黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(10月29日放送)に評論家の山田五郎が出演。「いちばん好きと言えるもの」について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。10月25日(月)~10月29日(金)のゲストは評論家の山田五郎が出演。5日目は、「いちばん好きと言えるもの」について---
黒木)『闇の西洋絵画史』シリーズ、『黒の闇』編5巻。創元社から発売中でございます。そして来年(2022年)の1月以降に、『白の闇』編5巻が発売予定です。これ絶賛いま執筆中でございますね。
山田)白の方ね。黒の方はもう出ておりますけれども。
黒木)面白いですね。黒買ったら、やはり白も欲しいですよね。
山田)5冊セットで買っていただくとケース入っています。
黒木)そして講談社選書メチエからは『機械式時計大全』が出たばかりです。ちなみに山田さんはどの機械式時計がお好きなのですか?
山田)何でも好きです。番組などに出ると、「何がいちばん好きですか」って聞くではないですか。本当に困るのですよ。
黒木)全部好きだと。
山田)全部好き。時計が好きな人は、すべて好きだと思いますよ。
黒木)そうですね。私も絵は大好きです。
山田)どうやらそのようですよね。では、いちばん好きな絵は?
黒木)ムンクです。
山田)「ではムンクのなかのどれですか?」と聞かれるのですよ。
黒木)お姉さんの絵です。
山田)すごいなあ。言えるのですね。
黒木)『楽園のカンヴァス』という原田マハさんの本のなかに、子供が、「お父さん、どの絵が好きかってどうやって見つけたらいいの」というセリフがあって、「それはね、例えば渋谷のスクランブル交差点のように、たくさんの人がいるなかで、フッと気になる1人の人がいたら、それがあなたの好きな絵だよ」というようなセリフがあったのですよ。
山田)ありましたね。
黒木)「なるほど、何が好きというのは、何かがキャッチすることがあるのだな」と、その原田さんの小説を読みながら思いました。
山田)私も同じ小説読みました。同じ個所で、「スクランブル交差点の中にいる人は、100人くらい気になる人がいるな」と思いました。
黒木)おかし過ぎる(笑)。そうなのですか。
山田)どうして人は1つに決められるのだろうと思います。
黒木)私はあそこで感動しましたもの。
山田)私はいま黒木さんに感動していますよ。「決められるのだ」と思って。私も1つに決められる人になりたいかも知れない。この番組にお招きいただいたおかげで、私、残りの人生に何も目標なかったのですけれども、できましたよ。
黒木)できました。
山田)「いちばん好きと言えるものを探す」という目標が。例えば絵だったら、「これがいちばん好きな絵だ」と自信を持って言える絵と死ぬまでに出会えるかな私は。「ヤン・ファン・エイクの『ヘントの祭壇画』です」ということにしているのですけれども。それは便宜上そう言っているだけであって、本当に「この1枚」、あるいは時計も本当に「この1本」に出会える……。
黒木)旅に出ますか?
山田)旅に出た方がいいですかね、これね。
黒木)心の旅ね。
山田)心のスクランブル交差点に。
山田五郎 / 評論家
■1958年12月5日 東京都渋谷区生まれ。大阪府豊中市で育つ。
■上智大学文学部在学中にオーストラリア・ザルツブルク大学に1年間遊学。西洋美術史を学ぶ。
■卒業後、講談社に入社。「Hot-Dog PRESS」編集長、総合編纂局担当部長等を経てフリーに。
■これまで 西洋美術、まちづくり、時計、ファッションなど幅広い分野で 講演、執筆活動を続けているほか、テレビ・ラジオなどメディアでも活躍。
■主な著書に『知識ゼロからの西洋絵画入門』『知識ゼロからの西洋絵画史入門』『知識ゼロからの西洋絵画 困った巨匠対決』『知識ゼロからの近代絵画入門』など。
■2021年3月に 創元社から、アルケミスト双書『闇の西洋絵画史』シリーズを刊行。西洋絵画の「王道の裏面」、「闇」の側面をテーマにした著書となっている。これまで第1期として「黒の闇」篇5巻、来年1月以降に「白の闇」篇5巻を刊行予定。
■2021年8月には講談社から『機械式時計大全』という本も出版。機械式時計に関する山田五郎さんの教養を総動員した1冊。
■2021年1月からは公式ユーチューブ「山田五郎 オトナの教養講座」を開設。登録者数25.4万人。絵画の解説・疑問・裏話などを中心に話をされています。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳