高齢化と「生涯未婚」で単身世帯が増える日本の未来は救えるのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月1日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。日本の総人口が1億2614万人となり、高齢化率が過去最高を更新したというニュースについて解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

日本の総人口1億2614万人 ~高齢化率は過去最高

総務省は11月30日、令和2年国勢調査の確定値を発表した。令和2年10月1日時点の外国人を含む日本の総人口は、平成27年の前回調査から0.7%減の約95万人減少、1億2614万6000人余りとなった。また、総人口に占める65歳以上の割合は2.0ポイント増の28.6%で、過去最高を更新している。

飯田)人口はピークからすると、少しずつ減りつつある。高齢化率は上がっているという状況です。

佐々木)コロナ禍にも関わらず、外国人が意外と増えていて、43%増。現在、約274万人が日本に住んでいます。また、一人暮らしの世帯が増えている。高齢化ともう1つの問題は、「結婚しない生涯未婚の人がどういう人生設計を描くのか」ということです。

一生結婚しない30代、40代が3割~4割

佐々木)昔、私が新聞記者だった1980年代~1990年代には、増税や減税などがあると、記事で「標準世帯では1家族あたり〇円の負担増」と書いていました。当時の標準世帯としては、「サラリーマンの夫と専業主婦の妻、子どもは2人」という家族構成でした。それがいまは標準ではなくなってしまい、少数派なのです。専業主婦がほとんどいなくなっている。

飯田)単身世帯が増えている。

佐々木)そうなのですよね。しかも、いまの30代~40代くらいだと、一生結婚しない人が3割~4割くらいになるのではないかという話もあります。

未婚の女性の方が男性よりも幸福度が高い

佐々木)面白い統計があって、未婚の女性の方が男性よりも幸福度が高いというのです。確かに、女性は年齢が上がれば上がるほど、友だちが多いですよね。男性は年齢が上がれば上がるほど、友人が減って行って、みんな孤独になって行く傾向がある。山登りをするとわかります。山登りをするシニアの人は多いのですが、女性は必ず集団で登る。たまに1人の人がいるのだけれど、それは死ぬほど健脚の力強い女性だったりして、大半は集団で登ります。しかし60代~70代の高齢男性の場合、登山者は多いのだけれど、ほぼ単独です。

飯田)なるほど。

佐々木)単独で登るから遭難する人が多いのですよ。

飯田)よくニュースになりますよね。

佐々木)昔、「濡れ落ち葉」という言葉がありました。退職した夫が「これから妻と楽しく暮らそう」と思ったら、妻の方は友だちが周りにたくさんいて、旅行も一緒に行っているのに、鬱陶しいくらい夫が毎日妻の行くところに付いて来る。「足に付く濡れ落ち葉のよう」なので「濡れ落ち葉」と言われていたのですが、そういう構図があるわけです。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

テクノロジーの進化で孤独を癒す ~会話が成り立つAIなど

佐々木)そうすると大事なのは、結婚しているかどうかではなく、「社会から孤立しないで誰かとつながっていられるかどうか」だと思います。テクノロジーが進化しているので、インターネットでのつながりでもいいと思うのです。

飯田)リアルに人と話したり、会うということではなく。

佐々木)ツイッターやフェイスブックで誰かとつながって、そこでやりとりができれば、心が安らぐことがあるではないですか。「メタバース」が注目されていますが、VRでいろいろな人とアバターで会話する方法も出て来るわけです。そういうところでも友だちができればいいと思うし、究極、AIでもいいのではないかと思います。

飯田)話し相手がAIということですか?

佐々木)最近のAIは進化していて、スマートスピーカーで話すと返事をしてくれるではないですか。でも1回しかやりとりがないですよね。「きょうの天気は何?」「きょうの天気は〇〇です」と。あの会話をラリーして、30分くらい喋り続けるような技術が、いま進化して来ているのです。

飯田)そうなのですか。

佐々木)いかにやりとりを長くするか。進化すると、普通に会話できるようになって、「きょうは暑いな、AI」と言うと、「そうですね。佐々木さん」というような会話ができるのです。それで孤独が癒されればいいのではないでしょうか。もちろん、好きで孤独になる人はいいのです。でも寂しい、誰かと話したいという欲求は必ずあると思うので、それに答えられる仕組みをあらゆる方法を使ってつくって行く。

「中間共同体」がない日本 ~終身雇用があった時代の会社に代わる存在を再構築するべき

佐々木)「自助、共助、公助」で考えると、日本の場合、公助はあるのだけれど、共助の部分、自分でも公でもない「中間共同体」と言われる部分が乏しい。昭和のころまではそれを企業が担っていたのです。さらにその前の戦前では、農村の村社会が担っていた。しかし2000年ごろから、グローバリゼーションの波が出て来て、終身雇用がなくなり、会社が助けてくれるという仕組みが消滅してしまった。いまの日本には、それに代わるものがないのです。

飯田)終身雇用がなくなって。

佐々木)自分の力で何もできなくなったら、あとは公的扶助に頼るしかないのです。中間がないという問題が起きている。それを再構築することがいま必要なのではないでしょうか。

公助にアクセスできない人が増えている

飯田)その辺りの問題と、アンダークラスの方々は重なるところがあります。なかなか情報が入って来ないし、それを噛み砕くことが難しいから、公助にアクセスできない人たちが増えている。それは、真ん中の抜け落ちの問題が影響していますよね。

佐々木)地域社会があったころは、少しものわかりの悪い人でも、「あの人は大変そうだからみんなで助けてあげようよ」という傾向があった。もしくは、困っている人を区役所に連れて行ってあげて、生活保護の申請を手伝うようなことがあったと思うのですが、いまはそういう状況がないわけです。

飯田)近所のお節介な人がいて、「あんた、役所へ一緒に行ってあげる。申請すればお金がもらえるんだから」というような。

新しい公共

佐々木)境界知能という問題があって、障害者認定されるほどの知能障害ではないのだけれど、一般の平均的な知能よりも弱い人は少なくないのです。

飯田)いらっしゃいます。

佐々木)昭和のころは、そういう人でも工場で働いたり、製造現場で仕事ができたのですが、いまはもう製造現場が海外に移転してしまって、日本国内に残る仕事はコミュニケーションが必要な内容の仕事に方向性が変わって来ている。そういう人たちが生きにくくなる問題が起きているわけです。アンダークラスの話と高齢化問題が重なって来ると、重要で、かつ大きな日本の問題になる可能性があります。

飯田)かつての民主党について、「政権の失敗」がクローズアップされるけれど、あの当時、「新しい公共」や、境界の部分を埋める知恵を「民間からも、公からも出し合えないか」という議論をしていました。あの辺りは生産的だったような気がするのですが。

佐々木)新しい公共の考え方はいい方向だったのです。あれを進めて欲しい。岸田政権になって、新自由主義から決別し、新しい資本主義を掲げると言っています。分配も必要だということをおっしゃっている。そこにもう1回注目して、アンダークラスの問題などに目を向けて欲しいです。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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