ワクチン接種で経済はどこまで回復するか~ネガティブ消費思考が根付いている日本

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月7日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。海外のポストコロナ事情と日本の冷え込んだ消費マインドについて解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

5月の消費支出、前年比11.6%増

2021年5月に2人以上の世帯が消費に使った金額は、初めての緊急事態宣言が出されていた2020年の同じ月を11.6%上回り、3ヵ月連続で増加した。ただ、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の同じ月と比べると、旅行費や食事代は大きく落ち込んでいる。

飯田)前年同月と比較すると、こうなる。

佐々木)去年(2020年)の5月は緊急事態宣言が出ていて、街に出るのも憚られるぐらいでしたので、今年の5月に消費が増えるのも当然です。しかし一昨年の5月と比べると6.5%減だから、まだ復活はしていないわけですよね。

英米に比べて、ネガティブ消費思考が根付いている日本~ワクチン接種で消費が増えるかどうか

佐々木)イギリスでは、ジョンソン首相が「元に戻します」と会見しました。ワクチン接種者が増えて、ワクチンの壁で守られている人がたくさんいるから、「その人たちだけで経済を回して行けるだろう」という判断です。アメリカでも、「収束したときの消費の伸びはすごいだろう」という期待値が上がっています。

飯田)期待は上がっていますね。

佐々木)では、日本の場合はどうなるか。アメリカ人は全般的に消費が好きな国民性なので、消費が増えるだろうという予測は間違いないのでしょう。しかし、日本の場合、この1年半消費を抑えて来ました。みんな出かけない、旅行にも行かない。金は使わないし、将来が心配だという感じでした。それがワクチンで感染が収束したからといって、「ドカン」とみんなが消費に走るでしょうか。この国は30年間デフレ不況が続いていたので、ネガティブ消費思考が根付いてしまっています。そんな状態で、ワクチンが終わったから「金を使うぞ」となるだろうか。そこの消費マインドの行く先が怪しいと感じています。

飯田)今後を考えると、手元に置いておきたいと思うのが人情でしょう。

格差が広がる可能性も~K字回復

佐々木)もう1つ、最近言われているのがK字型回復ということです。U字のようにすべてが上に上がるのではなく、上がるところと下がるところが出て来る。

飯田)K字型回復。

佐々木)今回で言うと、巣ごもり消費は上がっているけれども、観光や飲食は下がったまま。「K」の上がっているところと下がっているところ、それぞれに当たる。飲食や観光業に従事している人は多いです。その消費も今後、上がらないわけだから、そこの心配もしなければならない。同時に、エッセンシャルワーカーと言われているようなインフラ整備に当たっている人たちの仕事も、今後どうなるかわからないという状況にあります。下手をすると格差がさらに広がってしまう危険性も考えなければいけません。

GAFAのロゴやアイコン GAFA売上に10%罰金=2020年12月15日 写真提供:共同通信社

財政出動の枠は積極的に増やしたものの、予算消費率はとても低い~使わなければ経済は回復しない

飯田)政策的な手当て、場合によっては補正予算も含めてやらなければいけないフェーズに来ています。

佐々木)給付をきちんと増やす必要がありますが、去年(2020年)、持続化給付金を行いましたけれど、詐欺の逮捕者がかなり出ました。あれで国が懲りて、申請の基準を厳しくしたのではないかという感じがします。新しい給付金が厚労省や経産省などから出ていますが、実際に申請しようとすると、手続きが異様に面倒臭いという話があちこちから聞こえて来ます。ようやく書類手続きが終わっても、向こうから連絡が来て蹴られてしまう。どうも水際作戦で絞っているのではないかという疑いがあります。財政出動の枠は積極的に増やしたものの、予算消費率はとても低い。4割くらい使っていないという話です。

飯田)全体でもそれくらいだそうですね。

佐々木)経済学者の高橋洋一さんがおっしゃっていましたが、GDP比の財政出動率はアメリカに次いで2位であり、これは誇れる数字でした。でも実態の消費された金額は日本の場合、かなり低いということです。そこを使わせないと経済は上向かないし、落ちこんでしまったエッセンシャルワーカーや飲食業、観光業の人たちにお金が回らない。落ち込んだところを手当てしてお金を回さない限り、全体の底上げにはならないということです。

税収が上がっても国内の消費が伸びているわけではない

飯田)これも佐々木さんが指摘された、グランドデザインと個々のミクロな事象をどうクローズアップさせるかという話に似ているような気がします。

佐々木)税収が過去最高になって、麻生大臣が「景気がよくなっている」というニュアンスのことをおっしゃいました。それを聞いてみんなが「そうなの?」と驚いていましたが。今回、景気が上向いている、税収が増えているというのは、アメリカや中国などの外需が伸びているからです。国内にもお金はもちろん回っているのですが、国内の消費が伸びているわけではない。税収の数字だけで日本全体が豊かになっていると言えるのかどうか。

飯田)そうですね。

佐々木)この1年半の巣ごもりで、GAFAは売り上げが伸びています。Netflixもそうです。数字だけ見ていると、経済成長しているようですが、実態として、雇用は増えていません。ネット企業の問題は、「いくら儲けても雇用が増えない」ことです。豊かさはGDPだけでは測れないということは以前から指摘されていますが、この考え方がまた新たに浮上して来ているように感じます。

飯田)そうすると再分配をどうすべきなのか。

佐々木)そこまで考えた上で、麻生大臣も発言して欲しいと思います。

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