ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月13日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦がリモートで出演。12月に開催予定であるバイデン大統領主催の「民主主義サミット」について解説した。
バイデン大統領主催の「民主主義サミット」が12月に開催
米ホワイトハウスは8月11日、バイデン大統領が民主主義国のリーダーを集めた「民主主義サミット」を12月9日・10日の2日間、オンライン形式で開催すると発表した。発表によるとサミットでは「権威主義に対する防御」「汚職との戦い」「人権尊重の促進」の3つが主要なテーマとなる。中国などへの対抗を念頭に、民主主義の価値観を共有する国々との連携を強化する狙いがあるとみられている。
飯田)サミットと聞くと「G7」のイメージがありますが、それとは別だと。
宮家)この種の「民主主義サミット」は、実は今年(2021年)の5月にデンマークで開かれています。
飯田)そうですね。
宮家)そのときには閣僚レベルの会合で、香港、台湾、台湾の場合はリーダーでしたけれども、ベラルーシを含め、反政府系の民主主義の運動家たちが参加しています。今度はアメリカの大統領が主催して、相当ハイレベルな民主主義国のリーダーを集めるということですから、本格的です。中国が反発するであろう香港や台湾の人たちも呼ばれるかも知れませんけれど、民主主義を前面に出した欧米の動きが、今年の12月に大きく展開するということだと思います。
2022年には対面で開催予定の民主主義サミット
飯田)G20サミットがイタリアで行われるのは、10月末だと言われています。
宮家)そうですね。オンラインでやるので、時期的にちょうどいいと思うのですけれど、翌年には対面でもやろうとしているわけです。コロナの状況次第だと思いますが、これをやられると中国は相当反発するだろうな、と容易に想像できるところですね。
民主主義を全面に出すイデオロギー的な傾向が強くなっている米中対立
飯田)12月9日と10日に行うではないですか。年が明けてすぐに北京で冬季オリンピックがあります。そこも視野に入っていますか?
宮家)やはり圧力をかけようとしているのだと思います。しかし、中国側からすれば、そんなことを言ってもオリンピックはオリンピックでやりますよ。圧力をかけたとしても、中国が「そうですか。恐れ入ります、もうやめます」などと言うわけがありません。これからも続く長い駆け引きのなかの一環として今回の会合も使われるのだろうと思います。
飯田)駆け引きの一環として。
宮家)肝心なことは、いままでの米中対立は、どちらかと言うと、イデオロギーではない、米ソ冷戦とは違い、経済的相互依存が高いという議論をしていたのですけれども、最近は、明らかに民主主義を前面に出すイデオロギー的な傾向が強くなっている気がします。
飯田)そうですね。
宮家)トランプ政権のときには、そういう意識はありませんでしたが、民主党のバイデン政権になって、それが前面に出て来た。中国としては困っているだろうなと思います。
権威主義的な国々の問題点を指摘しながら、民主勢力が結束~今後この傾向が強まって行く
飯田)民主主義サミットには、ロシアも呼ばれないだろうと言われていますよね。
宮家)そうでしょうね。ベラルーシを呼んでいるということであれば、中国やロシアという権威主義的な国々の問題点を指摘しながら、民主勢力が結束するということです。それに対しアメリカが支援を事実上与えるという意味では、大きな流れになるのではないでしょうか。
飯田)そこでも両陣営というように、徐々に固まって行くのでしょうか。
宮家)陣営とまではいかないでしょうけれども、その傾向が強まって行くことは間違いないでしょうね。でもこれはまだ一里塚でしかない、これからも続くということです。
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