携帯電話のいちばんの問題は複雑過ぎるサービス内容
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月30日放送)にエコノミストで複眼経済塾塾頭のエミン・ユルマズが出演。携帯電話料金の引き下げ効果が4300億円に上ったとする総務省と消費者庁の試算について解説した。
携帯料金の値下げ効果は4300億円
総務省と消費者庁は6月29日、携帯電話料金の引き下げに向けてそれぞれの大臣をトップとした会合を開き、政府主導の値下げによる国民負担の軽減効果が4300億円に上ったとする試算を公表した。
飯田)ただ、スマートフォンの端末の価格が高止まりしていて、購入費を含むと、負担は大きく変わっていないのではないかという指摘もあるようです。
ユルマズ)スマホの価格の高止まりは、結局はメーカーさんの問題ですよね。私はiPhoneのいちばん新しい「12 Pro」を買いましたが、15万円以上するのですよ。
飯田)すごい値段ですよね。
ユルマズ)すごくないですか。これはAppleさんが決めているもので、携帯電話会社さんが決めているわけではありません。
携帯電話の販売代理店の問題~わかりにくい契約とサービス内容
ユルマズ)1つは(販売)代理店の問題があると思います。(利用者は)携帯電話会社の代理店と契約するのですが、代理店のスタッフの説明がよくわからず、いろいろなサービスに無理やり入れられているのですよね。それに気付かないまま払っている人が多い。例えば、そんなもの誰も使わないのに「リモートでアシストします」ということで、毎月1000円くらい払わされている。または「キャンペーンだから、いまこれに入るとお得ですよ。あとでキャンセルすればいいのですから」などと言われますが、キャンセルの仕方がわからず、そのまま入っている人が多いのですよ。
飯田)そのまま入っていて、お金を払い続ける。
ユルマズ)そういうことをやめさせて欲しいですよね。それも見えない負担なのです。携帯電話会社さんが代理店を指導して欲しいというところはあります。インターネットとパッケージにして入るけれども、ネットも遅いですし使いにくく、値段が高い。通信パッケージも、安いものはすぐ終わってしまう。
飯田)動画などを観ていると、容量がすぐ尽きてしまう。
ユルマズ)価格も大事ですけれど、サービスの内容を改善して欲しいですよね。
サービス内容が複雑過ぎて携帯電話会社も消費者庁も把握できない
飯田)その辺りは消費者庁もメインの仕事になると思うのですが、あまりその部分は聞こえて来ませんね。
ユルマズ)複雑化し過ぎていて、会社でさえ、どういうサービスを出しているかわからないのですよ。インターネットでも、問題があったときにプロバイダーに電話しても、プロバイダーの人もどこかにアウトソースしていてわからないのです。最終的に、テクニカルな人にたどり着くまでに数時間かかるかも知れない。いろいろなオプションを出し過ぎて複雑化しているので、オペレーター自身もわからないし、消費者庁もわからないのではないでしょうか。そういう問題があります。
安価な端末は中国製
飯田)「安い端末」となると、中国製の端末は安い。それも、この先は変わって来るかも知れませんね。
ユルマズ)ファーウェイやシャオミなど、中国メーカーのものを使うと、今度は安全保障上の問題が出て来ます。クラウドに上がった個人データが全部中国で保存されているとか。結局、そういうリスクがあるので、日本メーカーのものや韓国サムスン、Appleの製品を使うことになるのですが、いい値段なのですよね。10万円以上します。スマホと言いますが、パソコンなのですよね。
飯田)本当はそういうことですよね。
価格は上がっても賃金は上がらず
ユルマズ)運べるパソコンなので仕方ない部分はあるかも知れませんが、値段が上がっていませんか。ここにもインフレの傾向があるのではないかと思います。
飯田)確かに、スマホが家計を圧迫するということは言われていますね。
ユルマズ)車もなかに使う半導体やセーフティパッケージなどが複雑化しているので、値段が上がっています。
飯田)本来はそこで賃金も一緒に上がらないといけない。
ユルマズ)そうなのです。賃金もそれに合わせて行く。ですので、これは本当のインフレではないのです。インフレというのは、賃金がものの価格より上がることを言います。
飯田)いまは賃金が上がっていない。
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