小選挙区で自民党が過半数を獲るためには「40%の内閣支持率」が必要 須田慎一郎が分析・解説 

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月18日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。衆議院選挙の展望と論点について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

第49回衆議院選挙

第49回衆議院選挙が10月19日に公示される。今回の選挙は衆議院の解散から投開票まで17日間で、戦後最短の短期決戦となる。投開票は31日の日曜日である。

飯田)4年ぶりの衆院選ということになりますが、事実上の選挙戦はすでにスタートしているという感じです。

須田)なぜ戦後最短と呼ばれるほどの短期選挙となったのか。そして「小異を捨てて大同につく」と言えば聞こえはいいのですが、いろいろと政策で整合性を欠いているにも関わらず、なぜ野党共闘が意識されて形成されたのか。

自民党候補への組織票は全体の2割

須田)どちらが勝つのか負けるのか、どの程度の議席を獲るのかというような話の前提にもつながるのですが、例えば各小選挙区の票数を100として置くとします。そのうち、自民党の候補は、自分の後援会の組織や医師会、農業団体などの組織票が大体、全体の2割程度あるのです。これは各選挙区の平均値です。

飯田)2割程度。

野党の組織票も一本化すると2割 ~20%対20%

須田)野党はと言うと、労働組合や市民団体などがあって分散するのですが、これも組織票が2割程度あります。

飯田)同じく2割。

須田)ただ、その2割のなかから共産党の候補を推したり、立憲民主党の候補を推したり、国民民主党の候補を推すというようなことが起こるので、組織票は結果的に分散します。これを一本化する。そうすると、20対20になるのです。

「スタートラインを与党とイーブンにする」のが野党共闘の大前提

須田)組織票のところでは与党とイーブンにして、「スタートラインを整えましょう」ということが野党共闘の大前提であり、発想なのです。ただ、その20%がすべて投票時に投票に行くかどうかはわかりません。ですので、「投票率を上げる」ということを野党がしきりに言っているのは、約20%の組織票をきちんと固めようということが基本的な戦略だからです。

飯田)なるほど。

須田)ただ、残りの60%があるではないか、という話なのですが、これが「無党派層」と言われる層なのです。私は小選挙区制に移行してから、すべての衆議院選挙をチェックしていました。この6割がどのようなトレンドを描くのかということですが、明確に連動性の高いものが1つありました。内閣支持率です。つまり、内閣支持率が50%あったとしましょう。そうすると、残りの6割のうち、50%は自民党候補に入るのです。

飯田)60%の5割というと、大体30%くらいが自民党候補に入って行く。

2021年10月8日、会見する岸田総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/actions/202110/8bura.html)

自民党が過半数を獲るためには40%の内閣支持率が必要

須田)比例復活は除きますが、小選挙区制の戦いというのは、相手より1票でも多ければいいのです。10票も20票も差をつける必要はなく、1票多ければいい。そうなると、自然と必要な内閣支持率が決まって来て、30%台後半を推移していれば、ほぼ勝てる。とは言っても、組織票がきちんと固められているのか、後援会組織がどのくらいの影響力を持っているのか、そのようなことも考えなければいけません。ただ、全国平均で見ると、30%台後半~40%あれば自民党候補が勝てるケースが多い。

飯田)30%台後半~40%あれば。

須田)全体で見ると、安定過半数を獲るためには、「40%程度の内閣支持率が必要だ」というところに落ち着くのです。内閣支持率はジェットコースターのようなものですが、上がったり下がったりという意味ではありません。ジェットコースターの最も高いところは、スタート地点ではないですか。あとはぐっと下がってもう1度盛り返しますが、当初スタートした地点よりは高くならないのです。

最も高い支持率のなかで総選挙に出る ~戦後最短の短期決戦を仕掛けた与党の狙い

須田)このような形で内閣支持率というのは推移して行くのです。つまり、今回の岸田内閣のように「最も高いところでやるのがベスト」ということになります。それを失敗してしまったのが菅内閣です。二の轍は踏まないということで、最も高いところから始めようとしている。ただ、10月31日時点での内閣支持率がどのようになっているかは、今後の推移を見なければわかりませんし、おそらくそのような世論調査は実施しないので、結果論にはなってしまうでしょう。それが戦後最短の短期決戦を仕掛けた与党の狙いなのです。

飯田)与党の狙い。

須田)野党共闘、小異を捨てて大同についたというのは先ほど申し上げた通り、とにかく組織票を固めて投票率を上げることによって、きちんと組織票が投票時に向かうようなことを基本ラインとしているのです。

「1+1」が2以下になることもある

飯田)組織票が固まっていれば、投票率の部分は、むしろ与党としては「あまり上がらなくてもいい」とも思っているのでしょうか?

須田)そこは悩ましいところです。とは言っても内閣支持率と政党支持率で、政党支持率が10%を切っているのに、おそらく無党派層の得票数はそれに比例するはずなので、どうなのだろうということはあります。組織票がしっかりとしている選挙区ですが、一部の選挙区では、過去の選挙を見ると、「立憲、共産、国民民主を足したら、与党の候補を上回った」ということもあります。しかし、すべての選挙区がそうではありません。すべてに当てはまるのかどうかということは別問題だと思いますし、立憲民主党のなかにも、「共産党とは少し考え方が違うよね」という支持者や支援者もいると思います。「1+1」は必ずしも2ではない、「1+1」が2以下になることもある、ということは、政治の世界でもよく言われることです。

飯田)野党側の大きな支持母体というと、組合組織、連合ということになりますが、連合の芳野会長も、共産党との共闘に対して少し後ろ向きな発言がありました。

須田)ガラス細工のような野党共闘なのです。つまり、野党共闘というのは大きく分けて2つの柱があり、1つは政策協定です。この政策協定を結んだのは、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党の4党だけです。国民民主党は入っていません。

飯田)国民民主は入っていない。

須田)その一方で、候補者の一本化というのは、国民民主党が入って来てしまうのです。どういうことかと言うと、連合に対する配慮なのです。では、一本化して万が一、野党が過半数を握ったときに、どのような政権ができるのか。共産党は「閣外協力で閣内には入りません」と言っていますが、では国民民主党の立場はどうなるのか。説明がついていないところがたくさんあるのです。

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野党が政権を獲った場合

飯田)先日、共産党の小池書記局長に番組に出ていただきましたが、閣外からの協力ということで、事前のオファーの審査などは行わない。政策ごとに判断をする。そのような形でやるのだということは表に出しています。その先の話は、選挙戦のなかでいろいろと説明が求められるところではありますが。

須田)政策協定を結んだことについては、誠意を持って、その内閣が実現実行に移して行くのですが、それ以外のところはどうするのでしょうか? 根本的な問題や国家間の問題について、非常にわかりにくい内閣と言えるのではないか。その辺を投開票日までに詰めて欲しいと思います。

飯田)今回の過程もそうですが、出て来た結果に対して、どのように分析をするのかということも相当難しいというか、いろいろと変わりそうですね。

10月24日に投開票の参議院静岡選挙区補欠選挙

須田)その一方で、前哨戦と言われている静岡の補欠選挙をやっています。これが10月24日に投開票日を迎えます。

飯田)1週間、早いのですよね。

須田)これについて、野党共闘が成立していないのです。共産党の候補と、立憲民主党と国民民主党が推薦している候補と、自民党公認の候補の3人が立っているのですが、立憲・国民が推薦している候補と、自民党の公認候補がほぼ拮抗しているのです。当初は自民党候補がリードしていたのですが、並んでしまったのです。この結果がどのような影響を及ぼすのかということも、注目です。

飯田)参議院の静岡補欠選挙ですが、自民党公認の若林洋平さん、無所属で立憲・国民が推薦を出している山崎真之輔さん、そして共産党からは鈴木千佳さん。この3人が立候補しています。いずれも届出順ということです。投開票は10月24日となっています。

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