中国からもアメリカからも規制を受けるIT企業の「存在の危機」

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月6日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。配車アプリ「ディディ」のアプリの公開停止を中国政府が通知したというニュースについて解説した。

中国からもアメリカからも規制を受けるIT企業の「存在の危機」

習近平氏、清華大学を視察(北京=新華社記者/鞠鵬)= 2021(令和3)年4月20日 新華社/共同通信イメージズ 写真提供:共同通信社

中国政府が配車アプリ「ディディ」に対し、アプリの公開停止を通知

中国当局は7月4日、日本でもサービスを始めている中国の配車アプリの大手「ディディ(滴滴出行)」が、アプリを通じて違法に個人情報を集めているとして、アプリの公開を停止するよう通知したと発表した。

飯田)ディディ、「滴滴出行」と中国語では書くようですが、6月30日にニューヨーク証券取引所に上場したばかりだということです。どうご覧になりますか?

クラフト)中国政府が「個人情報保護」などと言うこと自体、違和感を持ちますが、ポイントは2つあります。まず1つは中国政府がディディだけではなく、アリババ、テンセントなど、IT大手企業を軒並み抑制しているということです。この背景には、中国共産党100周年を迎えて、「中国が偉大なのはこうしたIT企業の発展ではなくて、党のおかげなのだ」ということをアピールしたい。したがって、若者が憧れるようなIT企業の抑制にかかっているということが考えられます。とりわけジャック・マーCEOとか。

飯田)アリババの。

クラフト)テンセントのCEOなどを個人的にも攻撃しているというところで、中国共産党の威厳を守るような意味合いがある。

米中の両国から痛い目に遭わされている米中それぞれのIT企業

クラフト)もう1つは、アメリカで上場を目指す企業に、集中的に取締をしている。アメリカで公開上場すると、その企業の事業内容や戦略が見えてしまうので、中国共産党としてはそういうところを抑制して、アメリカをけん制したい。実はアメリカも、同じようなことを中国企業にやっているのです。アメリカ政府からも制裁を加えられ、中国政府からも抑制される。中国のIT企業は両方から痛い目に遭っているのですけれども、実はこれは中国政府だけではないのです。アメリカ政府も、6月に下院でIT企業の抑制法案を6つ可決しています。

飯田)そうですね。

クラフト)今度、上院で通りますけれど、IT企業により税をかけたり、プラットフォームでも投稿内容の責任を持たせるなど、いろいろな制裁や規制強化を行います。これが世界的なトレンドになっているのです。特に米中でそのようになっているので、IT企業は今後のビジネスがやりづらくなるでしょう。

GAFAへの風当たりが強くなっている

飯田)ジェフ・ベゾスさんがアマゾンのCEOを退任するというニュースのなかで、ツイッターで「GAFAに対してのあたりも強くなっているから、退任するのではないか」という指摘もありましたが、どうですか?

クラフト)それでベゾスさんが退任するのかどうかはわかりませんけれども、GAFAへの風当たりは確実に強くなっていますよね。

飯田)風当たりという意味では、中国企業がアメリカで上場しようとすると、もっと風当たりが強い。

中国からもアメリカからも規制を受けるIT企業の「存在の危機」

GAFAのロゴやアイコン GAFA売上に10%罰金=2020年12月15日 写真提供:共同通信社

GAFAの規制強化を主張するリナ・カーン氏が米連邦取引委員会(FTC)に就任

クラフト)1つの象徴として、FTCというアメリカの公正取引委員会の委員長に、弱冠32歳のリナ・カーンさんという女性が就任します。彼女は以前から、GAFAの解体、GAFAの規制強化を主張していました。この人を公正取引委員会のトップに据えるということは、今後、明らかにGAFAへの風当たりが強まって行くことが伺えます。これは中国のIT企業も同じです。

飯田)リナ・カーン氏のアマゾンに関する論文では、アマゾンの小売事業は販売プラットフォームから分離すべきだと主張しています。

クラフト)彼女の主張のポイントとして、いままでの公正取引委員会の概念というのは、消費者への価格を見て、不利益がないのかということなのですが、実はその他に「目に見えない不利益なビジネス戦略」をGAFAは取っているということです。より根幹を狙ったGAFAのビジネスモデル、プラットフォームを狙うのが彼女の主張で、やりづらいと思いますね。

今後、GAFAに不利な州、あるいは裁判所で争うようなことになり、勝訴しにくくなる

飯田)そういう意味では、取り締まりの基準づくりからやって行くという感じですか?

クラフト)先ほど言った下院での法案がまず土台になります。その法案に基づいて、公正取引委員会がそれを執行して行く。例えば1つだけ挙げると、先日、フェイスブックに関する裁判で、独占禁止法違反の疑いで訴えられていた訴訟が棄却されて、フェイスブック側が勝ったのですけれども、今回の法案で何ができるかというと、公正取引委員会が「どこの裁判所で争うかを決める権限を持たされる」のです。そうすると、当然GAFAに不利な州、あるいは裁判所で争うようなことになり、勝訴しにくくなります。

飯田)アメリカの場合は、州によってビジネスに対するスタンスが違いますし、州法が違う。

クラフト)リベラルの判事か、保守の判事かによってもまた違う。そういうところを「ホームアンドアウェー」で、どこで試合をやるかを選ぶことができれば、有利になりますよね。

リベラルにも保守にも厳しい目で見られているGAFA~最高裁でも勝つことは難しい

飯田)判事のスタンスによっても変わって来ると。裁判は最終的には、最高裁に行くわけですよね。最高裁の顔ぶれはトランプ政権のときに話題になりましたが、かなり保守寄りが多いと言われています。

クラフト)いまリベラルも保守も同意できる事項は2つくらいしかないのです。1つは中国、対中強硬姿勢。これは双方が同じです。そして、もう1つはGAFAの規制です。

飯田)なるほど。

クラフト)だから左派も保守も対GAFAに関しては、厳しい目を持っているので、最高裁も厳しいと思います。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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