コロナ禍で打撃を受ける「アンダークラス」の人たち

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月1日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。10月の有効求人倍率が2ヵ月ぶりに低下したというニュースについて解説した。

電話で話す、いのちの電話の女性相談員=2021年2月2日、東京都内 写真提供:時事通信

10月の有効求人倍率1.15倍、2ヵ月ぶり低下

厚生労働省が11月30日に発表した10月の有効求人倍率は、前月比0.01ポイント低下の1.15倍で、2ヵ月ぶりに低下した。緊急事態宣言が10月に全面解除されたことを受け、感染リスクへの不安軽減から求職活動が活発化し、分母にあたる有効求職者数の伸び(0.6%増)が分子となる有効求人数の伸び(0.5%増)を上回った。

飯田)求人も増えたけれども、それ以上に職を求める人が増えたため、今回の数字になったようです。

コロナ禍で打撃を受けている「アンダークラス」の人たち

佐々木)コロナ禍で、U字ではなく、K字回復、つまり、下に落ちる人と上に上がる人の両方がいると話題になっていました。日本は解雇規制が強いため、正社員の身分が守られているので、中間層である会社員がコロナ禍で解雇されるケースは少なく、守られている人が多かったと思うのです。

飯田)正社員の人は。

佐々木)その一方で、そうではない人たち。早稲田大学の橋本健二先生が「アンダークラス」という言葉を提唱しています。昔は非正規社員と言えば、専業主婦の女性などが多かったのですが、専業主婦でも高齢者でもなく、非正規で働いていて年収が200万円に届かない人たちのことをアンダークラスと呼んでいます。その人たちがコロナ禍で打撃を受けている。

飯田)アンダークラスの人たちが。

佐々木)なぜアンダークラスの人たちが打撃を受けているかと言うと、彼らはレストランやアパレルショップなど、飲食や小売で働いているケースが多いのです。それを営んでいる自営の中間層の人たちが、コロナの影響で店を畳んでしまった。中間層のなかにも、会社に勤めている正社員の中間層と、自営で店を経営しているような中間層がいるのですが、後者である自営業の中間層が今回、すごい勢いで没落してしまっているということを、東洋経済で橋本先生が書かれています。

自営業やアンダークラスの非正規社員の人たちが転落

佐々木)アメリカでは、上位1%の富裕層がお金を独占して、それ以外の中間層が没落していると言われています。アメリカの場合はフェイスブックのマーク・ザッカーバーグなど、ものすごいお金持ちがたくさんいて、解雇規制も緩いので、容易く社員を解雇できます。そこで再就職できなかった人が、没落しているという構図があるのです。

飯田)アメリカの場合。

佐々木)日本の場合、お金持ちはアメリカほどいない。富裕層で、資産が100万ドル(1億円)以上ある人が、アメリカだと人口の6%。最も多いのがスイスで10%近くいるらしいです。オランダが5%なのだけれど、日本は2.6%ほどしかいない。アメリカの半分以下しかいないのです。ちなみに中国は、お金持ちがたくさんいるイメージがあるのだけれど、人口が多いので、富裕層の割合はわずか0.4%です。

飯田)人口比で言うとそうなる。

佐々木)日本は富裕層が金を収奪しているというよりも、中間層の正社員層が金を守り切っていて、その下にいる旧中間層の自営業やアンダークラスの非正規の人たちが転落しているという、底抜けの状態が起きている感じなのです。そこを見ないと、「金持ちから税金を取れば日本は大丈夫だ」というような、よくわからない意見になってしまう。そうではないことを認識しておくのは必要だと思います。

仕事がなく困っているアンダークラス層に目を向けるべき

飯田)アンダークラス層などからすると、正社員で地位が守られているというのは、「既得権益ではないのか」と。就職活動をした時期によって、その身分になれるかどうかが決まるのはおかしいではないか、となるわけですね。

佐々木)しかも、転落してしまった側がもはや若者でもなくなって来ています。就職氷河期世代は40代半ばですからね。全体の有効求人倍率や失業率の数字も、もちろん大事なのだけれど、それだけを見ていると見えて来ない問題があるのです。

飯田)そこだけを見ていると。

佐々木)全体で言えば正社員の数が多いので、失業率も高くないように見えるのだけれど、実はそうではないところで、仕事がなくて困っている人がたくさんいるということを認識するべきだと思います。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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