは、意外と地域の政策テーマよりも、いま国で何が起きているかというような問題。いまだったらオリンピック、コロナ、場合によっては政治と金など、そういうものが投票行動にも影響して来るという特徴があります。

国政の流れに影響される自民党の都議

飯田)そうすると国政の流れのようなものが影響して来る。

鈴木)連動する。逆に、選挙をやっている人間からすると、自民党の東京都議などがそうだけれど、中央の自民党政府が何かやらかしてしまうと、その影響が自分たちにかかって来るわけです。そういうことで中央に振り回されて来たという歴史が、自民党の都議さんたちにはあります。

飯田)それによって自分の浮沈に関わってしまうという。

鈴木)一生懸命地域のことをやったところで、「中央でのコロナ対策は何だ」ということが来たり。そういう特徴があるので、中央の政策課題の影響を受けやすいということがある。

勢いが落ちている「都民ファーストの会」

鈴木)そのなかでも、前回、小池旋風が巻き起こした都民ファーストの会。いまは第1会派だけれど、これが本当に第1会派をキープできるのか。自民党にしてみれば、大リベンジですから必死にやって来ている。

飯田)そうですね。

鈴木)いまはいろいろな政党が世論調査をしていますが、自民党は明らかに、前回のどん底から這い上がって来る流れにあります。都民ファーストは逆に言うと、前回、獲り過ぎたというのもあるのだけれど、小池さんが静養中なので、前回のように前面に立つことはできません。都民ファーストは勢いが落ちている感じですよね。

共産党や立憲民主党にも票が回る可能性

鈴木)東京では、コロナや五輪もそうですが、何か政策でいろいろな問題が起きると、共産党が伸ばすのです。これまでも共産党は、実は比較的いい戦いをしているし、立憲も中央の自民党批判のような票が回る可能性もあります。

最大のポイントは「自民党・公明党で過半数を獲れるか」

鈴木)全体ではそんな感じなのですが、いろいろな報道を見ていると「自民党が第1会派に返り咲く」、または「都民ファーストが大敗するのではないか」という視点が多いのだけれども、最大のポイントは「自民党・公明党で過半数を獲れるか」ということです。

飯田)前回は選挙協力をしなかったけれど、今回はきちんとやるということですよね。

コロナ禍で十分な選挙運動ができていない公明党

鈴木)公明党は絶対に東京では勝たなければいけないのだけれども、かなり厳しい戦いをしている。

飯田)党の歴史にも関わって来るところですよね。

鈴木)政治を始めた歴史の原点、公明党は東京都議からスタートしています。

飯田)党としてできあがる前ですよね。

鈴木)それから、最大の支援団体である創価学会の本部は東京にあります。常に公明党は東京で与党にいなければいけない。そういう基盤もできあがっています。いわゆる各分野との関係もそうだけれど、利害関係も含めて。絶対に勝たなければいけないのだけれど、公明党が得意とする面談活動がコロナ禍でできず、十分に選挙運動ができていないのです。

自公で過半数を獲ると小池都知事はその手のひらに乗せられてしまう

鈴木)自公で過半数を獲るというのは、どういう意味かと言うと、ここで過半数を獲ると、都議会、都政を牛耳るということなのです。前の石原慎太郎さんのときのように自公が過半数を持っていると、都知事はその手のひらに乗らなければいけない。自由度がないのです。だから今回も、もし自公で過半数を獲れば、小池さんが手のひらに乗せられてしまうということになる。そうなると、小池さんは思い切ったことができなくなります。都政が大きく節目を迎えるのです。

自公が過半数を獲るかどうかで、今後の都政が決まる

鈴木)ただ、自公で過半数を獲れなければ、都民ファーストが議席を減らしても、他のところでまとまったりして都政が混乱する可能性もあるのだけれど、とにかく自公が過半数を獲るかどうかで、今後の都政が決まって来る。ここが最大のポイント、見所だと思います。

飯田)もし自公で過半数が獲れなかった場合、都民ファーストはもともと都議会自民にいた人などもいるではないですか。飲み込みにかかることもあるのですか?

鈴木)それもありますし、逆も考えられます。例えば公明党が、絶対与党でいなければいけないわけだから、自公をもう1回離れて……。

飯田)都民ファーストや別の会派と組んで3派、4派連合のようなものにする可能性もある。

鈴木)今度の選挙結果によって、都政のその先が変わって来る。ポイントは自公が過半数を獲るかどうか。この1点を見るといいと思います。

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