ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月26日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。政府のガソリン価格抑制策について解説した。
ガソリン価格抑制策
政府はレギュラーガソリンの小売価格の全国平均が1リットル当たり170円を超えたとして、価格を抑えるため石油元売り会社に補助金を出す異例の対策を初めて発動する方針を明らかにした。1月27日以降に適用される。
飯田)レギュラーガソリンの小売価格の全国平均が1リットル当たり170.2円になったことを受け、萩生田経済産業大臣が昨日(25日)、閣議後の会見で明らかにしました。
高橋)「異例の対策を初めて発動」ということですが、当たり前のことです。なぜ当たり前かと言うと、ガソリンが高い理由はガソリン税があるからです。ガソリン税は大体53.8円程度ありますが、その内、暫定税率は25.1円です。
ガソリン税を下げればいいだけの話 ~なぜしないのか理解できない
高橋)普通に考えると、ガソリンの価格を下げたいのなら、ガソリン税を下げれば終わってしまうのです。これがいちばんすっきりしています。いままでやっていないのは当たり前ですよ。本来はガソリン税を下げればいいのだから。なぜそれをしないのでしょうか。補助金に頼ると、本当に下がったかどうかがわかりづらいでしょう。しかも数字を見ると、わずか数円の話です。
飯田)1リットルあたり3.4円です。
「異例の対策を初めて発動」 ~こんな政策を考える人はいない
高橋)3.4円でしょう。この程度の差だと、どのくらい動いたのかわかりませんよね。会社の人からすれば、補助金をもらって終わりということもあり得ます。5円くらいの効果であれば、5円だけ減税するのがいちばん簡単ですよ。なぜそれをしないのでしょうか。こういう政策はよくわかりません。「異例の対策を始めて発動」と言いますが、当たり前です。こんな政策を考える人はいませんよ。
本質的には税金を下げることが明快
飯田)かつて暫定税率の部分の法律が失効してしまって、強制的に税率が低くなったことがありました。あのときに、高い値段で仕入れたガソリンを安い値段で売らざるを得なくなり、厳しくなった小売店があったという話を聞きましたが。
高橋)それはそれで、やり方を変えればいいだけの話だと思いますが。
飯田)「蔵出し税」と言って、仕入れるときに既に税金がかかっている状態であり、だからそういう問題が起こる。その場合は別途で赤字部分を補填してあげるなど、いろいろな方法があるわけですが。
高橋)引き下げのパターンを変えるなど、いろいろなやり方が考えられます。本質的には、税金を下げるということが明快なのです。それに加えて、消費者と業者に対する激変緩和措置は当然取るわけなのだけれど、それはそのなかで考えればいいだけではないですか。本当に不思議ですよね。理解できない政策です。
根本にある原因は「カーボンニュートラル」 ~自然環境の影響もあり、液化天然ガスの引き合いが多くなっている
飯田)補助金の形で対応するというのは、業界に対して影響力を与えられるという側面があるわけですか?
高橋)影響力を与えられるということと、恣意的になる可能性もある。でも、消費者のことをどれだけ考えているのかはわからないですね。「業者のことを考えているのか」ということです。ガソリン価格が上がってしまった理由をマスコミに説明していますよね。コロナの話だと言うけれど、根底にあるのは「カーボンニュートラル」です。そのためにLNGにシフトしているという現状があります。
飯田)液化天然ガスに。
高橋)去年(2021年)は風が吹かなくて、風力発電が落ちてしまい、今年はトンガの大規模噴火で太陽光に影響が出る可能性がある。それでLNGの価格が上がるから、ガソリンもつられて上がっているということです。
飯田)原油価格の上昇というのも、世界中で液化天然ガスの引き合いが多くなったということが。
高橋)自然環境の影響もあるし、当面はLNGがクリーンエネルギーだということになっていて、そちらにシフトするでしょう。カーボンニュートラルの世界的な動きがありますよね。
対面の日米首脳会談であればバイデン大統領に提案できる「シェールガス増産」
高橋)アメリカがシェールガスを増産してくれれば解決するのです。この前、備蓄を出すという話があったでしょう。備蓄を出すくらいであれば、シェールガスを増産したらいいのです。
飯田)備蓄を出すだけだと焼け石に水で、ほとんど動かなかったですからね。
高橋)こういう話を日米首脳会談で取り上げればいいのです。オンラインではみんな聞いているからできませんが、2人で行う対面方式であれば、できると思います。「いいやり方がありますよ」などと言ってね。
飯田)あなたも選挙を勝ちたいだろうと。
高橋)「選挙に負けたらレームダックになって終わりですよ」という感じで言ってしまうのです。
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