「ワクチンパスポート」がワクチン接種の強制になってはいけない
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月12日放送)に中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が出演。新型コロナウイルスワクチンの接種を証明する「ワクチンパスポート」について解説した。
「ワクチンパスポート」、7月26日から受け付けを開始
加藤官房長官は7月11日、NHKの番組に出演し、新型コロナウイルスワクチンの接種を証明する「ワクチンパスポート」について、7月26日から自治体で申請を受け付けることを明らかにした。
飯田)東京は12日から4度目の緊急事態宣言が出ているということもあります。どうご覧になりますか?
野村)まず「ワクチンの普及こそが最大の武器だ」ということは明確になって来ましたので、急いで普及させることが大事だと思います。
飯田)ワクチンパスポートについて、欧米などでは国をまたいでのやりとりのところで必要なのではないかという声がありました。
野村)日本の場合も、これから海外に行く際、「海外で必要とされているものと同じパスポートを出せるようにしよう」と、そこがいちばんの狙いだと思います。
ワクチンパスポートがワクチン接種の強制になるのでは
飯田)他方、「接種の強制になるのではないか」という批判もありますが。
野村)ワクチン接種に関しては、制度上、あくまでも受けたい人が受けるということになっていますので、制度上の問題があるわけではありません。問題になるとすれば、日本国内にある同調圧力を防いで行くということが必要になると思います。その際、今回は海外に行く場合に使うという方向になっていても、国内でも使おうという動きが出て来ますよね。
飯田)そうなりますね。
野村)「ワクチンパスポートを使ってはいけない」ということも言えないので、あるイベントではワクチンパスポートがある人が優先だとか、店に入るためにワクチンパスポートを見せなくてはいけないなどという動きがあったときに、「どんなルールをつくるのか」というところが今後の課題になると思います。
「利用できないような人たちでも不利にならない仕組みづくり」を議論するべき
飯田)お店をやっている人であれば、証明があるなしというのでは、安心感が違いますからね。
野村)安心感も違いますし、集客面でも違って来ます。「使うな」とは言えないと思うのです。これを使って行く方向になったときに、「体質上ワクチンを受けられない方などをどうやって守るのか」という議論をしなくてはいけないと思います。パスポートの使い方を制約するのではなく、使うけれども、「どうしても利用できないような人たちでも不利にならない仕組みづくり」を議論した方が合理的なのではないかと思います。
「ワクチンパスポートを要求するならば、検査証明でもいい」ということをセットで要求する仕組みづくりが必要
飯田)いまも入り口で体温を調査したり、取材などで多数の人に会う場合は、1週間くらい前から体温チェックをし続けて、結果を見せなくてはいけないということをやっていますので、代替手段がないことはないと思います。
野村)PCR検査ももちろんあります。検査の証明があれば、ワクチンを打っていなくても、感染していないことを一応証明することができます。しかし絶対ではないですよね。ワクチンも絶対ではないわけで、そういう意味では、イコールフッティングになるのではないかと思います。常に「ワクチンパスポートを要求するならば、検査証明でもいい」ということをセットで要求する仕組みづくりが必要なのではないでしょうか。
飯田)飲食店の方の話が出ましたが、職業によっては、求められざるを得ないという職業もあるわけですよね。
野村)それぞれの仕事に関連して、接種を事実上求められる方々は出て来ると思います。
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