あけの語りびと

「群馬に一丁焼きのたい焼きを」 デザイナー、セラピストを経て“たい焼き”に灯した夢

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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

「群馬に一丁焼きのたい焼きを」 デザイナー、セラピストを経て“たい焼き”に灯した夢

吉田正子さん

天下の名湯・草津をはじめ、伊香保、水上といった有名温泉地があり、秋は谷川岳、赤城山、榛名湖など、紅葉の名所もいっぱいの群馬県。なのに都道府県の魅力度ランキングでは、なぜか下位の常連です。でも群馬の皆さん1人1人は、きっとふるさとに誇りを持ち、魅力を高めようと日々努力を重ねられているはずです。

県庁所在地・前橋市にお住まいの吉田正子さん・53歳も、その1人。自らの手で焼き上げた「たい焼き」を食べに、1人でも多くの方に群馬へ足を運んでもらえるようになりたいと、お店の開店準備に奔走しています。

生まれも育ちも群馬・前橋の吉田さん。共働きのご両親の下、いわゆる「おばあちゃん子」として育ちました。小さいころの楽しみは、おばあちゃんが縁日で買って来てくれる「たい焼き」。温もりが残る茶色い包み紙からフワ~ッと広がる甘い香りに、心のワクワクが止まりませんでした。

吉田さんは東京都内の学校を卒業後、グラフィックデザイナーとして、地元の印刷業者が発行する雑誌を手掛けていました。やがて実力が認められ、デザインに加えて取材や編集、営業などにも携わりましたが、心身ともに疲れ果ててしまい、癒しの世界を求めてセラピストに転身します。

しかし、セラピストの仕事も甘いものではありませんでした。結局、できる仕事は何でもこなして、子育てや生活に追われる日々が続きます。吉田さんはふと、自分自身に問いかけました。

「私はお金ばかりを追いかけているのではないか? もっと自分を、そしてみんなを笑顔にすることができないのだろうか?」

「群馬に一丁焼きのたい焼きを」 デザイナー、セラピストを経て“たい焼き”に灯した夢

吉田正子さん

そんなとき脳裏によみがえったのが、幼いころに「たい焼き」をいただいた風景でした。吉田さんは「美味しいたい焼き」が恋しくなって、東京の有名店へ足を運びました。

このお店は、昔ながらに「カチャッ、カチャッ」と音を立てて1枚ずつ焼き上げて行く、いわゆる「一丁焼き」のお店でした。アツアツをハフハフと頬張れば、おばあちゃんのたい焼きと同じ懐かしい味がしました。

「この美味しいたい焼きが、群馬にはない。誰もやらないなら私がやる。いつか私の手で、群馬に一丁焼きのたい焼きのお店をつくりたい!」

吉田さんの心の鉄板に、小さな小さな火が灯りました。それからおよそ10年、コロナ禍で吉田さんのスケジュール帳は真っ白になりました。自然に自分自身と向き合う時間が増えて行きます。

すると、まるで天から降りて来たかのように、あのときの「小さな決意」が沸々と湧き上がりました。

「こんな時代だから、もっと笑顔が必要だ。たい焼き店をやるならいまだ!」

「群馬に一丁焼きのたい焼きを」 デザイナー、セラピストを経て“たい焼き”に灯した夢

「天然たい焼き 愛茶屋」のキッチンカー

吉田さんは、これまでの仕事にひと区切りをつけ、夢に向かって走り出すことにしました。お子さんが自立したことも背中をあと押ししてくれました。

さっそく、一丁焼きの人気たい焼き店がある東京・浅草へ向かい、弟子入りします。群馬でインターネット動画を見ながら、ひそかにずっと会いたいと思っていた師匠のお店でした。

修業では、焼き上げる技術はもちろんのこと、すべてのお客様に同じ焼き方を提供できる集中力と精神力の大切さを学んだと言います。師匠から一丁焼きの鋳型を譲り受け、晴れて独立が認められました。

開店資金はクラウドファンディングで調達することにしました。2021年6月、100万円を目標にスタートすると、わずか数日で目標を達成。地元の方を中心に、SNSなどでつながった全国の方が支援してくれました。

最終的には、目標額の倍以上となる230万円あまりを集めることができました。吉田さんを支えて下さったお友達の皆さんは、こぞってこう言うそうです。

「マコさんは愛の人だね」

そんな皆さんへの感謝の気持ちも込めて、お店の名前は「天然たい焼き 愛茶屋」に決めました。

「群馬に一丁焼きのたい焼きを」 デザイナー、セラピストを経て“たい焼き”に灯した夢

「天然たい焼き 愛茶屋」のキッチンカー

吉田さんは、「毎日食べられる」こだわりのたい焼きを提供したいと言います。たい焼きの粉は群馬県産の地粉。実は群馬県、全国有数の小麦の産地なのです。地元の製粉業者に掛け合って、オリジナルの粉をつくってもらいました。

あんこには十勝産小豆と高級な一番糖を使うことで、自然な甘さに。隠し味として、ご当地グルメ「焼きまんじゅう」のたれでおなじみの味噌と醤油を加えているのだそう。まさに「群馬ならではの」たい焼きというわけです。

「天然たい焼き 愛茶屋」は、11月中旬から群馬県の前橋と高崎を中心にキッチンカーで出店する予定です。「遠くの方でもたい焼き目当てに群馬へ来て、笑顔になって欲しい」と話す吉田さん。あんこと夢と群馬愛がいっぱい詰まった天然たい焼き屋さんが、いよいよ走り出します。

番組情報

上柳昌彦 あさぼらけ

月曜 5:00-6:00 火-金曜 4:30-6:00

番組HP

眠い朝、辛い朝、元気な朝、、、、それぞれの気持ちをもって朝を迎える皆さん一人一人に その日一日を10%前向きになってもらえるように心がけているトークラジオ

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