民主主義サミット アメリカが台湾を呼んだ本当の理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月6日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。12月9日~10日にオンラインで開かれる「民主主義サミット」について解説した。
民主主義サミット
アメリカのバイデン大統領は12月9日~10日の2日間、110の国と地域を超える民主主義国の指導者らを招き、「民主主義サミット」をオンラインで開催する。中国などを念頭に民主主義の価値観を共有する国々との連携を強化する狙いである。
民主主義陣営として緩やかな連帯を保って行く
飯田)バイデン大統領が就任1年目に開くと公約していた国際会議ですが、どういうものになりそうですか?
須田)価値観の共有という意識が強くあるのです。これからの世界は、「民主主義の国々と専制主義国家、あるいは全体主義国家の対立という構図になって行く」という位置付けをして、それに対して「民主主義国家でまとまって行こう」ということです。アメリカが考える世界の構図の定義付けに対して、総仕上げという役割があるのではないかと思います。
飯田)「中国を念頭に」というところですが、なかにはASEAN各国でも呼ばれていないところもあります。この価値観がまずは大事だということなのですか?
須田)2つの陣営に分かれて行く可能性が高いのだけれども、経済的な結び付きや地球温暖化対策という点で言うと、二分化して進んで行けるようなテーマではありませんからね。あくまでも「陣営として緩やかな連帯を保って行こうではないか」ということだと思います。
「中国とは価値観を共有できないけれど、台湾とは共有できる」というメッセージ
飯田)今回、台湾も呼ばれたということがニュースになりました。
須田)私はそこがいちばん大きなポイントだと思います。アメリカは現状でも「一つの中国」を否定していないのです。微妙なバランスの取り方なのだけれども、そういう意味で言うと、台湾を国としては扱わないのです。
飯田)なるほど。
須田)とは言え、中国に対する強い牽制になる。安全保障面で台湾のカードがクローズアップされているケースもあれば、価値観というなかでも、「中国とは共有できないけれども、台湾とは共有できる」というメッセージなのだろうと思います。
飯田)アメリカとしては、現状維持は崩さないけれども、意思は示すぞ、というところですね。
アメリカの対中国政策の3つの顔
須田)アメリカの対中国政策には3つの顔があります。
飯田)3つの顔。
須田)「競争・対立して行くところ」と、「ともに進めて行くところ」。ともに進めるのは気候変動対策です。そして「今後、協議して行くところ」が貿易問題、貿易赤字の問題ですね。この3つのステージに分けてそれぞれ考えて行きましょうと。価値観や安全保障面、あるいはハッキングの問題や半導体の問題については、1つ目のテーマに入るのかなと思います。
飯田)競争して行くところですね。
須田)譲歩できないところとも言えるかも知れません。
飯田)その辺りの部分に、民主主義を1つのツールとして使うようなところがあるわけですか?
須田)ただ、アメリカにとっての全体主義国家と言うと、中国とロシアなのだけれども、それを中国は許容するのか。3つのステージの使い分けを受け入れるのかどうか、というところがポイントだと思います。
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