岸田氏、高市氏の「2位3位連合」という戦略 ~自民党総裁選
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月27日放送)にジャーナリストの末延吉正が出演。9月29日に投開票が行われる自民党総裁選について解説した。
自民党総裁選、9月29日に投開票
9月29日に投開票が迫った自民党総裁選、各陣営は決選投票も見据え、ラストスパートに入った。
飯田)いよいよ総裁選の投開票が29日に迫っています。どうご覧になりますか?
末延)8月10日にこの番組に来ましたが、その直前にBS番組で岸田さんとご一緒していました。そのとき驚いたのは、政策も全部できあがっているし、顔つきも変わっていたということです。1年かけて準備していた。
飯田)1年かけて。
末延)8月30日に、「総裁選の日程が決まれば、意思表示する」と言っていたでしょう。まず仕掛けたのが例の党改革で、「1期1年で3期まで」というものです。
飯田)幹事長を含めて。
末延)8月22日の横浜市長選で、小此木さんが菅総理の地元で惨敗した。そのショックが冷めやらぬときに、菅さんと二階さんが問題だと、このままではダメだと。そこで仕掛けたのに対し、菅さんが8月31日夜、「総裁選を飛ばして9月中旬に解散総選挙」ということがネットで流れたのです。あのとき安倍前総理などが電話で「そんなことをやったら、自民党は惨敗する」と言ったので、解散もできなくなった。
飯田)安倍前総理から。
末延)次は週明けの9月6日に、河野さんや小泉さんという人気者を使って、党人事を変えると。しかし、その本人たちが人事を受けないということで、総裁選を飛ばしての解散もできない、人事もできないとなり、突然、退陣表明した。
飯田)突然でした。
末延)菅さんを前提にしていた野党は「勝てる」と思っていたし、菅さんも強気な人だから「行ける」と思っていたというのが、前回この番組でお話ししたことです。
小泉さんや河野さん、石破さんを組ませれば一発で決まるだろう
末延)コロナ対策と同じで、自分に都合のいいような状況判断が間違っていて、結局は、現職の総理大臣が総裁選に出られないという状況になった。どこを間違えたかと言うと、あのとき最初は自分を支持すると言っていた安倍前総理や麻生副総理が黙ってしまったでしょう。
飯田)そうですね。
末延)「ダメだ」とは言わないけれど黙っているということに対して、7年8ヵ月仕えたのですから、「なぜ自分の支持をしてくれないのだ」と、ある種の意趣返し的な感じになった。そういう意味で、自分がコントロールできると思った河野さんを後継指名した。普通、総裁選に立たない現職の総理が、後継の名前を言うなどということはあり得ません。
飯田)総裁選に立たない総理が。
末延)さらには、あのとき「出るか出ないか」と最後までみっともなかった石破さん。
飯田)石破元幹事長。
末延)これも二階さんに頭を下げなければ出られない状態だった。「石破カード」はもうそれほど有効ではなくなっているのに、人気投票をやると上から1・2・3の……二世・三世・四世ですけれど、「小泉さんや河野さん、石破さんを組ませれば一発で決まるだろう」というのが、菅総理が考えた戦略です。
飯田)決選投票まで行かないだろうと。
末延)しかし昨日(26日)、またBS番組だったのだけれど、各メディアの論調はだいたい一致していて、党員票が強いと言われていた河野さんは47%くらいです。
飯田)50%まで行かない。
末延)一発目で勝つには55%~60%くらい獲らないといけない。特に人気者3人を集めたことで、党員名簿を持って運動していたかどうかも怪しいのですよ。人気があるからバラバラにやればいいだろうと。
森山国対委員長が小泉氏を引き連れてJA全中へ
末延)ところが途中で、河野さんとはあまり折り合いがよくないけれど、菅総理と仲がいい森山国対委員長が、二階さんの出身地である和歌山県のJA全中に。
飯田)JA。
末延)ここへ小泉さんを連れて行ったというニュースが週末に流れたでしょう。
飯田)流れましたね。
末延)昔のように職域支部は弱くなったのだと言われていたけれど、実は職域支部にお願いに行かなければならないほど、河野さんは意外と伸びていなかった。全中というのは農協改革で、小泉さんがボロクソにやったところなのです。
飯田)そうですね。
末延)それを森山さんが引き連れて行った。あの報道を見たときに、意外と苦戦しているなと思いました。
安倍前総理が2012年に岸田さんに勝った「2位3位連合」のパターンで行くのか
末延)人気者に頼った戦略は、逆に言うと自民党内では人気者だから、裏方をやって来た人たちから見ると、「もっと党のために汗をかいてくれ」という不満がもともとあるため、あまりそちらも伸びない。岸田さんが2位につけて、高市さんがかなり追い上げているけれど、安倍さんたちが想定していた「2位3位連合」という、安倍さんが2012年に岸田さんに勝ったパターンで行くのかなという見方が私の予測です。
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