アフガニスタンからの難民 ~人数の多さ以上に問題なのは「習慣の違い」

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ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(9月14日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。アフガニスタンからの難民の対処について解説した。

アフガニスタンからの難民 ~人数の多さ以上に問題なのは「習慣の違い」

16日、カブールの空港で、旅客機の上に上がったアフガニスタンの人々(アフガニスタン・カブール)=2021年8月16日 AFP=時事 写真提供:時事通信

アフガンからの難民~周辺各国や、ヨーロッパの対処の違いについて

米軍が撤退したアフガニスタンでは、タリバンが暫定政権として復権したことにより、国外へ逃れる人があとを絶たない状況となっている。

新行)アフガンからの難民に対する周辺各国やヨーロッパの対処について、どんな違いがあるのでしょうか?

奥山)アメリカが負けたというか、一応逃げて出たという形になっています。問題なのは、残された人たちおよび、そこから出て来る人たちです。国連の試算によると50万人くらいがこれから国外に出るだろうと言われています。

アフガニスタンからパキスタンへは150万人が逃げている~150万人は神戸市の人口と同じ

奥山)アフガニスタンからは、周りの国にとても多くの人が難民という形で出ています。隣国であるパキスタンには、アフガニスタンから既に140~150万人くらいが出ています。150万人がどれくらいの規模かと言うと、神戸市や川崎市の人口とほぼ同じです。

イランへは78万人が逃れている~熊本市の人口と同じ

奥山)我々は「国が崩壊するのは大変だよね」と他人事で見ていますけれども、それだけの人が外に出ているほどの異常事態が起きているのです。アフガニスタンの左側にはイランがあります。そこには78万人が出ています。78万人と言うと、浜松市や熊本市の人口とほぼ同じです。福井県や山梨県、高知県もそのくらいです。

新行)大変な人数ですね。

奥山)我々にはわからないのですが、陸続きの国はそれだけ大変だということなのです。

人数の多さ以上に問題なのは習慣の違い~児童婚や一夫多妻制

奥山)各国、「難民を受け入れます」と言っているのですけれども、現実的に受け入れられるのかどうかが問題です。

新行)人数の多さというか。

奥山)人数の多さ以上に問題なのが、習慣の違いです。アフガニスタンでは児童婚ということで、9歳~10歳くらいで結婚して、旦那が35歳ということもあるのです。ドイツ国内や西洋、日本も含めてそうなのですけれども、そういう西洋社会では受け入れられない価値観がありますよね。一夫多妻制の習慣もありますが、ドイツの法律ではダメだということになります。

新行)そうなりますよね。

奥山)そういう文化の衝突が起こります。そういう部分が現地で受け入れられるのかというところで、軋轢を生んでいるようです。

新行)なるほど。

奥山)日本は地理的に離れていて、海に囲まれているので、難民の人たちがそれほど来ない。しかし、陸地が続いていて、問題のある国が隣に存在するということがどれだけ大変なのか、我々のような島国にはわかりにくいところがあります。

島国の日本にはわかりにくい「難民を受け入れるということ」~将来、朝鮮半島や中国大陸から難民が日本に来るということがあるかも知れない

奥山)今後、朝鮮半島や中国大陸の方から難民が「ワッ」と出て来ることがあるかも知れません。そのときに我々がどんな問題に直面するのか、シミュレーションする必要があるのではないでしょうか。

新行)いまから考えておいた方が。

奥山)例えばトルコの隣にはシリアがありますが、シリアから既に400万人がトルコへ逃れて来ているのです。400万人と言うと、横浜市の人口を超えます。それだけの人が来ていて、その人たちに応対しなくてはならない。ヨーロッパやアメリカは、「受け入れますよ」とは言っていますけれども、現実のところは、「やはりそれだけの数は厳しいよね」という人たちが多いのではないかなと思います。

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