中国が林外務大臣に期待しても見返りはない ~日中外相会談
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月19日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。11月18日に行われた林外務大臣と中国の王毅国務委員兼外相との電話会談について解説した。
日中外相会談、尖閣や人権問題で平行線
林芳正外務大臣は11月18日、中国の王毅国務委員兼外相と就任後初めて電話会談を行った。林氏は中国公船の領海侵入が相次ぐ沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題や東シナ海、南シナ海の情勢、香港や新疆ウイグル自治区の人権問題を取り上げ、深刻な懸念を表明。台湾海峡の平和と安定の重要性も指摘した。日本側によると、王氏は従来の主張を繰り返したということだ。
飯田)就任して間もなくというところですが。
宮家)中国とはひと通りやられたようですけれども、中国が譲歩するわけがないし、日本も譲歩するわけがないのですから、最初は米中と同じで、まずは相手の出方をよく見ながら、とにかく対話することが大事です。ただ、今後どのように具体的な措置を取るかということは別の話だと思います。
決して親中派ではない林外務大臣
飯田)就任前には林さんが親中派ではないかという批判もありました。
宮家)それはないでしょう。日中議連の会長は他にもいろいろな方がいたけれども、みんなが親中というわけではありませんでした。林さんは素晴らしい語学力を持っているし、アメリカにも留学していたのでバランスも取れていると思います。中国がもし、林さんは中国に優しいのではないかと期待するのであれば、それは違うと思います。
飯田)林さんは防衛大臣もやっていらっしゃるなど、安全保障に関しても歴任されていますからね。
宮家)防衛大臣の他に農水大臣もやっているから、TPPにも詳しいし、中国の思う通りにはならないですよ。中国側もそこはよくわかっているとは思いますけれど。
飯田)アメリカの意向など、いろいろなパイプのなかで、当然ながら肌身に染みている部分があるのでしょうね。
宮家)いちばん経験が豊かな人の1人でしょうね。
ようやく経済安全保障に本腰を入れ始めた日本
飯田)中国との関係は、TPPの話などにも関連しますが、日本としては経済安全保障を含めてどうマネージして行けばいいですか?
宮家)経済安全保障については、ようやく日本が本腰を入れ始めました。そもそも国家安全保障とは別の世界として経済があった時代は、とっくに終わっています。しかも安全保障に関連する技術、製造技術などが特定の国に集中した際、我々がそれにアクセスできない、もしくは我々が持っていないとなった場合には、経済的利益以上の大きな問題を生じさせるわけです。その意味でも、やるべきことがようやく始まったなということだと思います。
飯田)ようやく始まった。
宮家)当然、中国を念頭に置きながら考えなくてはいけないわけですけれども、これから関係省庁などがオールジャパンで何とか巻き返しをして欲しいと思います。逆に言うと、中国でこれまで投資をして来た人たちも、国家安全保障に関係のない普通の分野であれば、どうぞやってくださいということだと思います。そこはメリハリをつけて、すべてがすべてデカップリング、すなわち切り離しているわけではないということだと思います。
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