コロナ禍の健診・検診控えから「年間1万人の早期がん」が見落とされている

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東京都医師会理事で「ケイアイクリニック」理事長の消化器内科医、黒瀬巌氏が11月26日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍における定期健診控えの影響や心の問題について解説した。

コロナ禍の健診・検診控えから「年間1万人の早期がん」が見落とされている

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

通常診療をしながら、ワクチン接種にも対応

飯田浩司アナウンサー)新型コロナの感染が始まってから1年半くらいが経ちます。黒瀬先生のクリニックでも、患者さんに対応しながら、ワクチン接種も行っていらっしゃいます。休みがなかったようなものですか?

黒瀬)お仕事をされている方のために土日もワクチン接種は続けましたし、医療機関のなかでワクチン接種をすると、新型コロナ感染疑いの方と一緒になってはいけないので、空間的分離と言うのですが、近くに集団接種会場をお借りして、そこに人を手配して行っていました。もともと少ない人手を、さらに2つに分けて行いました。スタッフには、よく頑張ってくれたなと感謝しています。

テレワークによって患者が7割減少

飯田)先生のクリニックは四谷、都心にあります。コロナ禍で働き方が変わりましたが、その影響はありましたか?

黒瀬)大企業が多い地域のため、リモートワークで出社が7割くらいに制限されているところが多いのです。住民が7割減っているような状況ですので、若い方の受診は非常に減りました。

飯田)7割も。

黒瀬)高齢者の方は基本的には律儀に来て下さるのですけれども、感染が怖くて受診期間が延びてしまいます。若い方はリモートワークで来なくても、オンライン診療というやり方もあるのですけれど、高齢の方はなかなかそれができません。糖尿病や高血圧など、悪化してしまうと心臓や脳の病気につながりますので、そこが心配です。

コロナ禍の健診・検診控えから「年間1万人の早期がん」が見落とされている

新行市佳アナウンサー、黒瀬巌氏、飯田浩司アナウンサー

コロナ禍で定期健診を控える人が増加 ~1年間で1万人の早期がんが見落とされている可能性も

新行市佳アナウンサー)コロナ禍で受診を控える、また健康診断に行かなくなった人も増えたということも聞きますが。

黒瀬)「日本対がん協会」も数字を出していますけれど、区の健康診断の実績を見ても、2020年が3割減くらい、2021年も、いまのところその半分の15%くらいは例年より受診者数が減っています。おそらく全国で1万人くらい、2020年の1年間だけで早期がんが見落とされている可能性があります。

新行)1万人も。

黒瀬)今後コロナがある程度収束して来たときに、次は外科の病院を中心に、かなり大きな負担がかかると思います。残念ながら、本来であれば簡単な手術で助けられた方々を助けられない、あるいは大きな医療的な負担をかけてしまう可能性が危惧されています。

コロナ禍における心の問題

黒瀬)もう1点は、心の問題です。コロナ禍の1~2年の間にリモートワーク等で外に出ないことで、悩んでしまったり孤独感を覚えてしまう方、あるいは後遺症で悩んでいる方が多く、心療内科の患者数が増えているのです。

飯田)なるほど。

黒瀬)特に女性の自殺者が増えています。経済的な問題も含めて、間接的にコロナの影響が大きいと言われています。我々は、いま目の前にあるコロナと戦うだけではなく、今後のがん、あるいは心の問題に対しても、総合的に考えて行動しなければいけないなと覚悟しています。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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