剛力彩芽、“トイレ博士”佐藤満春に学ぶ 世界のトイレ事情

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女優・剛力彩芽が、“トイレ博士”佐藤満春氏から、世界のトイレ事情を学んだ。

女優・剛力彩芽と持続可能な開発目標「SDGs(エスディージーズ)」を学ぶニッポン放送の特別番組『SDGs MAGAZINE』。2021年10月29日の第19回放送はSDGsのゴール6「安全な水とトイレを世界中に」がテーマとなった。お笑いコンビ・どきどきキャンプとしての活動の傍ら、テレビ・ラジオ番組の構成作家としても活躍する“トイレ博士”佐藤満春氏をゲストに招き、日本や世界のトイレ事情に迫った。

番組序盤では、日本のトイレ事情を中心に話が進んだが、SDGsに掲げられているように、トイレの問題は世界規模で存在する。「次に世界のトイレ事情について話を伺いたいのですが」と要り出した剛力に、佐藤氏はよりシビアな実状を説明した。

佐藤 「日本で、なぜそこまでトイレのハードの進化が進んだのかというと、下水道の整備が1960年代に一気に進んだことが大きいんですよ。今、世界に必要なのは上下水道の整備。ただ、これが相当に予算も、技術も、時間も要る。節水をどうしていくかというのは、そこからの話です。世界的にみると、今はそこまでの段階にも行けていないのが実状で、そもそもトイレというものがない。インドなんかは深刻ですけど、人口は多いもののトイレがないから、川なんかで直接用を足してしまおうとか、そうすることで病気の原因になったり、危険な目に遭ったりだとか、リスクが広がる一方なんです。そういう意味では、経済的にも大変なところはあると思いますが、インフラを整備しながらトイレ環境を整えていくことが必要ですね。今は、日本のトイレメーカーも、協力して海外の学校にトイレをつくる活動などをしています。特に、日本は“トイレ先進国”として世界のトイレ事情に目を向けていかなければいけない立場にあると思いますし、どうしていくべきかという目線で考えていかないといけないと思います」

剛力 「日本は、圧倒的にトイレ環境が進んでいるんですか」

佐藤 「そうですね。ウォシュレットが発売されたのが1980年なんですけど、そこから急激に普及したんですよ。年々マイナーチェンジや技術革新も進んでいます。下水道の整備がされた時点からの技術革新がすごくて、今で言うと水を電気分解して除菌能力のあるものに変えて毎回除菌するとか、それが流れるときには水に戻っているので環境も汚さないとか、相当凄いですね」

剛力 「清潔なトイレを日常的に使えない人っていうのは、世界にどれくらいいるのでしょう」

佐藤 「世界の人口の3分の1くらいは使えていないと言いますね。われわれはトイレがあるのが当たり前になってしまっていますが、2021年の今もトイレを使えない人がいるのが現実なんです」

剛力 「それを分かっていても、なかなか自分ごととして考えられないというか・・・」

佐藤満春氏

佐藤満春氏

佐藤 「それは当然です。僕も、データなどでは把握していますけど、実際に見ているわけではないし、自分自身は不便なく生きているわけですから、深刻に毎秒胸を痛めているわけでもない。ただ、そうした事実を知ることが大事というか、何ができるかというのは、その先の話かなと思っています」

続いて、剛力さんは改めて「サトミツさん的に、目標6で気になるものはありますか」とSDGs目線で質問を投げ掛けた。すると佐藤さんは 「本来は全部という話しにしたいですけど、気になるのは6-3ですかね」と応じた。ここで、ゴール6『安全なトイレと水を世界中に』に掲げられたターゲットを見ていくと・・・。

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6-1
2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。

6-2
2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性および女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける。

6-3
2030年までに、汚染の減少、有害な化学物質や物質の投棄削減と最小限の排出、未処理の下水の割合半減、およびリサイクルと安全な再利用を世界全体で大幅に増加させることにより、水質を改善する。

6-4
2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取および供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
6-5
2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合的な水資源管理を実施する。

6-6
2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。

6-a
2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、廃水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力とキャパシティ・ビルディング支援を拡大する。

6-b
水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。

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佐藤氏が、6-3で特に強調したのが 、最後にある「水質を改善する」との文言だ。

佐藤 「SDGsというとサスティナブルとか、持続可能なとかワードとしてはよく聞きますけど、水が少ないのだとして、それを例えば一回流した後に再利用することができないのかとか、化学物質に汚染された水があったとして、それを再利用できる技術を(SDGsが期限に定める)2030年に間に合わなくても、構築できないかとか、今ある資源をどう使っていくというベクトルは、すごく大事だと思います」

剛力 「地球のほとんどが水でできていると言われるように、どうしても水って無限にあるイメージがありますけど、それが限られたものだと考えたら、そこにあるものだけでどうしていくかを考えることにつながりますね」

佐藤満春氏、剛力彩芽

佐藤満春氏、剛力彩芽

佐藤 「日本で言うと、既に発売されている男性用の小便器で、便器の上に手洗い場を付けたトイレがあるんです。用を足した後に手を洗うために流した水でトイレも流す。ちょっとしたアイデアですけど、まさにここにつながってくるものだと思います。ちょっとしたアイデアの積み重ねが、地球を救ってくれるのではないかなと思います」

剛力 「小さな取り組みですが、大きな一歩」

佐藤 「そうなんですよ。世界のトイレ事情とはスケールが違いますけど、日本でそういうものができ始めている。日本発で、ちょっとずつでも環境が整っていくとすごくいいなと思います」

さらに、佐藤氏はトイレの重要性を表す身近なエピソードにも言及した。

佐藤 「1990年代までデパートのトイレって1階につくらなかったのをご存知ですか。公衆トイレ化して、勝手に使われたらたまらないということで、高層階にしかきれいなトイレをつくらなかったんです。でも、デパートの売り上げが落ちて、2000年代以降、逆に1階にきれいなトイレを置いて人を入れようという発想に変わりました。ついでに買い物をしてもらえばいいと。特に、女性トイレをきれいにしたら、デパートの売り上げが上がったと言います。サービスエリアのトイレがきれいなのも同じ発想で、トイレまでの導線に売りたい商品を置くと、その日に買い物をしなくても『あそこのデパートにあの商品があったな』と思い出す。そんな好循環が生まれるという話しもあります」

剛力 「トイレって、それだけ私たちと生活と切り離せないものなんですね。そう思うと『安全な水とトイレを世界中に』というSDGsのゴールの大切さが分かります。そうした中で、世界のトイレ事情や水の問題のために私たちができることって何かあるのでしょうか」

佐藤 「特に剛力さんみたいな影響力がある方がやれることは、発信していただくことです。それがいろいろな人の気付きになりますので。現地に行って作業をするとか、そういうことではないと思うんです。それは現実的に無理じゃないですか。今、我々が生活しながらそこに向けての意識がどれだけつくれるかだと思います。そういう意味では、剛力さんは既にいろいろな発信をしていますけど、例えばこの番組を聞いてくれているリスナーの方も、知名度がないし、有名人でもないからできることがないのかと言ったらそうではなくて、家族と話すことですとか、自分の生活の範疇でできる節水を心掛けてみるとか、SDGsのことを調べることも大きなことだし、できることはまだまだある。そのためにも、やはり知ることって大事なことだと思います」

トイレの話題で大いに盛り上がった約40分間。最後に剛力が2030年に向けた“提言”を求めると、佐藤氏は「僕の提言は『水とトイレと向き合う未来に』ということにしたいと思います」と即答した。

佐藤 「日常を生きている皆さんは日々忙しいですし、やはり水の事情やトイレの問題って、どうしても頭になくなってしまうものだと思います。だけど、自分たちの生活圏内でできることはある。水とトイレの問題に自分がしっかり向き合う未来に、自分も含めてなると良いなという思いがありますね」

剛力 「当たり前になくてはならないものだし、当たり前だからこそ、より向き合っていくことが大切」

佐藤 「やっぱり、知ればやれることも増えるので、まずはそこからじゃないかなと思います」

剛力 「今日は、とてもいいお話を聞けました」

佐藤 「でも、剛力さんが何十分もトイレのお話をしてくださったことが、いちトイレファンとしてうれしいです(笑)」

剛力 「私も、今日トイレに惚れました!」

佐藤 「本当ですか! 僕はトイレ仲間を増やす活動をしていて、(声優・タレントの)山寺宏一さんはすごくトイレ好き。あと、くるりの岸田繁さんはトイレの流水温が好きという変な人なんです。千原ジュニアさんともトイレの話をしました。この辺は、勝手にトイレ仲間ということにしているんですけど、剛力さんもトイレ仲間にぜひ!」

剛力 「なりたいです!」

剛力彩芽

剛力彩芽

佐藤 「大丈夫ですか(笑)」

最後は和やかなムードで終わった今回の放送だが、剛力は「トイレや水の問題って難しいと言えば難しい話ですけど、楽しく向き合える気がします」と前向きに問題を捉えられたことを明かした。

「サトミツさんにお話を伺ってきましたが、何より日本はトイレ事情に恵まれている。本当に、日本の技術者の皆さんに感謝ですよね。私たちが当たり前にきれいなトイレを使わせてもらっているからこそ、何かできることはないかなと考えたり、知ることが改めて大事なんだなと感じたりしました。トイレって必ず毎日1回以上行くし、それが今の世界の事情などを考えるきっかけになり、SDGsにつながっていく。小さなことかもしれないですけど、とても大事なことだと思います」

まずは知ることから。そのきっかけとして、佐藤さんの話は剛力の心に響いたようだ。

番組情報

SDGs MAGAZINE

日曜日 14:10~14:30

番組HP

SDGsの現状や課題、そして私たちにできることをわかりやすく紹介する特別番組「SDGs MAGAZINE」。ラジオ番組と運営中のWEBマガジンを通して、SDGsをともに考えていきます。

パーソナリティ:新内眞衣

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