ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月16日放送)では、最新の気象状況について日本気象協会の小室拓也氏が解説した。
佐賀県嬉野市では1ヵ月の3.7倍の雨量が降る
前線の影響で西日本から東日本にかけて記録的な大雨となり、各地で土砂災害の危険や河川の増水など、警戒が必要な状況が続いている。8月16日以降も雨量はさらに増え、厳重な警戒が必要である。
飯田)これからも激しい雨のおそれがあるということです。最新の状況を伝えていただきます。まずは、いまの状況はどうでしょうか?
小室)西日本を中心に記録的な大雨をもたらした前線ですが、昨晩(8月15日)は一旦南に下がり、雨の降り方は弱くなっていました。ただ、この時間は西からゆっくりと前線が北上して来ていて、現在は九州地方に活発な雨雲が流れています。1時間に30ミリ以上の激しい雨が降っているところもあります。前線が南に下がり、現在は四国や近畿、そして東海地方、関東地方と、本州の太平洋側を中心に雨雲がかかっている状況です。
飯田)累積雨量も相当なものになりますか?
小室)かなり多くなって来ています。降りはじめからの雨量で最も多くなったのが、佐賀県嬉野市です。降りはじめから16日明け方までの雨量が1031ミリということで、嬉野市の8月の平年1ヵ月分の平均雨量がおよそ277ミリなのですが、約3.7倍の雨が降ったことになります。
東京・北の丸公園でも230ミリの雨量を記録
小室)その他、同じ九州の長崎県雲仙岳は明け方までに953ミリということです。また、関東地方でもかなりの雨が降っています。神奈川県箱根町では、明け方までに500.5ミリと、500ミリを超えました。主に山沿いに多く雨が降るというイメージを持ちがちなのですが、東京都心である千代田区の北の丸公園でも230ミリの雨ということで、たくさんの量が九州だけでなく、関東も含めて広い範囲で降っています。
飯田)都市部を考えると、いまのところは水を貯めるような設備で防げていても、今後はわからないということですか?
小室)そうですね。17日にかけて前線はゆっくりと北上しまして、さらに九州の西、東シナ海には前線の上に低気圧が発生しました。今後、この低気圧が17日にかけて本州を舐めるように北上して行く見込みです。
今後は東日本でも雨の量が多くなる
小室)17日の雨の量なのですが、朝6時までに予想される24時間の雨の量は、多いところで、九州北部地方で250ミリ、九州南部で200ミリ、四国で120ミリとなっています。その後、18日の午前6時までに予想される24時間の雨の量は、多いところで、九州北部で200ミリ~300ミリです。これまでは西日本が雨の量が多いというイメージなのですが、九州北部と同じように、東海地方で200ミリ~300ミリということで、西日本に限らず東日本でも雨の量が多くなる予想になります。
いまのうちに避難を
飯田)これから備えておくべきことには、どのようなことがありますか?
小室)たくさんの雨が降っているので、地面は多くの水分を含んでいます。少しの雨でも、土砂災害、山崩れや崖崩れが発生する可能性がありますので、いまのうちから避難をしてください。まだ準備ができていない方は、服装や食べ物、飲み物等を確保して、命の安全を確保できる行動をするために準備しておくことが大切です。
飯田)わかりました。小室さん、どうもありがとうございました。
日頃からハザードマップを確認しておくことが必要~音の変化など、予兆にも気を配る
飯田)行政からの避難指示等、よく注意しながら、ハザードマップもよく見ていた方がいいですよね。
ジャーナリスト・須田慎一郎)おっしゃる通りですね。ハザードマップを確認しながら、「自分の地域がどのようなリスクを持っているのか」ということは認識しておくべきだと思います。7月に土砂崩れが起こった熱海市伊豆山のケースにおいても、あのエリアの人たちはその辺に気が向いていなかったようなのです。まず、リスクのある所在について認識するということと、あとは予兆です。音が変化するとか、滲み出て来る水が濁っているなど、いろいろと事前に予兆があるらしいのです。日本気象協会の小室さんがご指摘されていたように、避難するということが大切ですが、加えてそのようなところにも注意を払っていただきたいと思います。
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