医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が12月10日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。男性更年期障害について解説した。
こんな症状が出たら医療機関へ
飯田浩司アナウンサー)男性更年期障害について、どんな症状が出たら受診するべきでしょうか?
森田)女性の更年期障害は、閉経の前後約5年間が発症のピークなのですが、男性の場合は40代以降、場合によっては30代以降なら何歳でも発症し得ます。女性のように閉経前後という目安がなく、人によっては長く苦しんでいる方も珍しくありません。
飯田)長く苦しんでおられる方も。
森田)症状を聞いて、「もしかしたら更年期障害かな」と思ったら医療機関へ相談し、男性ホルモンの値などを測定してください。精神面での症状としては、集中力や記憶力の低下、無気力、イライラ感、疲労感、また頭がモヤモヤした感じがする場合もあります。
「おかしいな」と思ったら、更年期外来、または泌尿器科へ
森田)身体機能の面では汗をかきやすい、性機能の衰え、筋力の低下、ほてり、耳鳴りなど、多彩な症状が現れます。放置すると、更年期障害からうつ病になることもあります。また、身体を動かさなくなってしまうので、骨が脆くなって骨粗鬆症になることもあります。おかしいなと思ったら更年期外来、あるいは泌尿器科を受診していただきたいと思います。
飯田)あてはまる方も多いのではないかと思います。確かに人の名前が「パッ」と思い出せないとか、頭のなかに霧がかかったような感じがしたり、疲労がなかなか抜けないとか、ちょっとしたことでイライラするとか。
17項目の質問で構成される「男性更年期障害質問票」
新行市佳アナウンサー)実際に病院ではどんな検査を行うのですか?
森田)テストステロンの値を測定する血液検査を行うと同時に、問診を行います。医療機関によってさまざまな問診がありますけれど、「男性更年期障害質問票」という、ドイツで開発された全17項目の質問紙を使う場合が多いですね。
飯田)男性更年期障害質問票。
森田)「性欲が減った」「パワー不足だと感じる」「やる気が出ない」「集中力が続かない」「体毛が薄くなった」「身長が縮んだ」「気分が塞ぎがち、もしくはイライラしがち」「勃起力が弱くなった」「疲れやすくなった」「実務能力が落ちたように感じる」などのチェック項目があるのです。いくつか該当するようであれば、専門医のところに行って診断を受けることはとても大切だと思います。
更年期障害の原因となる「テストステロン」の減少を防ぐ方法
飯田)症状改善、あるいは予防のため、できるだけテストステロンを増やすことに努めるのがポイントだと思いますが、具体的にどのような方法が考えられますか?
森田)テストステロンの減少を食い止める方法としてよく言われているのが、運動です。適度な運動をすることによって、テストステロンの分泌を促すことができます。定期的な筋力トレーニングやウォーキングなどを行うことがおすすめですが、難しいと言う方は、なるべくエレベーターやエスカレーターは使わず、階段を上り下りすることでもいいと思います。
飯田)階段を使う。
森田)精神的なことなのですけれども、競い合うなど、自分を高める気持ちを持つことで、テストステロンの分泌が盛んになるのではないかと言われています。勝敗を競うゲームやスポーツをする。あるいは趣味が芸術的なものであれば、コンクールに挑戦することで、他人と競い合って自分を高める。そうすることでテストステロンの減少が抑制できるのではないかと言われています。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます