ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月11日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。11月19日に告示される立憲民主党の代表選について解説した。
立憲民主党の代表選 19日告示、30日投開票で最終調整へ
立憲民主党の代表選挙管理委員会は11月10日、辞任を表明した枝野代表の後任を決める代表選を19日告示、30日投開票の日程で実施する方向で調整に入った。枝野代表が辞任する11月12日の常任幹事会で決定する見込みだ。
飯田)明日(12日)決定される予定です。今回はいわゆるフルスペックの形、協力党員なども投票する形式で行われるということです。
馬淵さん待望論も
鈴木)立憲は、ある意味で節目を迎えているので、前向きな形の代表選挙にしなければならないと思います。昨日(10日)、泉健太政調会長とある番組でご一緒しました。総選挙が終わったあとに馬淵澄夫さんにも取材しています。
飯田)そうですか。
鈴木)そのなかで、誰が出るのか。いまのところ言われているのは小川淳也さん、それから私がいま挙げた泉健太さん。大串博志さんも意欲を示しています。また、馬淵澄夫さんにはある種の待望論が出ています。馬淵さん自身の意志はまだオープンにはされていませんけれども。
飯田)馬淵さん待望論。
鈴木)それから女性、ジェンダーも含めてですが、それが立憲の主張だったでしょう。女性候補は出ないのかということです。辻元清美さんが落選したことが大きいですが、辻元さんが通っていれば、手を挙げたりするのかも知れません。そのなかで、ベテランと言ってもいい西村智奈美さんが名乗りを上げています。
飯田)女性では。
旧立憲系と旧国民民主系の戦いの構図か ~総選挙の総括をして前向きな代表選にするべき
鈴木)いい悪いは別として、合流する前の旧立憲系と旧国民民主系。そのなかでの対決になるかなと。最終的には、そういう構図なのだろうと思います。
飯田)旧立憲系と旧国民民主系の。
鈴木)今回の枝野さんの辞任も含めて、「総括して前向きにポジティブな代表選をすべきだ」と言いましたが、その総括をしっかりとやらなければいけないと思います。
飯田)総括を。
鈴木)選挙が終わった瞬間から言われているのは、「立憲が相当票を減らした」と。
飯田)議席を減らした。
鈴木)14議席減らしました。それと、野党の一本化については、共産党との距離感にも批判が出た。そういうものが大きな声になって流れができましたけれど。
「野党共闘」で小選挙区で9つ議席を増やした ~選挙戦術として有効であった
鈴木)でも、よく見ると、飯田さんも選挙番組をやっておられたからわかると思いますが、確かに「立憲はすごく負けているな」と思ったけれど、小選挙区と比例をきちんと見れば、実は小選挙区では議席を9つ増やしています。
飯田)そうですね。
鈴木)野党で一本化したから、小選挙区では議席が増えているのです。小選挙区で負けたところでも、ある報道機関が数字をまとめていたけれど、1万票差で自民党と接戦になったところが59選挙区あるのです。自民党が30勝くらいで、野党統一候補が26勝くらい。実は小選挙区だけを見ると、共産党も含めて野党一本化というのはそれなりに成果を出しているわけです。
飯田)小選挙区では。
鈴木)一方で比例はと言うと、立憲はマイナス23議席。ボロ負けです。これを分けて考えないといけない。もし共産党と組んで野党一本化をしたことが世論から批判されたというのであれば、小選挙区だって勝てていません。そこは成功したのです。それはそれで選挙戦術として、もしくは小選挙区のなかの戦い方としてはありなのです。
最大の敗因は「立憲民主党とは何なのか」ということがアピールできなかったこと
鈴木)一方で「立憲とは何なのか」というところがアピールできていなかった。考えてみれば今回の選挙で、「立憲が一言で何を訴えたか」ということを、例えばクイズで出されたら答えられますか?
飯田)答えられませんね。
維新は「改革」、では立憲は何か
鈴木)維新の場合は「改革」です。しかし、立憲はないのです。他の党や共産党もそうかも知れない。もっと激しい、「共産党と言えばこれ」という1本が出て来るはずなのに、それが今回の総選挙では見えなかった。
飯田)そうですね。
鈴木)これは昨日(10日)の夜に泉さんと話したけれど、野党共闘を意識したことによって、お互いに遠慮して引いてしまった。泉さんはこんなことを言っていました。野党4党の統一候補で立憲の人が立ち、そこへ応援に行ったのだけれど、各党の人がいる前で「比例を立憲に」とは言えませんよねと。それはそうですよね。横には共産党などがいるわけだから。
飯田)そのなかでは言いにくいですよね。
鈴木)立憲とは何なのか、政策的なものやアピールが足りなかった。そういうところを反省しなければいけないと言っていました。
飯田)確かに、選挙区へ取材に行くと、「立憲民主党の〇〇です」と自己紹介できないのですよね。「野党統一候補の〇〇でございます」と言う。もちろん、選挙カーには「立憲」などと書いてあるけれども。
鈴木)野党が1つになって、1つの政党ならいいけれど、基本的にはバラバラなのだから、比例では狡猾に「立憲とは何なのか」というものをアピールしなければいけない。「立憲らしさ」とは何か。「改革」という、昔、旧民主党が自民党に対抗するために言っていたものを、いまは完全に維新に奪われてしまっている。改革についても、立憲はなかなか言いませんよね。
代表選はすべて中身を晒してやっていい
飯田)結局、「政権批判だけに終わってしまっていないか」と。その先に提案がないと思う人は多いかも知れません。
鈴木)それは泉さん自身が言っていました。批判だけではなくて、昔は改革などがプラスアルファされていたという話をしていたのだけれど、今回はそこがなかった。そういう点も反省していると。私はそれでいいと思います。共産党と組んだことがどうのこうのという、ある種のキャンペーン的なものを置いておいても、闘い方としては野党が1つになる。それは成功したのだと。しかし、立憲として「何が必要なのか」ということです。
飯田)立憲として。
鈴木)今回の代表選は、旧立憲系と旧国民民主系という構図でやるけれど、これもオープンにしてしまった方がいいと思います。ベールに包んで、コッソリなかで対立しているのは最悪です。路線が違うなら違うで、今回の代表選はそういうところまでも見せてやっていいと思います。
飯田)そこまで見せて。
鈴木)その代わり、自民党のように終わったらノーサイド……実はノーサイドではないですよ。いろいろあるけれど、それでもオープンな形で、「立憲とは何か」という代表選にすることで、初めて次につながる。それができないと、さらに埋没してしまいます。今回の代表選は非常に大きな節目になると思います。
自らを発信する努力が足りない
飯田)泉さんや馬淵さんの待望論が出て来ているということは、「政策をきちんとやって、それを表に出して説明できる人が必要だよね」ということなのかも知れません。泉さんが政調会長に就いた直後にインタビューした際は、「うちだってこれだけ政策をやっているのですよ。議員立法で出してもいるのです」とおっしゃっていました。でも、そこは報道されない。立憲シンパかなと思う報道機関も、政権を攻撃しているところばかりを報じて、地道にやっている政策に関してはあまり報じて来なかったのも多少影響しているかも知れません。
鈴木)それはメディアの責任というより、やはり発信する立憲の努力が足りなかったのだと思います。
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