「液化天然ガス」融通は、欧州に対して「貸し」をつくるチャンス
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月10日放送)に多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授・事務局長の井形彬が出演。政府が欧州に対して液化天然ガスを融通することを決定したというニュースについて解説した。
政府がヨーロッパに対して液化天然ガスの一部融通を決定
政府は2月9日、ウクライナ情勢の緊迫化で天然ガスの調達に不安を抱える欧州に対し、液化天然ガス(LNG)を融通することを決めた。
飯田)ウクライナ情勢の緊迫化、そしてヨーロッパの国々がロシア産の天然ガスに頼りすぎている側面もあり、別の供給源を探すというところで、この話が出て来ています。
井形)簡単にロジックを説明してしまうと、いまロシアがウクライナに侵攻するのではないかと言われているなかで、もし侵攻したら、アメリカやEUはロシアに対して「経済制裁するぞ」と言っています。それに対して、ロシアが「EUへのガスを止めてやるぞ」という報復措置を行うことがわかっています。
飯田)ロシアがヨーロッパへのガス供給を止める。
井形)ロシアにエネルギーを止められるのが怖いと、何もできないではないかということで、抑止のために日本やオーストラリアからヨーロッパに対してガスの輸出を増やす。そうなれば、ロシアがヨーロッパへのエネルギーを止めても、こちらは痛くもかゆくもない。ロシアはガスが売れないとお金が入って来ないので、「ロシアだけが痛んでヨーロッパは何も痛くない」という構図に持って行き、ロシアの報復を抑止しようという考え方です。
欧州に対して「貸し」をつくるチャンス
飯田)ロシアはロシアで、北京オリンピックにタイミングを合わせた形での中露首脳会談のなかで、ロシア産のガスを中国にもっと売るというような話が出ています。お互いに、ガスをめぐって駆け引きが続くということですか?
井形)今後も続くと思います。欧州諸国のロシアに対するエネルギー依存度は高いのです。いまは冬で寒いので、我々も暖房が必要なため、「日本からガスを融通するのは嫌だ」と思う方もいると思いますが、ヨーロッパが困っているときに日本が助けてあげるという姿勢を見せておくと、例えば次に日本が中国に依存しすぎてしまっているものを止められた場合、今度は助けてもらうという相互主義が働きます。ここはみんなで頑張るべきだと思います。
飯田)大きい意味での貸し借りということで、日本としては貸しをつくるチャンスということですか?
井形)まさにそうですね。
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