ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月31日放送)に外交評論家・内閣官房参与の宮家邦彦が出演。香港の民主派ネットメディア「立場新聞」親会社の元役員・練乙錚氏の香港当局による指名手配について解説した。
対岸の火事ではなく日本の民主主義の問題に
香港のメディアなどは山梨学院大学の練乙錚特任教授が香港当局に指名手配されたと報じた。練氏は、香港国家安全維持法、国安法に基づく資金凍結で12月29日に事業停止に追い込まれた民主派ネットメディア「立場新聞」元役員である。指名手配の容疑など詳細不明だが、立場新聞の摘発と関連している可能性が高いと見られている。
飯田)国安法での手配となると域外適用。
宮家)国外でも適用されると、彼らはそう言っているわけですよね。でもこの人は山梨学院大学の特任教授ですから、日本のしっかりとした大学、国の補助金が入った大学で、ちゃんと教鞭をとっておられるわけですから、当然彼の言論の自由を守らなければならないですよね。
飯田)はい。
宮家)もちろん日本は中国とは犯罪人引渡し協定がありません。中国は何を言ってくるかわかりませんけれど、仮にそういうことを言ってきたとしても、もちろんそんな要求に応じる必要はないし、それだけではなくて、やはり香港の問題は単なる対岸の火事じゃないわけですよね。実際に関係者が日本で教えているわけですから、その意味では我々はもっと関心を持って……もちろん、けんか腰でやれと言っているわけじゃないですが……基本的人権、特に言論の自由、表現の自由というのは、これを守らなかったら民主主義じゃありませんからね。もし我々が民主主義を本当に大事にしているのであれば、当然この人を守らなければいけないと思います。
飯田)そもそもそうですよね、もし拘束を許すなんてことになったら、国家として主権侵害するという……
宮家)昔日本でもそんな事件がありましたけれどね。まさかそんなことするとは私も思わないけれども。
飯田)それこそ、あの金大中事件……
宮家)金大中事件ですね、あまり言いたくないけれど、あれは主権侵害ですよね。あんなことをするとなったら、これは大変なことになりますよ。さすがにそれはないとしても、いろいろな形で彼らの発言の場がなくなるとなれば、それは日本自体に発言の場がなくなるのと同じになりますからね。絶対に避けなければならないと思います。
飯田)これはさすがに言論界の方々なども、ツイッターで「なんとかして守るべきだ」と。警備の強化とか、そういうところが必要になってきますか。
宮家)そういうことも必要かもしれませんけれど、それよりも、日本にいる以上は彼の人権というものは守らなければならないし、当然発表の時間は……最もその何を発表するかでまたその問題が跳ね返ってくるかもしれないけれど……それで我々は恐れてはいけないと思いますね。
黙ったら中国の勝ち
飯田)香港というと、「アップルデイリー」「蘋果日報」が潰され、そしてジミー・ライという創業者の方も拘束をされて久しいと。そして今回の「立場新聞(スタンド・ニュース)」も、ということで、民主派メディアがほぼなくなってきている状況。
宮家)この法律ができたのは……
飯田)国案法は2020年の6月に施行されています。
宮家)どさくさに紛れて即、その日のうちにといいますか、真夜中に施行したわけですよね。
飯田)そうでした。
宮家)あのときに大きな曲がり角というか、ゲームが変わってしまったのでしょうね。いまでもよく覚えていますけど、「これは大変なことになった」と思いましたが、その延長戦がまだ続いているのだとつくづく思いますね。なんとしても我々は声を上げ続けないといけないと思いますよ。これは、黙ったら彼らの勝ちですからね。そうはいかないようにしなければいけないと思います。
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