黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(9月9日放送)に東京オリンピック、フェンシング男子エペ団体金メダリストの加納虹輝と日本フェンシング協会会長の武井壮が出演。加納選手の武器であるスピードの秘訣について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。9月6日(月)~9月10日(金)のゲストは東京オリンピック、フェンシング男子エペ団体金メダリストの加納虹輝と日本フェンシング協会会長の武井壮。4日目は、加納選手の武器であるスピードとそのトレーニング、そしてフェンシング選手のユニフォームを脱いだときの意外な一面について---
黒木)フェンシングで最も鍛えなければいけないのはどこですか?
加納)難しいですが、太ももと体幹ですかね。
黒木)突くときの体ができていないといけないということですか?
加納)そうですね。
黒木)どのようなトレーニングをなさっているのですか?
加納)スクワットや体幹トレーニングのプランクなどのシンプルなものばかりをやっています。
黒木)加納選手はスピードが武器でいらっしゃるのですが、それはもともと備わっていたものなのですか? それとも、そのために何か練習をされたのですか?
加納)中学生のころからスピードがあると言われていたので、何か特別なことをしてスピードが上がったというわけではありません。私が思うに、体幹には自信があるので、体幹の強さがスピードに活きているのかなとは思っています。
黒木)どのように鍛えたらいいのですか?
加納)3歳から11歳まで器械体操をやっていて、その影響が大きいのかなと思っています。
武井)確かに、すごくバネのある動きで相手の懐に飛び込んで行くので、体操のバランス感のよさのようなものを感じますね。
黒木)「相手の剣を自分の剣で弾いてから突くことが多いから逆転することが多い」と加納選手がおっしゃっているのを読んだことがあります。
加納)身長が低いので、相手と同じタイミングで突きに行こうとすると、向こうの方がリーチがあるので負けてしまうのです。そのため、相手の剣を叩いてからシングルランプを取りに行くというのを得意としています。
黒木)大きな選手を見ると怖いのではなくて、大きな的があると思うそうですね。
加納)思いますね。「大きい的だなあ」と。
黒木)前向きですよね。
武井)加納選手も言っていましたが、「シングルランプ」と言って、エペは同時突きは両者に点が入ってしまい、ポイントが付かないのですが、小さな選手が相手の剣をかわして単独でポイントを取るというのは最も盛り上がるので、加納選手の試合は盛り上がるのです。私も決勝戦のときは興奮して見ていました。
黒木)なるほど。ただ、防御マスクがあるので、お顔が見えないではないですか。
武井)マスクがあるので、遠目に見たら「誰が誰だかわからない」という方もいると思うのですが、プレーを長く見ていると、構えを見ただけで「あれは加納くんだ」とわかるようになります。
黒木)なるほど。
武井)選手はそれぞれ個性が違うので、そこで把握できるくらいフェンシングをより見ていただきたいですね。例えば、好きな野球選手のバッティングフォームをみんな知っていて、フォームを見て誰かわかるではないですか。好きなゴルファーのスイングもわかりますよね。
黒木)そうですね。
武井)同じようにフェンシングの選手たちもわかるのです。
武井)私が残念なのは、エペの選手たちはマスクを取ると意外といい男で、ユニフォームを脱ぐと体もバキバキなのです。写真見てみますか?
黒木)見たい。
武井)本当に可愛い顔をしているのですが、意外と獣のような体をしていて、なかなかなのですよ。
黒木)写真が出て来るまでの間に質問なのですが、突く練習というのは、人でやるのですか?
加納)人でもやりますし、自主練というか1人でやるときはクッションを突いています。
黒木)クッションがボロボロになりますよね。
加納)なります。フェンシング用の的のクッションが売っているので、それをひたすら突きます。
黒木)あ、写真出ましたね。うわっ! ナニこれ! バキバキ! こんなにバキバキなのですか? 素敵な体ですね。お顔からは想像できないですね。
武井)すごい体をしているでしょう。
黒木)しかも加納選手は特に小柄でいらっしゃるので、そのTシャツの下はそのようになっているのですね。
武井)そうなのです。意外と獣のような体をしているので、侮れないなと思います。
加納虹輝(かのう・こうき)/ 東京五輪フェンシング・エペ団体金メダリスト
■1997年・愛知県出身。日本航空所属。
■2008年北京五輪のフェンシングをテレビ観戦して興味を覚え、小学6年生からフェンシング(フルーレ)を始める。
■高校時代に、遊び半分で出た「エペ」の大会で優勝し、「フルーレ」から転向。
■エペ選手としては小柄ながら、フットワークと素早い剣さばきを強みとし、2017年のワールドカップで3位。2019年にはワールドカップで優勝。世界選手権で6位など実績残し、東京オリンピックの代表選手に選ばれた。
■2021年に開催された東京オリンピックでは、フェンシング男子エペ団体に出場。(*ほかのメンバーは、山田優選手、宇山賢選手、見延和靖選手)
■東京オリンピックでは、準々決勝で世界ランキング1位のフランスを撃破。 42対44とリードを許し、あと1ポイントで敗戦というピンチに立ちながら、 アンカーである加納選手の粘りで、45対44と逆転勝ちを収めた。
■準決勝は韓国に45対38と勝利。決勝戦ではROS(ロシアオリンピック委員会)に45対36で勝利。加納選手は日本のアンカーとして最後のポイントを獲得した。この競技での金メダル獲得は史上初。歴史的快挙を成し遂げた。
武井壮(たけい・そう)/ 日本(にほん)フェンシング協会・会長
■1973年生まれ。東京都葛飾区出身。
■大学3年で十種競技をはじめ、競技転向わずか2年半で日本陸上優勝。日本チャンピンオンとなった(十種競技100mのベスト記録は今も日本最高記録)。
■大学卒業後、陸上を引退し、アメリカにゴルフ留学。
■その後は、陸上・競輪・ゴルフ・プロ野球選手などの個人トレーナーとして活動。
■2005年には、萩本欽一氏が監督を務めた茨城ゴールデンゴールズにも入団。
■数々のスポーツの経験を活かし、「地上最強の百獣の王を目指す」と豪語。
■もちろん現在も日夜トレーニングを続け、世界マスターズ陸上などに出場し好成績を残している。2015年には世界マスターズ陸上の4×100mリレーの日本代表のアンカーとして出場し、金メダルも獲得。
■2021年6月19日、日本フェンシング協会の新会長に就任。
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毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳