「コロナに打ち勝った証しの五輪」が「失敗だった」と世界から認定される恐れ ~しっかり抑え込む対策を

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ニッポン放送「飯田浩二のOK! Cozy up!」(8月9日放送)に朝日新聞編集委員で元北京・ワシントン特派員の峯村健司が出演。今後の日本のワクチン戦略について解説した。

まったくまだ終わっていない「コロナに打ち勝った証しの五輪」

新型コロナウイルスの感染拡大を受けたまん延防止等重点措置の適応地域が8月8日から新たに8県追加された。これまで適応されていた地域を合わせて13の道府県に拡大している。期間は8月31日までとなっている。

飯田)緊急事態宣言は東京周辺の一都三県と大阪、沖縄、そしてまん延防止等重点措置も13の道府県となっております。感染の拡大、どう食い止めていくか。これはワクチンとの追いかけっこになりますかね。

峯村)やはり今回のオリンピックのいちばんのテーマは「コロナに打ち勝った」ということでしょう。そう考えれば、これまったくまだ終わっていない話です。パラリンピックが終わった後も続くのです。なぜならばコロナをしっかり抑え込まなければ、「失敗だった」と世界から認定されることをいちばん恐れていますね。というのも、半年後には北京の冬季五輪が控えているわけです。今年1月、習近平国家主席も現地会場を視察して、「完璧なオリンピックをやるのだ」と檄を飛ばしており、「有観客」を目指している発言とみられます。かたや日本はオリンピックはやったけれども、コロナがまた増えたとなってしまうことは最悪のシナリオです。だからこそ日本は、ここから先はより気を引き締めて、このコロナ対策をやらなくてはいけないと思っています。

飯田)やはりそこらへん国際政治と密接に、オリンピックという大きな国際イベントというのは絡まざるを得ないというところもあるわけですかね。

台湾の蔡英文総統(台湾・台北)=2020年8月12日 EPA=時事 写真提供:時事通信

日本のワクチン外交の非常に重要な1つの成果だった台湾への供給

峯村)そうですね。そこで言うと、実はいま私も取材班に参加している、朝日新聞の「経済安保 米中のはざまで」という企画というのをやっているのですが。

飯田)8日に一面トップでしたね。

峯村)そうですね。ワクチン外交をめぐる、この世界各国との攻防というところを紹介しました。

飯田)特に台湾に対してどうワクチンを出すか、という。あれけっこう突っ込んでいましたね。

峯村)そうですね。この話はかなり政治部担当の編集委員を中心に頑張って取材をしたエピソードなのですが、特に日華懇(日華議員懇談会)の古屋(圭司)議員や安倍前総理、陰で相当うまく動いて、アストラゼネカ製のワクチンを台湾に供給したというエピソードの舞台裏を紹介しました。

飯田)相当水面下ですね。

峯村)私も複数の日本政府関係者から舞台裏を聞いていますが、相当ご苦労されたようです。

飯田)よくあんな情報管理ができましたよね。

峯村)そうですね。これ本当にもしバレたらもちろん中国政府から恐らく反対が来るだけではなく、所謂中国に近いとされている国会議員からも妨害が入るということを恐れて、極秘裏で進めて、アメリカよりも早く提供したわけです。日本のワクチン外交で言うと地味な話ではあるのですが、非常に重要な1つの成果だと言っていいと思います。

飯田)くしくも6月4日に送ったという。

峯村)そうですね。6月4日。これは「偶然だ」と日本政府の関係者は言っていますが。特にあのとき台湾の蔡英文政権が非常に窮地に追い込まれているときだったので、そこに日本がワクチンをしっかり供給できたという政治的なインパクトは非常に大きいですし、今後も生きてくると思います。

英製薬大手アストラゼネカなどのロゴと、新型コロナウイルスワクチンのラベルが貼られた薬瓶と注射器(イギリス・ロンドン)=2020年11月17日 EPA=時事 写真提供:時事通信

日本のワクチン外交が弱まらないためにこれまで以上の「確保」が必要

飯田)これは大々的に報じられましたが、実はその後、他の国々にも結構出しているんですね。日本は。

峯村)そうですね。実はこれ、いちばん多いのはアメリカで中国と続くのですが、日本は3位なんです。日本は国力を考えてもやるべき話だと思っています。

飯田)供給先も、台湾だけでなくベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイと。東南アジア諸国を中心にかなり出している。

峯村)そうですね。アメリカの政府関係者と話していても、日米でうまく連携ができているみたいなんです。コバックスという世界的な供給システムとはまた別に、しっかりと日米で同盟国、もしくは友好国に上手い形で供給ができているという意味では、この日米のワクチン外交というのは中国に対抗するという意味でも非常にうまくいっている外交の一つだと思います。

飯田)この先、日本国内にアストラゼネカを提供するということになってくる、このあたりでちょっと変わってきますか。

峯村)そうなんです。いままでアストラゼネカ製が台湾を中心に供給のいちばんの大きなものだったので、これが国内に振り向けられることで少し日本のワクチン外交が弱まることが心配ではありますね。ですのでこれはまず日本がこれまで以上にワクチンを確保することが重要です。

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