ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月17日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。発生から27年となる「阪神・淡路大震災」について解説した。
阪神・淡路大震災から27年 ~各地で追悼の集いが開催
1995年に発生し、6434人が犠牲になった阪神・淡路大震災から、1月17日で27年となった。神戸市中央区の東遊園地では犠牲者を追悼する「1.17のつどい」が営まれ、17日朝、地震発生時刻の5時46分に合わせて、灯篭にあかりが灯され、黙祷が捧げられた。
飯田)各地でも1月16日の夕方に行うところなどもありましたが、追悼の集いが開かれたということです。もう27年も経ったのですね。
「大阪は地震がない」とされていた
須田)私は、この震災の前年に赴任先の大阪から戻って来ました。それまでは6年くらい大阪に在住していたのです。先日、大阪へ仕事に行ったときに、当時の仲間たちと会う機会がありましたが、やはり1月になると、関西地方の方々はリアルに思い出すようです。その方は、大阪市大正区という海べりのところに。
飯田)大阪ドームがある。
須田)そこに住まわれていたのだけれども、当日、寝ていたら「ドーン」と大きな揺れが生じて、壁にもヒビが入り、風呂場なども割れてしまって水が漏れ出すような状況になってしまったということです。それまでは、「大阪は地震がない」と言われていたのです。
飯田)東京に行くと言うと、「そんな地震の多いところに行くなんて」と心配されるという話は聞きました。
須田)初めてこれだけ大きな地震を味わったということで、相当、慌てふためいたのです。
阪神・淡路大震災で防災に対するスタンスが大きく変わった
須田)「阪神・淡路大震災」では、少しずれたところに大阪があったのですが、南海トラフが直撃すると言われていて、場合によっては津波の被害もありますから、それに対する警戒や備えの意識が、「阪神・淡路大震災」をきっかけにして一気に高まったのです。
飯田)南海トラフに関しては、大阪湾の辺りが浸水してしまうという被害想定も出ています。2018年には大阪府北部地震もありましたし、どこで地震が起きてもおかしくありません。
須田)阪神・淡路大震災をきっかけに、防災に対するスタンスが大きく変わりました。当時は国政野党系の知事だったということもあって、自衛隊の受け入れに対して消極的だった。それによって救助が遅れたのではないかという指摘もありました。
飯田)消極的だったために。
須田)また、あのような大きな災害が起こったときに、首相官邸の情報収集体制はどうなっているのか。指示系統はどうなっているのかということが問題になりました。それまで、きちんと構築されていなかったものですから、官邸も、NHKのニュースを観て状況把握ができたと言われていました。
公共工事のあり方の見直しも進んだ
須田)その辺りについても整備されて来ましたし、自衛隊の出動に関しても、それ以後、スムーズに行くようになりました。いまから振り返ると、耐震補強の工事に関しても、阪神高速が崩落するという状況になりました。
飯田)横倒しになりました。
須田)あれは手抜き工事が一因だったのではないかと言われていて、以降、きちんとその辺りを整備して行こうという話になりました。震災がきっかけになり、適切な価格で下請けに降りて行かないという、公共事業のあり方の見直しが進んだのではないでしょうか。
老朽化したインフラをどのように補強して行くか
飯田)高度経済成長期につくったインフラは耐用年数の期限も来るし、補強もしなければならないという問題は、あのころから言われています。いまも都心の辺りで補強工事をしていますけれども、それは続けて行かなければならないことですよね。
須田)50年経ってインフラは老朽化し、いずれにしても、補強して行かなければならない状況にあります。それをどのように計画的にやって行くのか。予算をどのように付けて行くのかということも考えなければならない話だと思います。
「阪神・淡路大震災」によって防災の常識が変わった
須田)また、これをきっかけに地震予知のあり方に対しても、未だに議論があるところです。「本当に地震予知はできるのか」という部分も出て来ています。熊本の大地震もありましたが、地震の発生率は0%に近いところだったのです。大阪府北部地震も、地震の発生率は低かったことを考えると、「予知されたものを前提に防災計画を立てる」ことは、意味のないことではないかと言われて来ました。その辺りの問題が浮き彫りになったのも、阪神・淡路大震災がきっかけなのではないかと思います。
飯田)その数字が元となって、地震保険の保険料も変わりました。全体のベースの部分が、あの瞬間から崩れ出したのではないかと思います。
須田)「どこでも起こり得るのだ」ということで、防災を意識して日ごろの行動をしなければならない、計画を立てなければならないということが広まった。
ニッポン放送の災害時における広報の強化 ~神奈川県と「神奈川エフエムネットワーク」、千葉県と「BayFM」との相互協力
飯田)ニッポン放送でも、阪神・淡路大震災をはじめ、いくつもの自然災害を経験して来たなかで、災害時における広報の強化を図っております。なかでも、神奈川県と「神奈川エフエムネットワーク」、千葉県と「株式会社BayFM」とは、それぞれ「災害時における相互協力に関する協定」を結んでおります。この協定は神奈川県、千葉県、またそれぞれの放送局が持っている災害時の状況をお互いに補完しあって連携を強化して行くというもので、必要な情報をラジオから発信して行くことで、お互いに協力してまいります。
熱海の土石流災害では「FMおだわら」、「レディオ湘南」の方が出演
飯田)防災協定を結んだ効果も現れています。例えば去年(2021年)の7月3日、熱海で土石流災害がありました。あのとき、神奈川県などでも記録的な豪雨が発生していたのですが、協定を結んでいる「FMおだわら」と「レディオ湘南」の方にご出演いただき、現地の様子をリポートしてもらいました。
神奈川県、千葉県とのネットワークを活かした災害時における情報発信
飯田)また、去年1月22日~23日に首都圏で大雪がありましたが、このときには神奈川県から雪に関する情報が届きまして、随時放送で紹介してまいりました。千葉県に関しましても、去年の10月2日、関東に接近した台風16号に関して、千葉県の防災危機管理課の方に千葉の様子をリポートしてもらいました。昨日(1月16日)も津波警報、注意報に関する情報発信を行ってまいりましたが、今後もネットワークを活かして災害時における情報発信を行い、皆さんの安心、安全につなげて行きたいと思います。現場で起きている情報をいかに迅速に、どう共有して行くのか。特に正しい情報を、ということが災害時は大切になりますので、平時にいろいろなネットワークを組むことが、有事に際して活きて来ることになろうかと思います。
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