自律神経を乱さないためには、「怒らず」に「叱る」こと
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東京都医師会理事で順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏が11月17日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。自律神経を乱す身近な原因について解説した。
現在の我々の環境は自律神経が乱れやすい ~SNS、人間関係
飯田浩司アナウンサー)自律神経を乱す身近な原因について、どのようなことがありますか?
小林)現在の我々の環境は、自律神経が乱れるべくして乱れるような環境にあると言っても過言ではありません。
飯田)よくない環境が揃っていますか?
小林)1つはSNSです。いろいろな情報が過度に入り過ぎると、それに惑わされてしまいます。いい情報ばかりではなく、どちらかと言えば悪い情報の方が多いので、不安定になってしまう。
ストレスの原因の9割は人間関係
小林)もう1つは人間関係です。ストレスの原因の9割は人間関係です。
飯田)そうですか。
小林)人間関係について、自分があまり気にしなければいいのですが、どうしても嫌な上司などもいますよね。そういう人とも話さなければいけない。これは避けられないのです。そこをうまくやらないと、泥沼にはまって行きます。
日光東照宮の猿たちを思い浮かべて気持ちを落ち着かせる
小林)ママ友など、他人のことが気になってしまう場合もあります。他人のことを過度に感じてしまう。それにSNSの情報も入って来ると、コントロールすることが難しい。よく、日光東照宮の猿のことを講演会などで話すのですが、あれは人生の生き方を訴えています。「見ざる、聞かざる、言わざる」。余計なものは見ない、余計なものは聞かない、余計なことは言わない。これが徹底できれば、ストレスは半分以上軽減します。
飯田)確かに見てしまうし、聞いてしまうし、だから言ってしまう。逆を行ってしまいますよね。東照宮の猿たちを思い浮かべて、気持ちを落ち着かせる。
「怒らない」と「叱らない」は全然違う
飯田)「喜怒哀楽」などいろいろな感情がありますが、自律神経に影響を及ぼすのは、どういう感情になりますか?
小林)「怒らない」と「叱らない」は全然違うのです。怒るということは、交感神経で怒っているのです。感情だけなのです。
怒るのは血流が悪く、叱るのは血流がいい状態 ~「怒る」から「叱る」にするべき
小林)叱るというのは、副交感神経で叱っているのです。怒るのは血流が悪い状態で、叱るのは血流がいい状態。だから、怒るということは相手に恐怖を与えますし、叱ることは相手に愛情を感じさせる。絶対に怒らない方がいいです。怒って得することは何もありません。必ず結果がいい方向に行かないのです。「怒ろう」というときは少し間をおいて、「怒る」から「叱る」にした方がいいと思います。
新行市佳アナウンサー)自分の子どもに対しても、怒るのではなく、叱る。
小林)そういうことです。
「カッ」となったら深呼吸して「怒る」から「叱る」へ
飯田)子どもの受け取り方で「怯えているな」という場合は、怒っているということになりますか?
小林)怒る人は呼吸をしていないか、浅いですから、まずは怒ろうと思ったら深呼吸する。そうすると、ほとんどの怒りは飛びます。
飯田)何かの行動があって、「カッ」と来て、「お前!」と怒ってしまうのですが。
小林)そういうときには間を置いて、そこで深呼吸すれば、ほとんどの怒りは飛びます。そこから叱る方向へ転じれば、副交感神経の方が優位になった状態で、愛情を持った叱り方ができると思います。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます